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隅田金属日誌(墨田金属日誌)

隅田金属ぼるじひ社(コミケ:情報評論系/ミリタリ関係)の紹介用

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文谷数重

Author:文谷数重
 零細サークルの隅田金属です。メカミリっぽいけど、メカミリではない、でもまあミリタリー風味といったところでしょうか。
 ちなみに、コミケでは「情報評論系」です

連絡先:q_montagne@pop02.odn.ne.jp

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2020.05
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Category : 未分類
 製鉄各社の高炉停止に対してかの松浦晋也さんは次のように述べている。

松浦晋也@ShinyaMatsuura
ほんと不思議なのだが、まともな政治家なら高炉停止のニュースの時点で背筋が寒くなるほどの恐怖を感じなければ嘘だと思うのだ。
https://twitter.com/ShinyaMatsuura/status/1260034130869248007


 コロナによる経済停滞の影響であるといった判断だ。本来なら政治は救済すべきといった含意も含まれている。


■ 高炉削減は既定路線

 だが、それは見当外れの判断である。各社の高炉削減は規定路線であったためだ。

 日本の製鉄業は設備過剰である。顧客の需要を超える能力を持て余している。しかも生産設備は古い。採算性も極めて悪い。

 そのため従前から整理が進められていた。会社の数は既に3社に整理されている。そして今年からようやく高炉工場の整理が始められた段階である。

 ちなみに工場は14ヶ所も存在している。しかも小容積かつ低めの非効率高炉も残っている。その整理がコロナ不景気の以前に決められた呉と和歌山の廃止である。

 以降に決められた廃止や操業休止もその流れになかにある。いずれは廃止する高炉を先回りして停止するものである。


■ 鋼にしても売れない

 また高炉操業よりも停止のほうが傷は浅い判断でもある。

 高炉は操業停止をすると炉内の未反応物が無駄となる。それをもって松浦さんは企業の経営危機であり日本経済の危機であるかのようにいっている。

 だが、現状では操業をつづけても無駄となる。もともと鉄鋼需要は低迷している。その上のコロナである。銑鉄を作って鋼にしても使う見込みはない。

 また高炉操業そのものがコストである。操業維持には鉄鉱石と原料炭をぶち込み続ける必要がある。現状ではそのコストと操業停止のコストを比較すると後者のほうが安く済む。その見立ての上での操業停止である。


■ いまだに日本は工業生産大国のつもりなのだろう

 高炉停止の背景にはこのような理由がある。

 既定路線の実施が加速された程度であり、同時にそろばんづくの判断であるということだ。

 だが、松浦さんはそこに危機感を感じている。

 そこには、いまだに日本は重厚長大の工業生産大国であるといったレトロな認識の反映が見られる。「日本はものづくり大国である」といった旧態依然の認識といったもよい。

 これはとっくに死んだ航空産業や原子力産業のヨイショからもあきらかである。松浦さんはロケットやヒコーキ、原発が日本が発展を目指すべき産業である。日本はその振興をしなければならないと主張している。

 まずは今更である。1960年代的な製造業大国の夢の追及であり80年代のジャパン・アズ・ナンバーワン的な世界に伍する日本の夢の追及である。

 製鉄大国もその伝である。60年代的重厚長大産業バンザイと80年代的なジャパン・アズ・ナンバーワンの結果としていまだに製鉄こそが重要産業であると信じ切っているのだ。

 それがピント外れの意見開陳である。「まともな政治家なら高炉停止のニュースの時点で背筋が寒くなるほどの恐怖を感じなければ嘘だと思うのだ。」(松浦)はまったくそれである。まずは現状を全く理解できていないということだ。

 これはロケット・ヒコーキ・原子力も同じである。今どきにいずれも経済性は怪しい。その国産や再稼働を進めようとするあたりも全く現状が見えていないのである。
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