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複雑巧緻な攻撃ってだいたい失敗するよね。アウトレンジとか超長距離隱密雷撃とか、あるいは空母で釣り上げて水上艦隊で決戦とかの類はたいていそう。
そこから出される結論はシンプル・イズ・ベストということだ。あるいはKISSでもいい。これはKeep It Simple,Stupidの略。
■ 複雑巧緻な攻撃法主張
だが、それを理解できない御仁がいらっしゃる。ASM-3擁護派の方の発言は複雑巧緻に満ちている。
いずれも不思議な発言だが、それぞれについて並びの順番で述べれば次のとおりだ。
■ 必要と主張する「各種の手段」はミサイルの種類か?
まずは、各種の手段が必須といった意見だ。
「対艦攻撃では各種の手段を持つことが一番大事なんだってのもわかってないあたりに死んだほうが良いなという印象。」(SUDO@大和さん可愛い)がそれだ
そもそもが聞かない主張だ。
もちろん対艦ミサイルと魚雷と艦砲を別々に準備して使い分けるのはいいだろう。
だが、固定翼機に搭載する対艦ミサイルを何種類も持つ必要はあるだろうか?
それは必要性もなく無駄でしかない。FAC攻撃用に艦載ヘリ用の小型ミサイルを準備するならともかく、戦闘機や攻撃機用の対艦ミサイルを何種類も並行整備するのは無駄でしかない。せめてシーカやシーカの作動モードを入れ替えられるようにすればいい程度だ
「対艦攻撃では各種の手段を持つことが一番大事なんだ」とそれっぽい言葉を作り、そのなかで実質的に同種の攻撃手段であるASM-3とJSMの併存を正当化しようとするあたりは、状況が「わかってない」のだろう。ホニャララするまでもないが、そのあたりは気づいたほうが「良いなという印象。」を持つものだ。
■ 攻撃時に併用の利益はない
その下の二発言はそれ以下だ。
自分の言っていることに現実味がない。それを理解できていないからだ。
「実際のところ、海自的には、ステレス亜音速ミサイルと超音速ミサイルを混ぜて撃つつもりでっしゃろ」(H.M.S.BlackPrince)と述べている。
だが、その利益はなんだろうか?
何の利益もない。ステルスが有効ならJSMだけでよい。超音速ミサイルは何の価値もない。もちろん電子戦対策としてシーカの作動モードを混ぜるなら効果はあるだろう。だが亜音速と超音速を混ぜる効果はない。危険度や撃破が容易な順番で迎撃していくだけだ。
もちろん飽和攻撃でTOTをする状況ではあり得るだろうが、その際には混用そのものの意味はない。単なる数での飽和だからだ。
これも、それっぽい理屈を立てているだけだ。実際にそれがどのような効果を持つかを考えていない。あるいは考えられないのである。
■ ミサイルは軍艦よりも速いことをご存じない
そしてファンタジーだ。
「敵艦隊前衛の防空ミサイル艦をJSMでひきつけて、反対方向からASM-3で攻撃」(BARSERGA)である。
ミサイルと軍艦の速度差は理解しているのだろうか?
