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違和感というものは不思議なものだ。表面づらはとりあえず整っているが、どこかが間違っていると分かるからだ。騙し絵的な狂いがある。あるいは本来あるべきものがない。そういった、明瞭な間違いではない間違いがそこに存在することを警告する感覚である。
須賀原洋行さんの主張がそれだ。
筆者はこの発言に違和感を感じた。
それは何故か? 詰めて考えれば現実社会の電気自動車の普及と矛盾するからだ。
■ では、なぜ「世界を席巻」できるのか
その違和感を分解して示せば次のようなものだ。
まずは須賀原さんの予想の捻れである。EVは不利と言いながら、同時にEVが世界を席巻するという見通しを立てている。
須賀原さんはEVはHVどころか在来エンジンよりも不利としている。まず「本当の世界貢献」(須賀原)としてEVはHVや水素燃料によりも不利であると述べている。同時にEVは在来のレシプロ車よりも不利であるとも示唆している。「結果的には地球環境に悪影響を及ぼしますよね。火力発電や原子力発電で作る電力を使うのですから。」(須賀原)はそれだ。
だが、これは「電気自動車が世界を席巻してしまう」(須賀原)と衝突する。EVが本当に不利なら普及しないからだ。
■ 勝者はEV
実際には「EVは将来見通しで優位に立っている、そのために普及する」と予想されている。
だいたい20年代に日米欧中で10~20%のシェアを達成すると見込まれている。
EVは在来車に優位に立つからだ。在来車のレシプロエンジンは熱効率の向上はほぼ見込めない。それに対し、化石燃料発電でも高い熱効率が実現され、燃料も安価な天然ガスでよいEVは優位に立つ。電池技術も進歩している。このため発電ロス、送電ロス、充電ロスを勘案してもカロリーベースではEVが勝つと見られているからだ。
そこでHV、水素燃料電池は特書されない。EV有利の日陰となるからだ。
HVはEVに敵しない。EVよりも優れていると主張するなら、なぜPHVが登場するのかを考えればよい。HVが優れていればPHVは出現しない。電力供給が不安定な地域や長距離運転用の需要はあるだろう。だが、ディーゼルに勝てるかもやや怪しい。負けもしないが引き分け程度となるだろう。
水素燃料はロクなものではない。天然ガスのリフォーミングは化学エネルギーの半分を切り捨てるようなものだ。そして、EVを水素燃料電池で置き換えるために「燃料電池車の水素のエコな製造方法」(須賀原)を追求するはない。自然エネルギーで電気分解するくらいならその電力で電池を充電する。あるいは水素を作っても電池対応できない航空燃料生産等に回す。
■ 将来に見えてきた「自動車敗戦」の否認
須賀原さんは、なぜそのような矛盾した主張をしたのだろうか?
