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隅田金属日誌(墨田金属日誌)

隅田金属ぼるじひ社(コミケ:情報評論系/ミリタリ関係)の紹介用

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文谷数重

Author:文谷数重
 零細サークルの隅田金属です。メカミリっぽいけど、メカミリではない、でもまあミリタリー風味といったところでしょうか。
 ちなみに、コミケでは「情報評論系」です

連絡先:q_montagne@pop02.odn.ne.jp

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2010.10
08
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Category : オカルト
 『戦時下抵抗の研究』同志社大学人文科学研究所編(みすず書房)より。
 この本は戦時下にキリスト者が信仰を保持しようとした記録であるが、実際には日本の思想統制のお粗末が目立つ内容になっている。不謹慎だが「ギャグじゃね?」ってエピソードが一杯載っている。

 戦時下の日本では、思想統制のため、キリスト教徒に信者団体の結成(日本基督教団)を命じた。その是非はおいても、体制側の行動としては理解の範囲にあるだろう。
 しかし、法的な枠組みとなる宗教団体法制定の段階で、理解に苦しむような発言が出ている。衆議院での政府答弁に「教義上、神社参拝を拒み、人を参拝させないようにする宗教は、国家の安寧秩序を紊すもの」とある。制定前の段階で国家神道原理主義というか、神がかり右翼の片鱗が既にあきらかになっているのである。

 宗教団体法施行後、日本基督教団に対する国家の指示も、神がかりなお粗末さ。
 例えば、戦勝祈願で伊勢神宮参拝を指示している。日本基督教団は、痛くもない腹を探られたくないから、辛抱して出たらしい。
 また宗教統制のために神道「神ながら」講習をやるから、代表者を出せと指示を出している。日本基督教団もしぶしぶ代表者を出したが、毎日「大祓い、拍手、榊まわし」で1ヶ月の講習であった。そして講習終了時に神道免許を交付され「全国でキリスト教を伝道してよい」と言われたという。

 そして、戦争末期となると神がかりも過激になる。「キリスト教の教義について、天皇はキリストの上であると明言して欲しい。そもそも『キリストの復活』は非科学的である」(文部省教学部長から日本基督教団へ)
 さすがに、温厚なキリスト者も怒り心頭となった。
「天皇にしても、リアルで神様というわけではないだろう」と一喝。「我々も天皇は国家の統一者として尊敬している。それに疑念があるのか? こちらにも(殉教する)覚悟がある」(統理)と啖呵を切ったらしい。
 もちろん、文部省教学部長は腰砕け。この話は沙汰止みとなった。

 戦時下日本の宗教統制は、弾圧という悲劇を超えて喜劇的でさえあった。

 もちろん、悲惨な例も一杯ある。キリスト者の中には、隣組の月例護国神社参拝を断って、警察にしょっ引かれた人もいる。その挙句、おそらく発作的だろうけれども、ついに自決してしまった例は気の毒で仕方がない。日本基督教団も、戦時下の挙国体制に含むところはない。神社参拝は理不尽だけれども、痛くもない腹を探られたくもないので、儀式と割り切って我慢する方針だったらしい。

 日本の思想統制、その中でも宗教統制は失敗だったと言えるだろう。

 ちなみに内務省の出版警察・神祇院は、神道原理主義に染まった文部省とは対照的であった。神がかり的な言論に対して、内務省は「神道の教義上妥当性はない」とその跋扈を押さえる立場を取っていたという。これは内務省の良識だったと言えるだろう。
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