「敵艦隊前衛の防空ミサイル艦をJSMでひきつけ」る(BARSERGA)とは、「敵空母を囮艦隊でひきつける」アイデアからの類推なのだろう。それで空母や揚陸艦等の被護衛艦から引き離せると考えているのだろう。だが軍艦とミサイルの速力差からそれはできないし、ミサイル攻撃の継続時間も護衛を引き離せるほど長くもない。
そして「反対方向からASM-3で攻撃」(BARSERGA)も不思議なイメージなのだろう。今の艦隊は輪形陣は組まないものの、重要部隊の護衛ならなんとなく護衛対象を囲む。反対側にも軍艦は配している。またエリア・ディフェンス・ミサイルなら艦隊の反対側までも防空圏に含める。つまり「反対方向からASM-3で攻撃」(BARSERGA)も意味はない攻撃である。60年代のオケアン演習ならともかく今は意味はない。
こんな面倒なことをするなら同じ方向から数にまかせてTOTをしたほうがよい。
■ 国産超音速に夢を見すぎ
なによりも不思議な点は「米軍自身が超音速ミサイルに興味を持っていない」ことに気づかない点だ
米軍は超音速ミサイルは攻防とも歯牙にも掛けていない。攻撃用として話は出ても不要と捨てられる。防御側でみても超音速対策はなおざりにされている。
後者はイージスシステムや艦載SAMの来歴をみれば歴然としている。
防空システムは超音速をさほと脅威としていない。タイフォンは超音速ミサイル対策にも比重が置かれていたが、イージスに変わる際にはそれはなくなっている。脅威は徹頭徹尾シースキマーである。サンバーン以降が登場してもこれは変わらない。
艦載対空ミサイルはさらに徹底している。SM-2のバージョンアップ、シースパローの発展は常に極低空目標対処につきている。改修部分では常に「目標探知装置が極低空目標に対応」と書かれている。RAMやファランクス1B、艦載砲の信管も同じだ。これもシークラッター対策等、極低空目標対処につきているのだ。
つまり、超音速ミサイル対処は困難ではない。そう判断しているのである。
その超音速ミサイルを必殺技であるように信じ込んでいる。高価で使いにくいASM-3について、国産であり超音速である点だけで他国製ミサイルよりもエライと思い込めるのは幸せなものだ。
そこから出される結論はシンプル・イズ・ベストということだ。あるいはKISSでもいい。これはKeep It Simple,Stupidの略。
■ 複雑巧緻な攻撃法主張
だが、それを理解できない御仁がいらっしゃる。ASM-3擁護派の方の発言は複雑巧緻に満ちている。
H.M.S.BlackPrince @HMS_BlackPrince
国産ミサイルはいらない http://japan-indepth.jp/?p=38372 なかなかユニークな修辞が並んでいて注目に値する記事。軍事関係で「エラくはない」という表現は初見であり、定量的な比較がミサイル本体の重量以外に何もないというのも珍しく、一読の価値はある。
https://twitter.com/HMS_BlackPrince/status/961839399594999808
SUDO@大和さん可愛い@sudo_simoigusa
対艦攻撃では各種の手段を持つことが一番大事なんだってのもわかってないあたりに死んだほうが良いなという印象。ステルスなんて10年後には通じないかもしれないとか想像すらできないんだな
https://twitter.com/sudo_simoigusa/status/961839998159831040
H.M.S.BlackPrince@HMS_BlackPrince
実際のところ、海自的には、ステレス亜音速ミサイルと超音速ミサイルを混ぜて撃つつもりでっしゃろ、的な使い方よねー、とおもうんだけど、なぜ卵を一つのかごに盛ろうとするのか。
https://twitter.com/HMS_BlackPrince/status/961840448993050630
BARSERGA@BARSERGA
ある種の炎上芸?なのかしらんとは思うデスが、そのぉねぇ、と。
仮想敵艦隊前衛の防空ミサイル艦をJSMでひきつけて、反対方向からASM-3で攻撃とかそのぉ、いろいろあるだろうに、とか思うんですが。
https://twitter.com/BARSERGA/status/961847561979027456
いずれも不思議な発言だが、それぞれについて並びの順番で述べれば次のとおりだ。
■ 必要と主張する「各種の手段」はミサイルの種類か?
まずは、各種の手段が必須といった意見だ。
「対艦攻撃では各種の手段を持つことが一番大事なんだってのもわかってないあたりに死んだほうが良いなという印象。」(SUDO@大和さん可愛い)がそれだ
そもそもが聞かない主張だ。
もちろん対艦ミサイルと魚雷と艦砲を別々に準備して使い分けるのはいいだろう。
だが、固定翼機に搭載する対艦ミサイルを何種類も持つ必要はあるだろうか?
