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隅田金属日誌(墨田金属日誌)

隅田金属ぼるじひ社(コミケ:情報評論系/ミリタリ関係)の紹介用

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文谷数重

Author:文谷数重
 零細サークルの隅田金属です。メカミリっぽいけど、メカミリではない、でもまあミリタリー風味といったところでしょうか。
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2014.05
06
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Category : 未分類
 中国やロシアの航空機が日本近海を飛んでいる点を指して、挑発であるとするのは自意識過剰ではないか。

 産経の「中露の太平洋進出警戒南西シフト最新装備結集」では中露の飛行機が日本近海を通過することを挑発と述べている。

 中国機の日本近海通過については、産経は次のように「上空での挑発」と述べている。
中国機は昨年7月、初めて沖縄本島と宮古島の間を通り太平洋へと抜けた。以来、昨年度の東シナ海と太平洋の往復飛行は10回。太平洋進出を常態化させている。
「中露の太平洋進出警戒南西シフト最新装備結集」,1/2ページ,http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140506/plc14050605000005-n1.htm
 中国海警局の船が日本領海外側の接続水域に長期間とどまり始めたように、上空での挑発も長期化する恐れが強い。
同 2/2ページ,http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140506/plc14050605000005-n2.htm


 また、ロシア機の日本近海通過についても、同様に「不穏」や「ロシアからの挑発」と述べている。
南西シフトに着手した直後、不穏な兆候もある。

 「ロシアの爆撃機が頻繁に飛んできている。冷戦時代にもなかった飛行パターンだ」

 小野寺五典(いつのり)防衛相は4月21日、表敬に訪れた米下院議員に伝えた。

 3月以降、ロシア空軍の爆撃機や偵察機の領空接近が続発している。[中略]中国に加えロシアの挑発も重なり、二正面作戦を強いられれば、隙間ができかねない。
同 2/2ページ,http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140506/plc14050605000005-n2.htm


 しかし、中露両国が太平洋にアクセスするためには、どうしても日本近海を通らなければならない。渤海から長江デルタまでの地域から、太平洋にアクセスするための最短経路は琉球列島線の通過である。沿海州から太平洋にアクセスするための通常経路は、やはり津軽海峡か対馬海峡である。それ以外の経路は合理的ではなく、燃料的にも成り立たない。

 逆に言えば、彼らにとってのチョークポイントを抑えているということだ。

 その通過をもって「挑発」、「不穏」と悪事のように言うのは、なんだろうか。それであれば、自衛隊機が日常的にしている日中中間線超えやオホーツク海での飛行も「挑発」や「不穏」なことをしていることになってしまうだろう。

 そもそも、公海上での航空機通過が自由であり権利であると主張していたことと矛盾するのではないか。中国による防空識別圏設定と、そこでの奇妙な権利主張について、日本政府も強く反論していたことであり、それをもって中国の国際法無視といっていたのは産経新聞である。

 今回は、それと間逆なことを主張している点は、矛盾ではないのか。

 日本の近所を他国艦艇や航空機が通過するのは、仕方のない事である。要は街道沿いに住んでいるようなもので、すぐ脇の道で交通があることに文句を言っても仕方はない。添加の往来である、気に食わない相手が使っても文句は言えない。それを「挑発」や「不穏」とする言い方には、家の前の公道を自分の庭であると勘違いした言い方であるようにも見える。

 特にロシアについては、彼らに何ができるのかを見誤っている。ロシアは東アジアでは既にプレイヤーではない。ソ連崩壊後以降、極東ロシア軍は弱体であり、無視してもよい。原油価格頼みの経済が多少改善して、ようやく航空機と艦艇を動かせる状態になった程度の現状であり、日本を「挑発」できるものでもない。

 中露の行動に対抗することは、問題はない。軍事力を使った中国とのゲームを続けることはよい。ロシア機の行動を見張ることもよい。

 しかし、近所を飛んだだけで文句を言うのは、感情的対応ではないのか。自国も似たことをするときには国際法上の権利と言うのに、産経が仮想的と考える国がやると文句をつけるのは、士大夫の言いようではないだろう。



※ 「中露の太平洋進出警戒南西シフト最新装備結集」『産経ニュース』(産経新聞,2014.5.6)http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140506/plc14050605000005-n1.htm
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No title

ロシア機に関して言えば、ソ連時代末期~2000年代前半くらいまでは、燃料代の都合で飛行機が飛べなかったのが最近は経済回復(ちょっとしたものですが)のおかげで飛べるようになりました。

中国に関しても、以前は国防予算が少なく、長距離飛行をできる機体も限られていたので「挑発」とやらを行う余裕がありませんでした。

日本に対する意図がどうであれ、中露が日本付近で「以前よりも」活発な行動を見せており、これからも見せ続けるのは当然のこと…と言えるでしょう。そりゃあ、特に中国に関しては多少の対日感情の悪化もあるでしょうが、本質的な事ではありませんね。

去年はロシアを巻き込んで対中包囲網。今年は中露二正面作戦ですか。
これだから新聞は当てにならない。

No title

>ロシア機に関して言えば、ソ連時代末期~2000年代前半くらいまでは、燃料代の都合で飛行機が飛べなかったのが最近は経済回復(ちょっとしたものですが)のおかげで飛べるようになりました。

ウクライナ独立騒ぎで浪費するから、ほっとけばまた飛べなくなるんじゃないなー。