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隅田金属日誌(墨田金属日誌)

隅田金属ぼるじひ社(コミケ:情報評論系/ミリタリ関係)の紹介用

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文谷数重

Author:文谷数重
 零細サークルの隅田金属です。メカミリっぽいけど、メカミリではない、でもまあミリタリー風味といったところでしょうか。
 ちなみに、コミケでは「情報評論系」です

連絡先:q_montagne@pop02.odn.ne.jp

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2016.11
07
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07:17
Category : 未分類
 米国には「ICBMを更新しろ」と主張する論者がいる。説得力に乏しい理屈を振り回す姿は日本の戦車論者の言い分に似ている。どちらも非現実的な設定をしていることは同じである。


■ ターゲット・スポンジ

 現在の米核抑止はSLBMで充分達成されている。オハイオ級14隻、計336発のトライデントで世界中の都市を焼き尽くせるからだ。

 それに対し、ICBM論者はSLBMはICBMの代替はできないという。なによりもオハイオ級は敵の核攻撃を吸収しきないと主張する。今のICBMサイロ400は敵核弾頭400を吸収する。米国を核攻撃するにはそれ以上の弾頭を必要とさせる。これは敵の核攻撃の敷居を高くするものだとするターゲット・スポンジ論を展開している。

 だが、ターゲット・スポンジ論は抑止そのものとは全く関連はない。核抑止は核攻撃を行えば報復攻撃を受けるといった相互確証破壊によっている。報復目標は相手の都市にある。400のサイロではない。

 簡単な話だ。400のサイロが潰しきらないから敵都市への報復を諦めると言った発想があるだろうか? あるいは、400のサイロを先制核攻撃で潰せば相手の報復がないといえるだろうか? どちらも誤りだ。米国の先制核攻撃を受ければ、被攻撃国は第二次報復も無視して大都市を狙う。また、米国400のサイロを先制核攻撃して潰しても、SLBMや戦略爆撃機からの巡航ミサイルによる報復は免れない。

 これを世間はそれをマヌケな理屈と見ている。相互確証破壊はSLBMで充分なことはわかりきっているためだ。

 だがICBM屋は大真面目である。身内ではそれが常識だからだ。ICBMサイロには敵核攻撃を吸収する機能がある。だから、多数準備すれば敵の核攻撃の敷居を高くできる。あるいは躊躇するだろう。

 それこそ一種の教義、ドクトリンとして教育し信じ切っている。だから珍奇な主張であることに気づいていないのである。


■ 本土決戦論

 これは日本の戦車論者も同じだ。

 今日の日本防衛で戦車は何の価値もない。中国との対立は東シナ海から太平洋、インド洋といった海で行われているためだ。そこでは戦車は役に立たない。逆にそこで負ければ日本は海へのアクセスを失って終わりとなる。

 だが、戦車論者はそれがわかっていない。連中が口々に言うのは本土決戦となった場合には戦車がなければ戦えないといったものだ。だから最新戦車や機動戦闘車が必要というものだ。

 しかし、実態を考えると本土決戦だけの理屈には意味はない。平時の中国とのゲームでは何の意味もなく、戦時を考えても中国には日本本土に上陸することが目的でもない。日本としても海で負ければ戦争を続ける意味もない。そこで中国の要求なりを飲んでおわりだ。

 そのあたりを考えず、戦争となれば敵は日本の支配を目的とする、必ず上陸してると言い出すあたりが、やはりズレている。

 これもまた世間とズレている。中国との対立は海空戦力の対峙であることに気づいているからだ。


■ 更新する理由がない

 そして両者の理屈に共通するのは、新型にする必要を説明できないことだ。

 ICBM論者のターゲット・スポンジ理論は旧式のICBMでも成り立つ。そこに核ミサイルがあるとすれば、たとえ旧式でも敵の核弾頭は吸収されるためだ。別に新型にする必要はない。

 戦車論者も同じである。今でも日本は戦車を持っている。10式と同性能の90式は既に装備し、機動戦闘車と同じ主砲を持ち防御力はむしろ強力な74式も残存している。別段、新戦車や機動戦闘車である必要もない。

 このあたりの抜け方も似ている。結局は細部だけをみて全体がみられない主張だということだ。たぶん、中国や北朝鮮でも、斜陽の兵器について、職域やマニアは似たようなことを言っているのだろう。
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