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海上プラットホームにミサイルを配置したからといって、どうなるというのだろうか?
桜井よしこさんが「『東シナ海は危機。もう日本に猶予はない』と櫻井よしこ氏」 の中で主張していることだ。
だが、採掘リグの上にミサイルをおいたところで何も利益はない。
置いた所で採掘リグが日本の行動が掣肘されるわけでもないし、自然島にも岩礁にもなるわけでもない、。
監視飛行を毎日繰り返している海自哨戒機はそれまで通りである。海自は採掘リグの上のミサイルどころではない軍艦相手にも同じように監視している。大砲を指向されても別段に対応レベルを下げるわけでもない。
人工物に武装を施したところで、中国の領土主張が強固になるわけでもない。そもそも採掘リグは日本主張の日中中間線を守った位置にある。南シナ海で中台越比がしているようにEEZを切り取ろうとするものでもない。
また、軍事的にも大した利益があるでもない。桜井さんが「数か月以内に」「配備する」と言い出しているミサイルが対空ミサイルか対艦ミサイルかはしらない。だが、場所も分かっており移動もできず、隠蔽も分散も地中化もできない状態においてもさほどの意味はない。仮に戦争になっても最初に無力化されて終わる。
■ 不思議な海上輸送理解
この記事では、桜井さんは他にも不思議な主張をしている。
南シナ海についての主張もオカしい。
まず、南沙・西沙・中沙の分割競争とマラッカ海峡といった別物をリンクさせている。当たり前だが、マラッカは係争地域に含まれない。
また、マラッカ依存はむしろ中国にとってのアキレス腱である。日本は70年代から不通時にはロンボク経由すればいいと程度の考えであり、さほどに死活的とは考えていない。だが、中国はミャンマーからのパイプライン振替の準備を済ませている。どちらにとって深刻な問題であるかがわかるだろう。
さらに言えば、南シナ海の海上輸送が止まると中国経済は死ぬ。海外輸出の中核、最大の成長エンジンである華南経済圏が窒息するためだ。珠江デルタから北米・欧州への輸出ができなくなり、同様に中東や豪州からの輸入も止まる。どう考えても中国に損でしかない。
なによりEEZの分割競争と航行の自由を混同している。南沙問題以下はあくまでもEEZの分割競争である。それにより航行の自由は阻害されていない。もちろん中国領土主張にはヘンなところがあり、日米相手に「EEZ相当部にも中国管理権が及ぶ」と言い出すこともあるが、東シナ海ADIZでそうであったように日米に行使されたことはない。
■ 泥沼の南シナ海から足抜けできない
そして東シナ海での対立状況の把握も不思議である。
桜井さんは中国が東シナ海でも強く出てくる、日本との領土問題も南沙同様に振る舞うと主張している。
だが中国は実質、南シナ海で手一杯である。
その中国が東シナ海で冒険行為をするだろうか? しかも相手は海軍力で圧倒できない日本である。
「日本の防衛能力で尖閣諸島や東シナ海を守り切れるのか。」(桜井)とも述べているが、逆に中国の政治力・海軍力で尖閣諸島を実効支配下におけるのか、そのような判断をするのだろうか? といった疑問も浮かぶだろう。
もちろん、中国は上陸程度はできるだろう。だが、それをすると日本との衝突を覚悟しなければならない。島へのアクセスを妨害されるため、その利用はできない。また日本との対立の長期化を考えればあまり意味のある話ではない。
■ かつてはベトナムが南シナ海脅威であった
以上のとおり桜井さんの主張に現実味はない。結局は確信と宿命感による中国脅威論である。
内実は国難カルトと同じである。確かに主張には軍事や国際情勢といったトッピングを施しているがそれだけだ。現実的にミサイルを積むとか、海上輸送を止めるとか、東シナ海で冒険主義にでるといった見通しがあるわけでもない。これらは「アタイの考えた日本亡国」でしかない。
さらに言えば、日本の宿敵を中国とするのも時流に乗ったものでしかない。桜井さんや、その他の国難系主張の御仁は「中国人は不倶戴天の敵」「いつかは日本に攻めてくる」という。
だが、彼らの宿敵はコロコロ変わる。長期的に見えば、冷戦時代の敵はソ連であったし、戦前は米国であり、さらに明治初期は欧州帝国主義であった。桜井さんの主張をみても、中国脅威論が盛り上がる前は北朝鮮脅威論をメインであった。
まずは、その時の流行に迎合しているだけだということだ。
今回の南シナ海についても、30年前はベトナムが脅威であった。もし、カムラン湾のソ連太平洋艦隊が暴れたらといった想定である。仮にその頃に桜井さんがネトウヨ迎合活動をしていたとすれば
とでも述べただろう。
さらに「カーター大統領が消極的なことが世界を不安にしています」「日本もアジアの国々も、ベトナムと1対1で対峙するのはもはや不可能です。」だから「中華人民共和国との連携を深めていくことが必要です。」と言っただろうね。
まあ、彼らの宿敵感覚はその程度で、始終ひっくり返る。時期に中国の次の宿敵を探すだろう。おそらくインドあたりかね。
桜井よしこさんが「『東シナ海は危機。もう日本に猶予はない』と櫻井よしこ氏」 の中で主張していることだ。
今が千載一遇のチャンスと考えている中国が、南シナ海同様、今後数か月以内に東シナ海の海上プラットホームにもミサイル発射装置を配備するなど、“次の一手”に打って出る可能性は十分にあると思います。
http://www.news-postseven.com/archives/20160528_410771.html
だが、採掘リグの上にミサイルをおいたところで何も利益はない。
置いた所で採掘リグが日本の行動が掣肘されるわけでもないし、自然島にも岩礁にもなるわけでもない、。
