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奇襲は察知できない侵攻は発生するのだろうか?
フォークランド紛争の理解を誤った例がある。英国はアルゼンチンの侵攻を察知できず、奇襲を受けたために島を占拠されたというものだ。
その例はこのようなものだ。

この発言は「フォークランドは奇襲であり、英国が侵攻を察知できなかったため発生した」といった思い込みを反映したものにすぎない。
これはフォークランド紛争発生の背景を全く理解できていないことを示している。
フォークランド侵攻はアルゼンチンの行動を察知予測できないから発生したのではない。英国が対応できないためアルゼンチンは侵攻したのであり、英国も侵攻されても対応できないと拱手していたためにアルゼンチンの侵攻を許した話だ。
■ フォークランドに対応する気力はない
フォークランド紛争の背景は、英国に対応する気力も体力もなかっただけの話だ。
70年代末、大英帝国崩壊は最終段階にあった。60年にアジア・アフリカ各国が独立し、68年にスエズ以東から軍事力を撤退させた。そして70年代には英連邦体制から欧州共同体へのシフトを決意している。英国がEECへの加入を決めたのが73年である。
さらに、英国病によりとれる政策の制約は大きい。戦後英国は長期の経済停滞にあった。英国病と呼ばれたもので欧州のお荷物である。東方世代で、お理工系の教育だけに特化していたみなせさんはご存じないだろうが、当時英国は経済的な底である。
このため英海軍力も遠征能力を失っていた。正規空母の処分がその象徴である。経済停滞により維持する余裕がなくなり、植民地放棄により所要もなくなったとして海軍力は整理された。英海軍は戦略原潜と対潜戦、対機雷戦に特化した海軍となっていた。
この状況で、英国はフォークランド防衛の意欲も充分な能力もなかった。本土から1万2000kmも離れており、経済的には無意味な離島で地域大国アルゼンチンと戦う意味はなかったためだ。
■ 77年占拠には対応していない
実際に、英国はアルゼンチンによるフォークランド占拠に為す術もないと放置している。
77年の侵攻着手にも軍事的対応を行っていない。既述のとおり、気力がないといった問題から、英労働党政権はアルゼンチンによる一部占拠にも軍事対応を行っていない。サッチャー政権も、侵攻前には打つ手なしとして最終的には香港式の外交解決を考えていた。
このあたりは紛争の背景として周知のものだ。
例えば、公刊されている防研の『フォークランド戦争史』(2014.3)pp.2-4.に詳しい。みなせさんは
と発言されている。、普通に日本語で公開されている。他にも有斐閣『国際政治』でも85年ころに似たような特集がある。
それを読んだことがないのは残念なものだ。みなせさんも、ドミトリー・ドンスコイさんも戦闘史や武器の話ばかりしか読まないのでは、視野狭窄となりいずれは恥をかくことになるだろう。
■ 隠蔽・奇襲で成功したのか?
つまりは、フォークランド紛争を全く御理解されていないということだ。
フォークランド侵攻が成立した条件を、隠蔽による奇襲成功と考えていることが誤りなのである。「『フォークランドは相手が小部隊だから隠蔽できた』」(みなせ)と述べているが、占拠は隠蔽の結果ではないし、そもそも小部隊だから成立したわけではない。オペレーション・ロザリオは艦隊規模を投入した上陸戦であり、後詰を含めれば旅団規模が準備されていた。
その点をもって日本本土防衛を語るのは乱暴なものだ。そもそもが新宗教的な国難思想からか日本上陸を恐れているのだろう。このあたりは、その排外的な政治的スタンスから窺えるものだ。
そこで、中国は日本に攻めてくるとフォークランドの例を持ち出した。だが、それを日本侵攻に当てはめるのは無理だ。強いて言えばオーストラリアによる昭和基地侵攻でしかないものだ。
■ 所詮は理系カルト
結局は、中途半端な知識を振り回して恥をかく例だ。ご両名は米軍教範の翻訳や3DCGといった、そこに存在する軍隊やその装備について表面的に模倣することに熱心なご様子である。
だが、その背景にある政治経済な条件、広くいえば社会科学にも注意を向ける必要があるだろう。ミクロに理系カルト的に兵器のネジの数を数えることよりも、社会全体を見る必要があるようにみえるものだ。
フォークランド紛争の理解を誤った例がある。英国はアルゼンチンの侵攻を察知できず、奇襲を受けたために島を占拠されたというものだ。
その例はこのようなものだ。
みなせ_C90お疲れ様でした@Ton_beri
アタイみたいな素人が同じ事書くと「偵察衛星で事前行動を察知できて、P-3Cで叩いて殺せるから大部隊上陸なんてありえない」ってレスが一杯来るんだお。
@borozino 今の中国に日本に上陸する能力がないとする理由ってなんなんですかね?(暗黒微笑
https://twitter.com/Ton_beri/status/797124966613327873
ドミトリー・ドンスコイ@borozino
っ「フォークランド紛争」救いはモンタニが既に退役してる事w
https://twitter.com/borozino/status/797126343766908928

