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大統領会談が流れた件は、今後の米比関係を象徴するものではないか?
比大統領が人権問題で米批判を繰り返した結果、米比大統領会談が流れた。その仔細は「オバマ氏、比大統領との会談取りやめ 米批判を繰り返す」等で報道されたとおり。「麻薬乗用者や密売人を裁判なしに処刑することに文句をつけるな」といったものだ。
この手の発言は唐突なものではない。ドゥテルテ大統領は8月5日には在フィリピン米大使を侮蔑する発言をしている。他にもフィリピン国内での強姦問題での侮蔑的発言や女性蔑視的な発言で各国から問題視されていた。要は「若者はレイプするくらいが元気があってよろしい」のフィリピン版である。
この状況では、米国、特に人権問題を重視する米議会はフィリピンとの距離を採ろうとする。
■ 軍事援助は厳しくなる
米比は旧宗主国と旧植民地の関係にある。そのため、従来より米国は格別の庇護を与えてきた。
特に防衛分野には相当の援助をしており、今でもフィリピン軍を支える要素となっている。
だが、米国との関係悪化により今後はその進捗は難しくなる。
米安全保障分野は今までどおりそれを進めようとする。事実上のフィリピン再駐留(ローテーション派遣)はアジア・ピボットの一つの要素である。また、軍政かつ中国影響力が増大したタイと疎遠になった状況では、フィリピン強化は仕切りなおしとなる。
だが、今後は議会がいい顔をしない。
議会は人権重視である。実際にその観点からも今のベトナム武器売却にも積極的ではないためだ。民主党の一部は人権問題で、共和党は旧敵国といった感情で対越軍事援助に反対している。
フィリピンも同様に人権問題から援助は差し止めとなる。
少なくとも、軍艦のような大物援助はなくなる。米国はフィリピンに軍艦を事実上タダで引き渡している。旧カッターのハミルトンを無償で整備し、Mk38リモコン機銃やRHIB搭載といった有料改修分も対比援助予算で棒引きしていた。これは米比の歴史的親密性を反映したものだが、今後は難しくなるだろう。
■ テロ対策も非難される
この傾向は今後も強まる。なぜなら、テロ対策も非難され、それを理由に援助を止められる可能性は高い。
2日にダバオでアブ・サヤフがテロを起こした。ドゥテルテ大統領の地元であり権威が揺らぐこともあってか、そのテロにも強硬姿勢を示している。
おそらく、麻薬問題同様にシンパを含めて無差別殺害を奨励することとなる。そうすれば事態は急速にエスカレーションする可能性がある。
フィリピンは昔から南部には様々なゲリラ勢力を抱えている。新参のアブ・サヤフだけではない。
これら勢力は今は比政府とほぼ和平の状態にある。
だが、対テロ作戦といった名目で「疑わしきは殺す」をやれば、かれらも立ち上がる。アブ・サヤフ対策として無思慮なテロ対策が進められ、場合によればイスラムである、あるいは旧共産ゲリラ支持者というだけで殺されれば、これら旧勢力や旧支持者は立ち上がる。ボルネオやインドネシアのイスラム勢力も合流する可能性が高く、いずれにせよ収拾つかなくなる
あとは、対立のスパイラルとなる。比政府がヨリ強硬な対策をとり、それが現地で従来以上の反発を起こす。その繰り返しだ。
結果、過剰なテロ対策として米国や国際社会からそれ以上の反発を受ける。ソンミのような大量殺戮が行われれば、マルコス大統領期以上の窮地に追い込まれるかもしれない。今は冷戦時代ではなく、米国や西側はかつてのように非人道的な独裁者を認める時代ではないためだ。
この場合、最悪では米国からフィリピンへの出稼ぎ送金がとめられるかもしれない。そうなればフィリピン経済は今の好況どころではなくなる。
もちろん、今の段階でも米国との自由貿易はほぼ絶望とみてもよいだろうが。
比大統領が人権問題で米批判を繰り返した結果、米比大統領会談が流れた。その仔細は「オバマ氏、比大統領との会談取りやめ 米批判を繰り返す」等で報道されたとおり。「麻薬乗用者や密売人を裁判なしに処刑することに文句をつけるな」といったものだ。
この手の発言は唐突なものではない。ドゥテルテ大統領は8月5日には在フィリピン米大使を侮蔑する発言をしている。他にもフィリピン国内での強姦問題での侮蔑的発言や女性蔑視的な発言で各国から問題視されていた。要は「若者はレイプするくらいが元気があってよろしい」のフィリピン版である。
この状況では、米国、特に人権問題を重視する米議会はフィリピンとの距離を採ろうとする。
■ 軍事援助は厳しくなる
米比は旧宗主国と旧植民地の関係にある。そのため、従来より米国は格別の庇護を与えてきた。
特に防衛分野には相当の援助をしており、今でもフィリピン軍を支える要素となっている。
だが、米国との関係悪化により今後はその進捗は難しくなる。
米安全保障分野は今までどおりそれを進めようとする。事実上のフィリピン再駐留(ローテーション派遣)はアジア・ピボットの一つの要素である。また、軍政かつ中国影響力が増大したタイと疎遠になった状況では、フィリピン強化は仕切りなおしとなる。
だが、今後は議会がいい顔をしない。
議会は人権重視である。実際にその観点からも今のベトナム武器売却にも積極的ではないためだ。民主党の一部は人権問題で、共和党は旧敵国といった感情で対越軍事援助に反対している。
フィリピンも同様に人権問題から援助は差し止めとなる。
少なくとも、軍艦のような大物援助はなくなる。米国はフィリピンに軍艦を事実上タダで引き渡している。旧カッターのハミルトンを無償で整備し、Mk38リモコン機銃やRHIB搭載といった有料改修分も対比援助予算で棒引きしていた。これは米比の歴史的親密性を反映したものだが、今後は難しくなるだろう。
■ テロ対策も非難される
この傾向は今後も強まる。なぜなら、テロ対策も非難され、それを理由に援助を止められる可能性は高い。
2日にダバオでアブ・サヤフがテロを起こした。ドゥテルテ大統領の地元であり権威が揺らぐこともあってか、そのテロにも強硬姿勢を示している。
おそらく、麻薬問題同様にシンパを含めて無差別殺害を奨励することとなる。そうすれば事態は急速にエスカレーションする可能性がある。
フィリピンは昔から南部には様々なゲリラ勢力を抱えている。新参のアブ・サヤフだけではない。
これら勢力は今は比政府とほぼ和平の状態にある。
だが、対テロ作戦といった名目で「疑わしきは殺す」をやれば、かれらも立ち上がる。アブ・サヤフ対策として無思慮なテロ対策が進められ、場合によればイスラムである、あるいは旧共産ゲリラ支持者というだけで殺されれば、これら旧勢力や旧支持者は立ち上がる。ボルネオやインドネシアのイスラム勢力も合流する可能性が高く、いずれにせよ収拾つかなくなる
あとは、対立のスパイラルとなる。比政府がヨリ強硬な対策をとり、それが現地で従来以上の反発を起こす。その繰り返しだ。
結果、過剰なテロ対策として米国や国際社会からそれ以上の反発を受ける。ソンミのような大量殺戮が行われれば、マルコス大統領期以上の窮地に追い込まれるかもしれない。今は冷戦時代ではなく、米国や西側はかつてのように非人道的な独裁者を認める時代ではないためだ。
この場合、最悪では米国からフィリピンへの出稼ぎ送金がとめられるかもしれない。そうなればフィリピン経済は今の好況どころではなくなる。
もちろん、今の段階でも米国との自由貿易はほぼ絶望とみてもよいだろうが。
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