それは必要性もなく無駄でしかない。FAC攻撃用に艦載ヘリ用の小型ミサイルを準備するならともかく、戦闘機や攻撃機用の対艦ミサイルを何種類も並行整備するのは無駄でしかない。せめてシーカやシーカの作動モードを入れ替えられるようにすればいい程度だ
「対艦攻撃では各種の手段を持つことが一番大事なんだ」とそれっぽい言葉を作り、そのなかで実質的に同種の攻撃手段であるASM-3とJSMの併存を正当化しようとするあたりは、状況が「わかってない」のだろう。ホニャララするまでもないが、そのあたりは気づいたほうが「良いなという印象。」を持つものだ。
■ 攻撃時に併用の利益はない
その下の二発言はそれ以下だ。
自分の言っていることに現実味がない。それを理解できていないからだ。
「実際のところ、海自的には、ステレス亜音速ミサイルと超音速ミサイルを混ぜて撃つつもりでっしゃろ」(H.M.S.BlackPrince)と述べている。
だが、その利益はなんだろうか?
何の利益もない。ステルスが有効ならJSMだけでよい。超音速ミサイルは何の価値もない。もちろん電子戦対策としてシーカの作動モードを混ぜるなら効果はあるだろう。だが亜音速と超音速を混ぜる効果はない。危険度や撃破が容易な順番で迎撃していくだけだ。
もちろん飽和攻撃でTOTをする状況ではあり得るだろうが、その際には混用そのものの意味はない。単なる数での飽和だからだ。
これも、それっぽい理屈を立てているだけだ。実際にそれがどのような効果を持つかを考えていない。あるいは考えられないのである。
■ ミサイルは軍艦よりも速いことをご存じない
そしてファンタジーだ。
「敵艦隊前衛の防空ミサイル艦をJSMでひきつけて、反対方向からASM-3で攻撃」(BARSERGA)である。
ミサイルと軍艦の速度差は理解しているのだろうか?
「敵艦隊前衛の防空ミサイル艦をJSMでひきつけ」る(BARSERGA)とは、「敵空母を囮艦隊でひきつける」アイデアからの類推なのだろう。それで空母や揚陸艦等の被護衛艦から引き離せると考えているのだろう。だが軍艦とミサイルの速力差からそれはできないし、ミサイル攻撃の継続時間も護衛を引き離せるほど長くもない。
そして「反対方向からASM-3で攻撃」(BARSERGA)も不思議なイメージなのだろう。今の艦隊は輪形陣は組まないものの、重要部隊の護衛ならなんとなく護衛対象を囲む。反対側にも軍艦は配している。またエリア・ディフェンス・ミサイルなら艦隊の反対側までも防空圏に含める。つまり「反対方向からASM-3で攻撃」(BARSERGA)も意味はない攻撃である。60年代のオケアン演習ならともかく今は意味はない。
こんな面倒なことをするなら同じ方向から数にまかせてTOTをしたほうがよい。
■ 国産超音速に夢を見すぎ
なによりも不思議な点は「米軍自身が超音速ミサイルに興味を持っていない」ことに気づかない点だ
米軍は超音速ミサイルは攻防とも歯牙にも掛けていない。攻撃用として話は出ても不要と捨てられる。防御側でみても超音速対策はなおざりにされている。
後者はイージスシステムや艦載SAMの来歴をみれば歴然としている。
防空システムは超音速をさほと脅威としていない。タイフォンは超音速ミサイル対策にも比重が置かれていたが、イージスに変わる際にはそれはなくなっている。脅威は徹頭徹尾シースキマーである。サンバーン以降が登場してもこれは変わらない。
艦載対空ミサイルはさらに徹底している。SM-2のバージョンアップ、シースパローの発展は常に極低空目標対処につきている。改修部分では常に「目標探知装置が極低空目標に対応」と書かれている。RAMやファランクス1B、艦載砲の信管も同じだ。これもシークラッター対策等、極低空目標対処につきているのだ。
つまり、超音速ミサイル対処は困難ではない。そう判断しているのである。
その超音速ミサイルを必殺技であるように信じ込んでいる。高価で使いにくいASM-3について、国産であり超音速である点だけで他国製ミサイルよりもエライと思い込めるのは幸せなものだ。
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