みなせ_C90お疲れ様でした @Ton_beri 13 時間13 時間前
@borozino それで通じてくれれば、仕事が楽ですw
「フォークランドは相手が小部隊だから隠蔽できた」って感じで色々な言い訳があり、湾岸も、第4次中東戦争も、ぜーんぶ当てはまらないそうです。
https://twitter.com/Ton_beri/status/797128967836745728
この発言は「フォークランドは奇襲であり、英国が侵攻を察知できなかったため発生した」といった思い込みを反映したものにすぎない。
これはフォークランド紛争発生の背景を全く理解できていないことを示している。
フォークランド侵攻はアルゼンチンの行動を察知予測できないから発生したのではない。英国が対応できないためアルゼンチンは侵攻したのであり、英国も侵攻されても対応できないと拱手していたためにアルゼンチンの侵攻を許した話だ。
■ フォークランドに対応する気力はない
フォークランド紛争の背景は、英国に対応する気力も体力もなかっただけの話だ。
70年代末、大英帝国崩壊は最終段階にあった。60年にアジア・アフリカ各国が独立し、68年にスエズ以東から軍事力を撤退させた。そして70年代には英連邦体制から欧州共同体へのシフトを決意している。英国がEECへの加入を決めたのが73年である。
さらに、英国病によりとれる政策の制約は大きい。戦後英国は長期の経済停滞にあった。英国病と呼ばれたもので欧州のお荷物である。東方世代で、お理工系の教育だけに特化していたみなせさんはご存じないだろうが、当時英国は経済的な底である。
このため英海軍力も遠征能力を失っていた。正規空母の処分がその象徴である。経済停滞により維持する余裕がなくなり、植民地放棄により所要もなくなったとして海軍力は整理された。英海軍は戦略原潜と対潜戦、対機雷戦に特化した海軍となっていた。
この状況で、英国はフォークランド防衛の意欲も充分な能力もなかった。本土から1万2000kmも離れており、経済的には無意味な離島で地域大国アルゼンチンと戦う意味はなかったためだ。
■ 77年占拠には対応していない
実際に、英国はアルゼンチンによるフォークランド占拠に為す術もないと放置している。
77年の侵攻着手にも軍事的対応を行っていない。既述のとおり、気力がないといった問題から、英労働党政権はアルゼンチンによる一部占拠にも軍事対応を行っていない。サッチャー政権も、侵攻前には打つ手なしとして最終的には香港式の外交解決を考えていた。
このあたりは紛争の背景として周知のものだ。
例えば、公刊されている防研の『フォークランド戦争史』(2014.3)pp.2-4.に詳しい。みなせさんは
米軍あたりが、論文を公開してくれてたりすると仕事がはかどりますが、アクセスする手間を考えると、すごく大変なのです。
https://twitter.com/Ton_beri/status/797131548105392128
と発言されている。、普通に日本語で公開されている。他にも有斐閣『国際政治』でも85年ころに似たような特集がある。
それを読んだことがないのは残念なものだ。みなせさんも、ドミトリー・ドンスコイさんも戦闘史や武器の話ばかりしか読まないのでは、視野狭窄となりいずれは恥をかくことになるだろう。
■ 隠蔽・奇襲で成功したのか?
つまりは、フォークランド紛争を全く御理解されていないということだ。
フォークランド侵攻が成立した条件を、隠蔽による奇襲成功と考えていることが誤りなのである。「『フォークランドは相手が小部隊だから隠蔽できた』」(みなせ)と述べているが、占拠は隠蔽の結果ではないし、そもそも小部隊だから成立したわけではない。オペレーション・ロザリオは艦隊規模を投入した上陸戦であり、後詰を含めれば旅団規模が準備されていた。
その点をもって日本本土防衛を語るのは乱暴なものだ。そもそもが新宗教的な国難思想からか日本上陸を恐れているのだろう。このあたりは、その排外的な政治的スタンスから窺えるものだ。
ドミトリー・ドンスコイ@borozino
そういえば某脳みそクルクルパーなパンダ野郎が「日本ではとっくのとうにチマチョゴリ云々」とか言ってましたね
韓国で韓国人がチマチョゴリ着ないのも日本人によるヘイトスピーチへの対策ですかそうですか
https://twitter.com/borozino/status/797131867166150656
そこで、中国は日本に攻めてくるとフォークランドの例を持ち出した。だが、それを日本侵攻に当てはめるのは無理だ。強いて言えばオーストラリアによる昭和基地侵攻でしかないものだ。
■ 所詮は理系カルト
結局は、中途半端な知識を振り回して恥をかく例だ。ご両名は米軍教範の翻訳や3DCGといった、そこに存在する軍隊やその装備について表面的に模倣することに熱心なご様子である。
だが、その背景にある政治経済な条件、広くいえば社会科学にも注意を向ける必要があるだろう。ミクロに理系カルト的に兵器のネジの数を数えることよりも、社会全体を見る必要があるようにみえるものだ。
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