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隅田金属日誌(墨田金属日誌)

隅田金属ぼるじひ社(コミケ:情報評論系/ミリタリ関係)の紹介用

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文谷数重

Author:文谷数重
 零細サークルの隅田金属です。メカミリっぽいけど、メカミリではない、でもまあミリタリー風味といったところでしょうか。
 ちなみに、コミケでは「情報評論系」です

連絡先:q_montagne@pop02.odn.ne.jp

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2016.06
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Category : 未分類
 東洋経済オンラインに発表した記事に対し、いしゐのぞむさんが反論(リンク)されている。その中で石井さんが「文句があるなら文谷氏は私に反證して欲しい。」(石井)とある。せっかくなので、その中で気になるところだけでも反論すると次のとおりだ。


■ 石井さんは無害通航と接続水域の概念を理解していない

 石井さんは無害通航や接続水域の概念を理解していない。
チャイナ軍艦は、日本の接續水域で無害通航權を行使したのではない。自國の毘連區(ひれんく、接續水域)に這入る權利を行使したと言ってゐる。すなはち日本の接續水域を認めないことを通航で示したのである。無害通航ではないから日本は抗議した。
文谷數重氏「尖閣接續水域侵犯は合法。日本艦も南沙の接續水域に進入せよ」 正しい振りをして誤り


 まず、無害通航と接続水域の理解を誤っている。

 無害通航は領海内での行動に関する概念だが、接続水域は領海の外にある。中国軍艦が接続水域を通過したことに関して、そもそも筆者は「日本の接續水域で無害通航權を行使した」(石井)とは一言もいっていない。「接続水域を通過」したと書いている。そう書かないと、国際法理解で恥を掻くためた。

 また、中国軍艦が尖閣の接続水域に入ったことを指して「日本の接續水域を認めない」(石井)と言うのも、ピントがズレている。もともと接続水域は公海同然であり出入りも行動自由である。沿岸国は関税や出入国、環境汚染以外の権利は及ぼせない。どの国の軍艦が入ろうと入るまいと、軍事行動をしようがしまいが国際法的には何の問題もない。


■ 「南沙海域を無害通航」も精緻を欠く

 また、石井さんは南沙問題と領海・無害通航の関係も理解できていない。
 日本軍艦は仕返しとしてでなく、平常から南沙海域を無害通航すべきであった。その遲れをこそ批判すべきであって、仕返しといふのは全く誤りだ。但し南沙を航行せよといふ點だけに限定すれば文谷氏の主張は正しい。南沙が誰の領土なるかを問はず、無害通航は可能である。
同 上


 そもそも、南沙で無害通航と言い出すこと自体が慎重さを欠くものだ。太平島や常時干出が明瞭な岩礁をのぞき、問題となっているのは暗礁とそれを造成した人工島である。これらはそもそも領海を生じない。当然だが、領海が生じなければ無害通航の必要はない。

 逆に、これは石井さんが嫌う中国政府の主張「人工島の周囲は領海が発生する」に添った書きぶりでもある。日米は南沙問題とそこでの各国の主張について、現段階では領海は発生しないといった建前になっている。可能性として台湾の太平島には領海どころかEEZが生まれる可能性があるが、その点については何の判断もしていない。


■ 南沙問題への理解も乱暴

 最後が南沙問題等の理解の誤りだ。

南沙はチャイナが越南から武力で強奪したのであり、チャイナの正當な領土ではない。それを尖閣と同列に扱って相互に仕返しといふのは、尖閣に領土問題があるといふ印象を世界に與へる。尖閣に於いてチャイナがゼロであることは、國際法は勿論のこと、歴史について私が證明した通りだ。
同 上


 「南沙はチャイナが越南から武力で強奪した」とする理解も乱暴である。もともと南沙はどこの国もものとも言い難いためだ。かつては米海図に危険な暗礁地帯と書かれるだけの何も価値もない岩礁群であった。それが戦後、後に海洋新秩序となる海の囲い込みがあり、それぞれが自国のものと言い出したものに過ぎない。

 さらに言えば、戦前日本の主張からすれば南沙はむしろ中国主張に理があるともいえる。日本は圧倒的な海軍力で新南群島を支配し、台湾に属するとした。それであれば、戦後には南沙は中国に属することになる。南沙が台湾に属し、台湾は中国に属するためだ。つまり、かつての日本の主張を下敷きとすれば、南沙は今の台北政権あるいは新中国に属することになる。

 もちろん、敗戦後、日本は南沙はどこの国のものであるかは承知しない立場にあるのだが。


■ もともと反りは合わない

 そもそも石井さんとは御宗旨が違いすぎる。反りがあわないのも当然なことだ。
基本的には 日本が尖閣に公務員を常駐させないことが、火種を作ってゐる。無人島の周邊をどちらの公船・軍艦が自由に航行できるかといふ爭ひめいた形を作り出してゐる。島中に常駐してゐれば、通航の爭ひは意義を成さなくなる。國際法に「無人島」といふ語が出現する以上、無人島と居人島とは法的に同一ではない。
同 上


 もし、「日本が尖閣に公務員を常駐」(石井)したらどうなるか? それは漁民逮捕や尖閣国有化の誤りをみれば理解できるはずだ。

 互いのナショナリズムが刺激され、無意味な日中対立に落ち込む。13年のような日貨排斥が起きるだろうし、日本国内でも中国人に対する暴力行為が発生するだろう。もちろん、日中経済交流は止まる。

 それでいて、何の利益も生まれない。尖閣そのものには現実的な価値はない。地積は狭隘であり利用価値はなく、海底資源も商業的に採掘できる見込みはない。漁業についてもさほどの魅力がない上、EEZについても東シナ海は既にほぼ分割されており、尖閣分はたいしたものではない。そもそも、尖閣で日中台が入会状態にあったことからすれば、台湾を含む中国漁民のアクセスを認めなければならない。

 尖閣の支配は百害あって一利もない。その点、公務員どころか一般国民の上陸接近を認めない今の方針は正しい。むしろ今後は漁業資源保護あたりを名目に、相互に12あるいは24マイル以内への自国民の接近禁止し、厄介な民間活動家の行動を封殺すべきだろう。
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