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隅田金属日誌(墨田金属日誌)

隅田金属ぼるじひ社(コミケ:情報評論系/ミリタリ関係)の紹介用

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文谷数重

Author:文谷数重
 零細サークルの隅田金属です。メカミリっぽいけど、メカミリではない、でもまあミリタリー風味といったところでしょうか。
 ちなみに、コミケでは「情報評論系」です

連絡先:q_montagne@pop02.odn.ne.jp

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2016.06
08
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Category : 未分類
 日経「防衛装備品移転へ協議推進を確認 日タイ防衛相」では、日タイ防衛相会議に成果があったように書いている。

 だが、内容からすればそれは怪しいものだ。


■ タイは曖昧に笑っただけ

 まず、タイが日本の味方に立ったといった書きぶりは、ぬか喜びでしかない。

 記事は最後に日本の得点であるかのように締めている。
[南シナ海問題では]タイ軍事政権は中国との親密化が指摘されてきたが、この問題を巡っては国際法重視の姿勢を示している。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDE07H09_X00C16A6PP8000/


 だが「国際法は大事だよ」といった発言は、何も言っていないのと同義である。「南シナ海での中国の振る舞いは国際社会の脅威」といった日本の口ぶりに対し、角が立たないように「みんな仲良く」といっただけのものだ。「航行の自由や国際法に基づく紛争解決の重要性」(日経)とはその程度である。

 そもそもタイは正直、中国や南シナ海のことはどうでもよい。中国とは領土問題を抱えず国境線も接していないため、全く脅威ではない。南シナ海問題についても、それにより自国の経済に影響さえでなければいいといった立場である。

 そして中国はタイにとって大事な商売相手である。その機嫌は損ねたくはない。

 つまり、中国政策についてはタイはいつものとおり、曖昧に笑っただけの話である。それを勝手に日本有利に見とったものなのだろう。


■ 軍政への評価になるので前向きにもなる

 そして、防衛装備品移転への協議もさしたる成果でもない。

 これもタイは具体的には何も約束していない。なぜならタイは何かを買うといったわけではないためだ。
日本とタイは装備品移転の前提となる協定を結んでいない。中谷防衛相は技術協力も含め、まず事務レベルで議論を進めることでプラウィット氏と合意。記者団に対し「いずれ(協定を)結ぶ必要がある」と述べた。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDE07H09_X00C16A6PP8000/

よく読むと、日本から武器を買うといった具体的な話にはなっていない。

 もちろん、タイが日本製装備を買う可能性はある。伝統的にタイは全方位外交の一環として、世界中から武器を買ってそれぞれに恩を売っている。戦前には日本から軍艦を買い、80年代以降も中国から軍艦を買っている。

 ただ、実際に商談にすすむだろう兵器があるか、といえば厳しい。

 まず、日本製兵器には基本的に魅力はない。戦争中で武器不足でもなければ欲しがるような武器でもない。

 またタイは既に中進国の地位にある。すでに日本から武器を恵んでもらう立場でもない。むしろむしろ自前で武器を作りたい段階に達している。

 このあたり、タイの前向きな態度も日本にとって現実的な成果でもない。それによって「日本が喜ぶ」からといった理由であり、なによりも「あの日本から兵器輸入の道筋をつけた、世界に軍政は認められている」といった国内向けの効果を狙えるといった理由によるものだろう。
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