おそらくは敗戦の否認だ。
日本自動車産業はEV不利が見込まれている。ハッキリいえばこのままでは負けが見えている。しかも欧州に負けるだけではない。中国の長城や吉利にも負けようとしている。
だが、須賀原さんはそれを認めたくない。政治でのアクロバティック体制擁護のように、既存体制が最善解であり、それを擁護するのが現実的だと思いこんでいる。
EV有利を石油メジャーの陰謀としてするのもその否認である。「アメリカを裏で操る石油メジャーが[中略]自動車業界がエコに転身したかのように見せかける為の道具」(須賀原)と述べているが、石油メジャーと自動車業界は別セクターである。そもそも「アメリカを裏で操る石油メジャー」(須賀原)が、なぜ石油を使わないEVをエコであるかと宣伝しなければならないか不思議なものだ。認知のゆがみといったものだ。
そして日本自動車産業、トヨタ-マツダ合弁の擁護をする。これはアレ宰相擁護と同じだ。自分がヨイショしてきた体制が負けることを認めたくない。棺桶に片足突っ込んで、そろそろお腹が痛くなるヤツなのに、政治的に生き残れると自分を騙そうとする。
そして今では手垢がついたEV批判を引っ張り出す。「電気自動車は環境負荷は実は大きい」といったものだ。20年近く前に太陽光批判ででてきたものと同じだ。当時の段階ではそうだが、今では成り立たない批判である。
「電気自動車は地球環境に悪い、だからHVや水素燃料電池を作らなければならない」と主張はこのようなものだ。これは須賀原さんのライト・イズ・ライト的な価値判断にも都合がよい。サヨク的な環境保護指向を否定する、あるいは冷水を浴びせられると信じられるからだ。
----------------------- オマケ (当日16時追記)------------------------------
もちろん、ERを含むHVやディーゼル車は記事中で述べた通り長距離運航の有利があるわけで
内燃エンジン車はEVに対してこのような利点がある。それは事実でしょう。
でも、ISOかなにかで自動車用補助電力バッテリーかなにか規格化して、コンビニ等で店で貸す形で電力売ると相当どうにかなっちゃう気がする。その場合、ER用のエンジン傾倒は不要になる。
もちろん、今はない。でもEVが普及したらそういったギミックや商売がうまれるんじゃないかな。統一形状統一極性で、電池劣化や充電率の差もあるので個別電力計をつけて保証金取って返すところで精算みたいな。
まー、特許とか実用新案とればいい商機かもしれない。キャンプやらの農業用動力の需要もあるだろうし。
けど、規格化の際には特許や実用新案は全部スキップできる形にされるのではないかとも思う。海上輸送コンテナは規格化の際、コネクタ形状は既存特許を全部回避する形にしたから。
須賀原洋行さんの主張がそれだ。
須賀原洋行 @tebasakitoriri
電気自動車が世界を席巻してしまうと、結果的には地球環境に悪影響を及ぼしますよね。火力発電や原子力発電で作る電力を使うのですから。
日本はハイブリッド車のさらなる進化や、燃料電池車の水素のエコな製造方法など追求することで本当の世界貢献をすべきなのでは。
https://twitter.com/tebasakitoriri/status/893506054037700608
須賀原洋行 @tebasakitoriri
EV車って、アメリカを裏で操る石油メジャーが自分達の利権はそのままに、いかにも自動車業界がエコに転身したかのように見せかける為の道具なのでは。
https://twitter.com/tebasakitoriri/status/893518308271468544
筆者はこの発言に違和感を感じた。
それは何故か? 詰めて考えれば現実社会の電気自動車の普及と矛盾するからだ。
■ では、なぜ「世界を席巻」できるのか
その違和感を分解して示せば次のようなものだ。
まずは須賀原さんの予想の捻れである。EVは不利と言いながら、同時にEVが世界を席巻するという見通しを立てている。
須賀原さんはEVはHVどころか在来エンジンよりも不利としている。まず「本当の世界貢献」(須賀原)としてEVはHVや水素燃料によりも不利であると述べている。同時にEVは在来のレシプロ車よりも不利であるとも示唆している。「結果的には地球環境に悪影響を及ぼしますよね。火力発電や原子力発電で作る電力を使うのですから。」(須賀原)はそれだ。
だが、これは「電気自動車が世界を席巻してしまう」(須賀原)と衝突する。EVが本当に不利なら普及しないからだ。
■ 勝者はEV
実際には「EVは将来見通しで優位に立っている、そのために普及する」と予想されている。
だいたい20年代に日米欧中で10~20%のシェアを達成すると見込まれている。
EVは在来車に優位に立つからだ。在来車のレシプロエンジンは熱効率の向上はほぼ見込めない。それに対し、化石燃料発電でも高い熱効率が実現され、燃料も安価な天然ガスでよいEVは優位に立つ。電池技術も進歩している。このため発電ロス、送電ロス、充電ロスを勘案してもカロリーベースではEVが勝つと見られているからだ。
そこでHV、水素燃料電池は特書されない。EV有利の日陰となるからだ。
HVはEVに敵しない。EVよりも優れていると主張するなら、なぜPHVが登場するのかを考えればよい。HVが優れていればPHVは出現しない。電力供給が不安定な地域や長距離運転用の需要はあるだろう。だが、ディーゼルに勝てるかもやや怪しい。負けもしないが引き分け程度となるだろう。
水素燃料はロクなものではない。天然ガスのリフォーミングは化学エネルギーの半分を切り捨てるようなものだ。そして、EVを水素燃料電池で置き換えるために「燃料電池車の水素のエコな製造方法」(須賀原)を追求するはない。自然エネルギーで電気分解するくらいならその電力で電池を充電する。あるいは水素を作っても電池対応できない航空燃料生産等に回す。
■ 将来に見えてきた「自動車敗戦」の否認
須賀原さんは、なぜそのような矛盾した主張をしたのだろうか?
