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隅田金属日誌(墨田金属日誌)

隅田金属ぼるじひ社(コミケ:情報評論系/ミリタリ関係)の紹介用

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Author:文谷数重
 軍事ライターの文谷です
 コミケでは隅田金属ででています。評論情報です。

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2021.09
27
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02:44
Category : 未分類
 火曜に図書館と神保町行ってとってきた資料を木金土日でずっと読んでいるのだけれども。

 久しぶりに買ったメチエの『銭躍る東シナ海 貨幣と贅沢の一五~一六世紀』*1がスゲー面白い。内容はシンプルではないのでメモ取りながら読むのに木曜午前午後で喫茶店二軒をハシゴして4時間くらいかかったのだが。明の海禁政策と東アジアの交易を提示する。その中で銅貨の供給と流動性の変動を論じる。その上で日本と新世界からの銀流入とその影響を論じる形になっている。

 仔細は買って読めとしかいいようもない。それを書くにも営業妨害であるわけだし。

 ただ、今までぼんやりとしていた知識が久しぶりにつながる感覚があった。高校生から大学生のときに読書体験の広がりからバラバラだった知識がつながる感覚。例えば「シモン・ボリバルの南米切り取り放題って諸国民戦争で欧州がてんやわんやだったからだねえ」みたいな20代のころのアレが相当ひさしぶりにきた。

 Ming Gapつまり「海禁時期の沈没船にはお茶碗が全然搭載されていない」の説明を読んでいたときにそれが起きた。

 3ヶ月くらい前に読んだ中文記事の「従龍泉天下到天下龍泉」*2が脳内で電光石火で出てきた。「お茶碗は龍泉の天下だった。龍泉製造が世界に流通していたけど海禁で中国からの輸出が止まって龍泉産のお茶碗の供給が止まったら朝鮮やらベトナムやらタイヤらアジア中で模倣が始まった。日本の有田焼も龍泉インスパイアだ。つまり龍泉陶業の天下から天下の龍泉デザインになったよ」といったもの。

 その根源は中文記事でも海禁とはあったが、『銭踊る東シナ海』でのMing Gap紹介ではその深刻さが提示されていた。諸外国が模倣に至るまでの渇望をピタリと説明する内容だった。

 あとは草戸千軒の説明との符合。海禁で貿易とまったから草戸千軒が衰退した。Ming Gapと一致しているよねといった説明があってまた合点。

 さらには「十三湊もそうじゃね?」と疑問が湧いた。アレ「安東氏が南部に負けたから衰退しました」とされているけど、実際は逆で「海禁で十三湊交易が衰微したから安東が弱くなって南部に負けたのではないか?」とね。たぶん、それは成り立つ可能性はある。

 なんというかねえ。中で出される事実の提示が面白いのではなくて、新しい発見としての考え方なんだよねえ。『銭躍る東シナ海』なら海禁と唐物需要と緩和期の経済爆発と銭不足の関係と最後は17世紀の危機と近世の到来としてまとめられるといったあたり。

 逆に言えば事実提示の連続する本とか記事はあんまり面白くない。ミリタリのスペック羅列のアレと同じで「調べりゃわかる」でおわるから。

 あと、どうでもいい話だと己は50前になるまで糸割符制は「いとかっぷせい」と読んでいた。読んでいてググって「いとわっぷせい」と初めて気づいた。たぶん「かっぷ」は「割賦販売法」の影響だと思う。

 
*1 大田由紀夫『銭躍る東シナ海 貨幣と贅沢の一五~一六世紀』(講談社,2021)*3
*2 沈岳明「従龍泉天下到天下龍泉-元明時期龍泉窯対外輸出方式的変革」『博物院』 2020年6期(中国科技出版伝媒股份有限公司)pp.37-42.
*3 どーでもいいけど「貨幣と贅沢の一五~一六世紀」の「贅沢」ってパット見て「ラグジュアリー」ってふりがなで読んでしまっている。星界の紋章よんでた時期に熟語にアーブ語読みのふりがながついている感じで。戦争中に海軍がセレベス民政府を於いていたセレベス島の影響だよね。
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