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隅田金属日誌(墨田金属日誌)

隅田金属ぼるじひ社(コミケ:情報評論系/ミリタリ関係)の紹介用

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文谷数重

Author:文谷数重
 零細サークルの隅田金属です。メカミリっぽいけど、メカミリではない、でもまあミリタリー風味といったところでしょうか。
 ちなみに、コミケでは「情報評論系」です

連絡先:q_montagne@pop02.odn.ne.jp

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2017.06
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Category : 未分類
 カタール問題で石油やLNG輸入が途絶えるのだろうか?

 加藤AZUKIさんは輸入途絶により反原発論は否定されると主張している。火力発電の脆弱性から原発は必要となる。「反原発論者の言う『原発運転の必要はない』とする主張は崩れる」といったものだ。

加藤AZUKI@「忌」怖い話香典怪談‏ @azukiglg
2012年頃の「原発など不要」「即時廃炉」「給料がゼロになっても原発反対」「火発で足りる」って言ってた人達に、今の「カタール問題」をどう捉えているのか聞いてみたいなと思ったんだけど、【あらかたブロックされてた!】
https://twitter.com/azukiglg/status/873626407112327168

加藤AZUKI@「忌」怖い話香典怪談‏ @azukiglg
実際今、カタールの問題が持ち上がってるけど、火発至上主義の人達はLNGの15%の輸入先と、日本の原油の最多輸入先の対立をどう見てんだろうかね QT @tyurukichi_AA: @azukiglg 原発停止の問題はコストそれ自体じゃなくて、火力発電所の事故を併発することとタンカ
https://twitter.com/azukiglg/status/873625841858564096

加藤AZUKI@「忌」怖い話香典怪談‏ @azukiglg
原油に限った場合で、サウジ、UAEの肩を持ってイランとカタールを断交したら、原油輸入量の13.2%がなくなるし、逆をやったら58.7%がなくなるし
https://twitter.com/azukiglg/status/873625841858564096



■ LNG入手は困らない

 だが、LNGはカタール以外からでも買えることを無視している。パイプラインのように山元と消費国は固定関係にないこと。しかも最近はコモディディ化が進んでおり、しかもガスも液化能力もダブついている。

 仮にカタールから買えなくなってもスポットなら話はすぐにまとまる。あとはLNGタンカーを送ればすぐに買える。北極海やメキシコ湾岸からの購入なら、耐氷グレードやパナマックスといった専用タンカーが必要となるが、オーストラリアや西アフリカならカタール向けのカタールマックスで対応できる。

 その価格も低廉だ。例えばヘンリー・ハブ渡しのスポット価格で100万BTUあたり7ドル程度といわれている。これは液化や日本までの輸送費を含んでいる。ガスだけで100万BTUの11ドル程度のカタール産天然ガスよりも安い。


■ なぜ日本が断交するのか?

 また、加藤AZUKIさんはエネルギー飢饉を強調するためなぜか日本が湾岸各国と断交する話をしている。「[日本が]サウジ、UAEの肩を持ってイランとカタールを断交したら、原油輸入量の13.2%がなくなるし、逆をやったら58.7%がなくなる」(加藤AZUKI)がそれだ。

 しかし、なぜ日本がカタールやサウジと断交しなければならないのだろうか?

 地域対立にあわせて日本が国交断絶しなければならない理由はない。

 これは実例をみても明らかだ。ペルシア湾岸であれば、日本は革命後のイランとも国交を閉ざしたことはない。イランと米国との関係が深刻となっても、イライラ戦争が始まっても、核開発疑惑を掛けられても、シリアやイエメンでの汎スンニズム勢力との対立が起きても国交は保っている。

 加藤AZUKIさんが述べる「[日本が]イランとカタールを断交したら」や「[日本がサウジやUAEへの国交断絶といった]逆をやったら」といった仮定自体が空中楼閣なのである。


■ 石油もダブついている

 そして、その石油入手性の問題もない。石油もダブついているからだ。これはラスト・オイルショックの意味がかつてと今で逆転したことからも明らかである。

 仮にイランとカタールの原油が入らなくなってもその穴は埋められる。不足から価格上昇すればOPECは減産を取りやめ、北米シェールオイル採掘で在庫状態にあった高価格油井の生産も再開する。中期的にはカナダのサンドオイルの増産、長期的には北極等での油田開発やオリノコ・ヘビータールの増産、ガス液化・石炭液化ももあるからだ。

 ちなみに国交途絶で原油購入ができなくなっても中継購入は可能だ。イランやカタールの原油をインドや中国から買えばいいし、あるいは対日余剰分を中国やインドが買い叩いた結果、不要となった高価格原油を買っても良い。

 なによりも、それ以上の困難だったイライラ戦争でも湾岸戦争でも原油輸入は止まらなかったことを思い起こすべきだろう。それからすれば、加藤AZUKIさんのエネルギー飢饉論は机上の空論なのである。


■ 「数字」も「概念」も「理屈」も粗雑

 つまりは粗雑な主張だということだ。

 加藤AZUKIさんはつぎのようにも述べている。
加藤AZUKI bot‏ @azukiglgbot
「こまけえことはプロが考えろ、我々は方針を決定するだけだ」系の廃炉論者は、そういえば文系というか「数字」か「概念」か「理屈」を説明できない人が多かったな。今思えば、あれは理論の破綻というより、信仰(思考停止)だった、と考えれば筋は通るか。
https://twitter.com/azukiglgbot/status/873635155386146816


 だが「カタール問題で反原発論を否定できるのです」といった加藤さんの主張こそがそれだろう。持ち出した天然ガスシェアの「数字」はむしろ影響範囲が小さいことを示すものであり、日本との国交断絶といった「概念」やその効果として石油輸入ができなくなるといった「理屈」は現実を反映したものでないからだ。

 カタール問題とアンチ反原発・原発ヨイショを結びつけた主張は「理論の破綻というより、信仰(思考停止)だった、と考えれば筋は通る」(加藤AZUKI )。そういって差し支えはない。
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