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隅田金属日誌(墨田金属日誌)

隅田金属ぼるじひ社(コミケ:情報評論系/ミリタリ関係)の紹介用

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文谷数重

Author:文谷数重
 零細サークルの隅田金属です。メカミリっぽいけど、メカミリではない、でもまあミリタリー風味といったところでしょうか。
 ちなみに、コミケでは「情報評論系」です

連絡先:q_montagne@pop02.odn.ne.jp

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2022.03
21
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13:22
Category : 未分類
 ウクライナ侵攻から1ヶ月は立っていない。侵攻開始は24日である。今日でも25日目でしかない。

 それにも関わらずロシア敗北と中国の台湾回収延期を絡めた記事がリークしてくるシチュエーション事態が怪訝である。

 福島香織さんの 「これではできない『台湾武力侵攻』、プーチンの失敗で大誤算の習近平」『JBPRESS』ではそのような報告書がロシアからリークされたとしている。

 記事では台湾のネットメディアからの引用として次のように述べている。
習近平はこの秋に台湾全面進攻を計画していた。その勝利によって、党大会で政権3期目連任を確実なものにできると考えていた。しかし、ロシアのウクライナ侵攻が失敗して挽回できなくなったとみるや、習近平は台湾武力侵攻の機会がすでに存在し得ないと気づいた。さらに米国がこれを機に中国を脅して、習近平の政敵に有利な条件を与えることになった
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/69316



■ いつ書いたレポートだろうね

 ただ、時期的にはおかしい。侵攻開始から2週間から4週間で出てくるレポートの内容ではない。

 「ロシアのウクライナ侵攻が失敗して挽回できなくなった」とのあたりが怪しい。時期的にない。「侵攻は失敗した」と結論づけるならわかる。だが「挽回できなくなった」と判断するにしては早い。もちろん、そのような主張は3週目あたりから出始めているが報告書の類で前提とするのは早い。

 逆に言えば、今の段階なら主張の焦点は「ロシアのウクライナ侵攻が失敗して挽回できなくなった」に置かれるはずだ。

 それを越えて主張の焦点を中国の両岸問題に持っていくあたりが時期的にオカシイ。


■ 秋口にしては準備がない

 そして秋口の台湾武力回収を前提とする話も奇妙だ。

 もちろん中国は台湾に圧力を掛けている。習指導部の主導であるかはともかく中国は台独選択肢を弄ぶ蔡英文政権に圧力を掛けている。

 ただ、武力回収そのものの兆候はない。半年後の計画ならD-180日である。多少の動きもあるはずだ。

 それについて米国は何も言っていない。台北当局も何も言っていないし。武器生産を急ぐなり予備役の訓練を強化するなり海岸防備を進めるなりはなにもないのである。

 
■ 欲する内容にピンポイントに過ぎるよね

 最後が台湾なり日本なりのアレ右派が欲しがる内容にドンピシャリとなっていることだ。

 「ロシアのウクライナ侵攻が失敗して挽回できなくなった」前提で中国問題を論じるとしよう。それならまずは米中関係だ。あるいは中国外交の動向なりエネルギー市場への影響である。

 だが、それには一切触れずに台湾武力回収と中国権力闘争に焦点を当てる点で奇妙である。

 そして台湾や日本のアレ右派に過度にマッチする内容となっている。「中国は台湾武力回収を決心している」「習近平は権力闘争で敗北する」といった彼らの願望や未来予想図に合わせた内容となっているのである。


■ まあガセだと知っていて書いている記事だからねえ

 それからすればガセだということだ。台湾や日本のアレ右派に向けて書かれた偽文書のたぐいである。

 なお、台湾にもアレ右派はいる。国民党や聯合報は中国の手羽先で大陸併合を狙っているみたいなヤツ。立憲や朝日新聞はと全然変わらない。しかも媚日派を兼任するのが結構ね。

 つまり福島さんの記事は空中楼閣だということだ。立脚点がアレ右派向けのガセである。その点で確かな根拠に基づいた記事ではない。

 もちろん、福島さんはそれに気づいているから「これが本物の内部文書であるとすれば」と断っているのだけれども。

 まあ、JBPRESSが求める記事ではあるよね。想定読者が読みたがる内容でありその意味では寄り添った読み物でもあるから。
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