監視飛行を毎日繰り返している海自哨戒機はそれまで通りである。海自は採掘リグの上のミサイルどころではない軍艦相手にも同じように監視している。大砲を指向されても別段に対応レベルを下げるわけでもない。
人工物に武装を施したところで、中国の領土主張が強固になるわけでもない。そもそも採掘リグは日本主張の日中中間線を守った位置にある。南シナ海で中台越比がしているようにEEZを切り取ろうとするものでもない。
また、軍事的にも大した利益があるでもない。桜井さんが「数か月以内に」「配備する」と言い出しているミサイルが対空ミサイルか対艦ミサイルかはしらない。だが、場所も分かっており移動もできず、隠蔽も分散も地中化もできない状態においてもさほどの意味はない。仮に戦争になっても最初に無力化されて終わる。
■ 不思議な海上輸送理解
この記事では、桜井さんは他にも不思議な主張をしている。
南シナ海についての主張もオカしい。
日本は今のうちから、南シナ海が[中国に]完全に奪われた後のシミュレーションを行っておく必要があります。マラッカ海峡が閉鎖されて中東の石油が入ってこなくなった時にどうすべきか。本当に大変な状況になりつつあるのです。
http://www.news-postseven.com/archives/20160528_410771.html<
まず、南沙・西沙・中沙の分割競争とマラッカ海峡といった別物をリンクさせている。当たり前だが、マラッカは係争地域に含まれない。
また、マラッカ依存はむしろ中国にとってのアキレス腱である。日本は70年代から不通時にはロンボク経由すればいいと程度の考えであり、さほどに死活的とは考えていない。だが、中国はミャンマーからのパイプライン振替の準備を済ませている。どちらにとって深刻な問題であるかがわかるだろう。
さらに言えば、南シナ海の海上輸送が止まると中国経済は死ぬ。海外輸出の中核、最大の成長エンジンである華南経済圏が窒息するためだ。珠江デルタから北米・欧州への輸出ができなくなり、同様に中東や豪州からの輸入も止まる。どう考えても中国に損でしかない。
なによりEEZの分割競争と航行の自由を混同している。南沙問題以下はあくまでもEEZの分割競争である。それにより航行の自由は阻害されていない。もちろん中国領土主張にはヘンなところがあり、日米相手に「EEZ相当部にも中国管理権が及ぶ」と言い出すこともあるが、東シナ海ADIZでそうであったように日米に行使されたことはない。
■ 泥沼の南シナ海から足抜けできない
そして東シナ海での対立状況の把握も不思議である。
桜井さんは中国が東シナ海でも強く出てくる、日本との領土問題も南沙同様に振る舞うと主張している。
南シナ海で起きることは、東シナ海でも起きると覚悟しておかなければなりませんから、日本は何としてでも米国と緊密に協力し合いながら、中国の南シナ海、東シナ海における支配を許さないよう、強い抑止力を構築していかなければなりません。中国がしていることに注目して、勝手な行動を許さない態勢を作らなければ、大変なことになります。
http://www.news-postseven.com/archives/20160528_410771.html<
だが中国は実質、南シナ海で手一杯である。
その中国が東シナ海で冒険行為をするだろうか? しかも相手は海軍力で圧倒できない日本である。
「日本の防衛能力で尖閣諸島や東シナ海を守り切れるのか。」(桜井)とも述べているが、逆に中国の政治力・海軍力で尖閣諸島を実効支配下におけるのか、そのような判断をするのだろうか? といった疑問も浮かぶだろう。
もちろん、中国は上陸程度はできるだろう。だが、それをすると日本との衝突を覚悟しなければならない。島へのアクセスを妨害されるため、その利用はできない。また日本との対立の長期化を考えればあまり意味のある話ではない。
■ かつてはベトナムが南シナ海脅威であった
以上のとおり桜井さんの主張に現実味はない。結局は確信と宿命感による中国脅威論である。
内実は国難カルトと同じである。確かに主張には軍事や国際情勢といったトッピングを施しているがそれだけだ。現実的にミサイルを積むとか、海上輸送を止めるとか、東シナ海で冒険主義にでるといった見通しがあるわけでもない。これらは「アタイの考えた日本亡国」でしかない。
さらに言えば、日本の宿敵を中国とするのも時流に乗ったものでしかない。桜井さんや、その他の国難系主張の御仁は「中国人は不倶戴天の敵」「いつかは日本に攻めてくる」という。
だが、彼らの宿敵はコロコロ変わる。長期的に見えば、冷戦時代の敵はソ連であったし、戦前は米国であり、さらに明治初期は欧州帝国主義であった。桜井さんの主張をみても、中国脅威論が盛り上がる前は北朝鮮脅威論をメインであった。
まずは、その時の流行に迎合しているだけだということだ。
今回の南シナ海についても、30年前はベトナムが脅威であった。もし、カムラン湾のソ連太平洋艦隊が暴れたらといった想定である。仮にその頃に桜井さんがネトウヨ迎合活動をしていたとすれば
日本は今のうちから、南シナ海が完全に奪われた後のシミュレーションを行っておく必要があります。マラッカ海峡が閉鎖されて中東の石油が入ってこなくなった時にどうすべきか。本当に大変な状況になりつつあるのです。
とでも述べただろう。
さらに「カーター大統領が消極的なことが世界を不安にしています」「日本もアジアの国々も、ベトナムと1対1で対峙するのはもはや不可能です。」だから「中華人民共和国との連携を深めていくことが必要です。」と言っただろうね。
まあ、彼らの宿敵感覚はその程度で、始終ひっくり返る。時期に中国の次の宿敵を探すだろう。おそらくインドあたりかね。
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