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『草原の制覇』はスゴイ本です。
今までの見方、構図が変わって見えます。
遊牧勢力は中国統治の外乱条件ではなく王朝の一要素である。それが規定文です。中国歴代王朝は従来信じ込んでいたような農耕圏に成立した政治勢力ではない。遊牧圏と農耕圏の競合部で成立した政治勢力である。内容は徹頭徹尾それです。
遊牧民王朝は元、清だけではない。秦も漢も隋も唐も北宋も遊牧民族の力を得て建国されている。制度には遊牧国家の影響があり軍事力は遊牧勢力に負っている。
それについての証明を突きつけて来ます。『沈黙の春』のようにこれでもかと提示してきます。
例えば安禄山はポッと出てきたわけではないといった条です。唐朝は遊牧勢力に農耕漢民族で対抗していたのではない。対抗のためにも遊牧勢力を用いていた。それが節度使である。つまり異民族が節度使になる構造がある。個人的資質やお気に入り云々で節度使になったのではない。そのような内容です
整理すれば安史の乱について提示した構図は次のようなものです
1 唐朝は遊牧勢力の圧力に対抗する必要がある
2 そのため唐朝も遊牧勢力を国内軍事力として用いた
3 その遊牧系の節度使が叛乱を起こした
4 唐朝はその叛乱鎮圧に遊牧勢力を利用した
(正確にいえば切り崩した)
5 だから安史の乱以降も節度使が残った
さらにいえば、もともと唐朝そのものが鮮卑系である旨を指摘しています。また遊牧民族も唐を自分たちと同類だと思っていた。拓跋部=タブガチから出てきたため遊牧勢力は唐そのものをタブガチの通音だと思っていたことを指摘しています。
それが220ページ続きます。昨日買って今日ロイホで読んでいたのですが4時間かかりました。普段からメモを取りながら読むのですが、特に考え考えしながらなのでそれくらいかかりました。
そして、いままで自分が自明視していた構図が崩れるのを目の当たりにするのです。中国王朝は農民社会の覇者が開く。遊牧勢力はその統治を困難にする外乱要因である。そのような常識が崩れるのです。
その点で買いです。オススメです。岩波新書のシリーズ中国の歴史は挑戦的かつ意欲的で面白いのですが、今回の『草原の制覇』はなによりもその一等賞です。もちろん海洋の政治舞台化が出てくるはずのシリーズ次刊、次次刊がそれを上回るかもしれませんが。
* 古松崇志『草原の制覇 ‐シリーズ中国の歴史3』(岩波書店,2020)
今までの見方、構図が変わって見えます。
遊牧勢力は中国統治の外乱条件ではなく王朝の一要素である。それが規定文です。中国歴代王朝は従来信じ込んでいたような農耕圏に成立した政治勢力ではない。遊牧圏と農耕圏の競合部で成立した政治勢力である。内容は徹頭徹尾それです。
遊牧民王朝は元、清だけではない。秦も漢も隋も唐も北宋も遊牧民族の力を得て建国されている。制度には遊牧国家の影響があり軍事力は遊牧勢力に負っている。
それについての証明を突きつけて来ます。『沈黙の春』のようにこれでもかと提示してきます。
例えば安禄山はポッと出てきたわけではないといった条です。唐朝は遊牧勢力に農耕漢民族で対抗していたのではない。対抗のためにも遊牧勢力を用いていた。それが節度使である。つまり異民族が節度使になる構造がある。個人的資質やお気に入り云々で節度使になったのではない。そのような内容です
整理すれば安史の乱について提示した構図は次のようなものです
1 唐朝は遊牧勢力の圧力に対抗する必要がある
2 そのため唐朝も遊牧勢力を国内軍事力として用いた
3 その遊牧系の節度使が叛乱を起こした
4 唐朝はその叛乱鎮圧に遊牧勢力を利用した
(正確にいえば切り崩した)
5 だから安史の乱以降も節度使が残った
さらにいえば、もともと唐朝そのものが鮮卑系である旨を指摘しています。また遊牧民族も唐を自分たちと同類だと思っていた。拓跋部=タブガチから出てきたため遊牧勢力は唐そのものをタブガチの通音だと思っていたことを指摘しています。
それが220ページ続きます。昨日買って今日ロイホで読んでいたのですが4時間かかりました。普段からメモを取りながら読むのですが、特に考え考えしながらなのでそれくらいかかりました。
そして、いままで自分が自明視していた構図が崩れるのを目の当たりにするのです。中国王朝は農民社会の覇者が開く。遊牧勢力はその統治を困難にする外乱要因である。そのような常識が崩れるのです。
その点で買いです。オススメです。岩波新書のシリーズ中国の歴史は挑戦的かつ意欲的で面白いのですが、今回の『草原の制覇』はなによりもその一等賞です。もちろん海洋の政治舞台化が出てくるはずのシリーズ次刊、次次刊がそれを上回るかもしれませんが。
* 古松崇志『草原の制覇 ‐シリーズ中国の歴史3』(岩波書店,2020)
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