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隅田金属日誌(墨田金属日誌)

隅田金属ぼるじひ社(コミケ:情報評論系/ミリタリ関係)の紹介用

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文谷数重

Author:文谷数重
 零細サークルの隅田金属です。メカミリっぽいけど、メカミリではない、でもまあミリタリー風味といったところでしょうか。
 ちなみに、コミケでは「情報評論系」です

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2014.06
25
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12:00
Category : 未分類
 日本のジェットエンジン技術は優れていると主張するために「IHIは国内シェアの7割を持っている」と言っているのだけれども、ライセンス生産であることを隠しているのは、読者レベルをナメているのだろう。

 桜林美佐「日本もしっかり持っている『勝負球』エンジン技術」では、日本のジェットエンジン/ガスタービン技術は低くないと主張している。
 わが国の戦闘機について語られるとき、よく「日本はエンジン技術が弱いから…」米国などに勝てないのだ、などという持論を展開する人が少なからずいる。だが、どうもここには、そのように思い込まされる意図が働いているような気がしてならない。
 これは、かねて述べているように、敗戦に伴い、日本の航空技術一切を封印するため、GHQにより「航空禁止令」が出され、徹底的に押さえ込まれたことから「出るくいは打たれる」という感覚が、日本人にまだ浸透していることもあるのかもしれない。
というのがそれである。

 桜林さんは「[ジェットエンジン技術は弱いと]思い込まされる意図が働いているような気がしてならない」や「[日本がジェットエンジンを作ると]『出るくいは打たれる』という感覚が、日本人にまだ浸透していることもあるのかもしれない」と、米国が国産開発エンジンを潰す頭があるようなことを述べている。

 だが、実際には、日本が世界に伍するようなジェットエンジンは開発できない。作れても、性能的にはロクなものではない。重量、信頼性、出力、燃費で全て米国製に及ばないどころか、それに追いつけない英国製やロシア製、フランス製にも劣る。技術・経験でそれ以下の日本には、スネクマのM88程度のエンジンも独自国産開発はムリだろう。そのM88も、ラファールでは当初間に合わず、先行する米国製F-404で代替しており、当時でみてもそのF404のほうがM88よりも技術的に優れていた

 実際に日本が作れたエンジンも、あまりパッとしたものだはない。実用品では、T-4で使ったIHIのF3程度であり、推力1.7tにすぎず戦闘機に仕えるようなものではない。P-1哨戒機のF-7も推力6tと、旅客機/輸送機用として効率のよいエンジンではないし、実用機につけるほどの信頼性がなかったことは、前にあったエンジン停止事件で周知されたとおりである。

 日本が夜郎自大だった時期、純国産でFSXを作るという話があったが、そこでもエンジンは国産できるとは言っていなかった。それが、日本のエンジン技術の水準を示しているといっていい。

 しかし、防衛産業の幇間をしている桜林さんは、このあたりを隠し、国産でできるような法螺を吹いている。
 わけてもジェットエンジンは戦略的工業製品として、世界各国の軍や民間に輸出されている重要アイテムである。わが国においては、これをIHI(かつての石川島播磨重工業)が主に担い、日本のジェットエンジン売上高の7割近くを占め、他の追随を許していない。
 これは、わが国の世界的な位置付けや産業、技術力、また外交・安全保障上も極めて重要なポイントである。米英がいわば「勝負球」にしている物を、日本もしっかり持っているということなのである。
今、IHIが作っているジェットエンジンは、F7を除きライセンス生産品である。そのシェアが、おそらく金額ベースで国内7割を超えているからといっても、意味は無い。その7割は、IHIのシェアというよりも、実際はP&Wであり、GEであり、RR(艦艇用)のシェアに過ぎない。

 桜林さんは「わが国の世界的な位置付けや産業、技術力、また外交・安全保障上も極めて重要なポイント」と、言っているが、海外に勝手に売ってはいけないし、国内でもライセンシーの立場であるので、契約の範囲でしか作れない立場にある。それをもって「外交・安全保障上も極めて重要なポイント」というのは、何を言いたいのか分からない。

 日本には、軍用ジェットエンジン/ガスタービンでの勝負球はない。できるのは、ライセンスと後追いがせいぜいである。桜林さんは、おそらくそれを承知している。しかし、防衛産業ヨイショという商売を守るため、それに気づかないフリをして、国産開発が可能であると主張しているのである。

 結局は、防衛産業と「本当はスゴイ日本」のように、技術的に世界一にあると盲信している愛国無知な読者層に迎合した記事である。著者紹介であるように、防衛・安全保障問題のジャーナリストとしては、妥当な言論ではないだろう。



※ 桜林美佐「日本もしっかり持っている『勝負球』エンジン技術」『ZAKZAK』(産経新聞,2014.6.17)http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20140617/plt1406170830002-n1.htm
 
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何年か前に、都内のミリタリーイベントで桜林さんを見かけたのですが、その時も自衛隊の食べてる缶詰めは素晴らしい!とか無理やり持ち上げる事しか言ってなかったんですよねぇ…