おそらくは敗戦の否認だ。
日本自動車産業はEV不利が見込まれている。ハッキリいえばこのままでは負けが見えている。しかも欧州に負けるだけではない。中国の長城や吉利にも負けようとしている。
だが、須賀原さんはそれを認めたくない。政治でのアクロバティック体制擁護のように、既存体制が最善解であり、それを擁護するのが現実的だと思いこんでいる。
EV有利を石油メジャーの陰謀としてするのもその否認である。「アメリカを裏で操る石油メジャーが[中略]自動車業界がエコに転身したかのように見せかける為の道具」(須賀原)と述べているが、石油メジャーと自動車業界は別セクターである。そもそも「アメリカを裏で操る石油メジャー」(須賀原)が、なぜ石油を使わないEVをエコであるかと宣伝しなければならないか不思議なものだ。認知のゆがみといったものだ。
そして日本自動車産業、トヨタ-マツダ合弁の擁護をする。これはアレ宰相擁護と同じだ。自分がヨイショしてきた体制が負けることを認めたくない。棺桶に片足突っ込んで、そろそろお腹が痛くなるヤツなのに、政治的に生き残れると自分を騙そうとする。
そして今では手垢がついたEV批判を引っ張り出す。「電気自動車は環境負荷は実は大きい」といったものだ。20年近く前に太陽光批判ででてきたものと同じだ。当時の段階ではそうだが、今では成り立たない批判である。
「電気自動車は地球環境に悪い、だからHVや水素燃料電池を作らなければならない」と主張はこのようなものだ。これは須賀原さんのライト・イズ・ライト的な価値判断にも都合がよい。サヨク的な環境保護指向を否定する、あるいは冷水を浴びせられると信じられるからだ。
----------------------- オマケ (当日16時追記)------------------------------
もちろん、ERを含むHVやディーゼル車は記事中で述べた通り長距離運航の有利があるわけで
LN BB-45 @BB45_Colorado
加えて、燃料切れを起こしても、燃料を10リットルも持ってきてもらえば100~200km動くことができる。
勿論これらは、エアコンなどの電装系をフルに使った場合の数字。僕には、EVがこの性能を獲得することは当分無理としか考えられない。
https://twitter.com/BB45_Colorado/status/894445053753475074
内燃エンジン車はEVに対してこのような利点がある。それは事実でしょう。
でも、ISOかなにかで自動車用補助電力バッテリーかなにか規格化して、コンビニ等で店で貸す形で電力売ると相当どうにかなっちゃう気がする。その場合、ER用のエンジン傾倒は不要になる。
もちろん、今はない。でもEVが普及したらそういったギミックや商売がうまれるんじゃないかな。統一形状統一極性で、電池劣化や充電率の差もあるので個別電力計をつけて保証金取って返すところで精算みたいな。
まー、特許とか実用新案とればいい商機かもしれない。キャンプやらの農業用動力の需要もあるだろうし。
けど、規格化の際には特許や実用新案は全部スキップできる形にされるのではないかとも思う。海上輸送コンテナは規格化の際、コネクタ形状は既存特許を全部回避する形にしたから。
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