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隅田金属日誌(墨田金属日誌)

隅田金属ぼるじひ社(コミケ:情報評論系/ミリタリ関係)の紹介用

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文谷数重

Author:文谷数重
 零細サークルの隅田金属です。メカミリっぽいけど、メカミリではない、でもまあミリタリー風味といったところでしょうか。
 ちなみに、コミケでは「情報評論系」です

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2017.05
07
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Category : 未分類
 T-62にはRPG-2が効かない。解放軍の75ミリ無反動砲や40ミリロケットは通用しない。

 これは共産党の雑誌に掲載された珍宝島関連記事で見つけた記述だ。朱岩さんの「中俄双方視角下的珍宝島事件」*では次のように書いている。
我辺防軍使用的75毫米無后坐力炮和40毫米火箭筒都是蘇聯40年代的設計的武器、威力有限、当弾闘撃中有着新型外殻設計的蘇軍装甲車両時、大多為威”跳弾”従其表面滑過(朱岩.p49)


 跳弾といった言葉には違和感があるが、おそらくは撃角不良で信管が通用しなかったことを指している。慣性式であったため、T-55以前よりも砲塔が曲面化したT-62には通用しなかったといったあたりだ。

 HEATでの慣性式信管は動作確実ではない。大戦中・戦後初期の成形炸薬弾は弾底の慣性信管で発火する。だが、これは動作不良の原因であり、後に圧電効果を利用したピエゾ信管に遷る。日本の場合だと1960年ころの業界誌に載っており、おそらくそのあとにピエゾ化している。中国はそれからさらに遅れたのだろう。実際に使っていた武器もRPG-2である。ネット上でざっとみてもRPG-2は-7とは違い特にピエゾを使っているとかいているわけではない。

 しかも新戦車T-62が投入されたことで動作不良は目立つこととなった。珍宝島ではT-62が投入され、解放軍に捕獲されている。後に「打倒苏修!」の幕をつけて展示された車両だ。ちなみに別記事にその写真があり小学校か中学校のころ一度見たことを思い出した。その砲塔はT-55以前よりも曲面化が進んでいる。そのため、少しでもズレるとHEATは真芯で当たれない、砲塔にまっすぐ立って当たらない。

 それを「跳弾」と称したのだろう。砲弾軸からやや斜めからの衝撃に対して信管は動作せず、そのまま滑って飛んでいってしまったように見えた。そんなあたりなのだろう。

 それからすれば、本格的交戦をした場合まず中国側のHEATは相当に威力を発揮できなかったのだろう。珍宝島事件以降、新中国は70年代を通じて準戦時体制を続けていた。東北や内蒙古、新疆で戦争になると考えていた。実際にソ連には中国と全力で戦う余力もなかった。だが、本当にそうなったとすれば頼みの各種兵器は、無反動砲やロケット砲あるいは旧式砲は無効ではないものの残念な結果におわっただろう。



 ちなみに、当時の新中国は九四式山砲向けのHEAT等も作っている。八〇年ころの火砲関係の洋書、たぶんイアン・V・ホッグの現用火砲の本(うろおぼえ、家にあるはずだが探しても見つからない)には、なぜか日軍九四式が載っていてHEATの威力を五〇ミリとしていた。旧軍のHEATそのものを作ったか戦後に新しく設計したかはともかく、まずはこれもアテにならなかっただろう。


*   朱岩「中俄双方視角下的珍宝島事件」『党歴博採』2016年6期(中国共産党河北省委党史研究室,2016年)pp.46-50.
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