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隅田金属日誌(墨田金属日誌)

隅田金属ぼるじひ社(コミケ:情報評論系/ミリタリ関係)の紹介用

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文谷数重

Author:文谷数重
 零細サークルの隅田金属です。メカミリっぽいけど、メカミリではない、でもまあミリタリー風味といったところでしょうか。
 ちなみに、コミケでは「情報評論系」です

連絡先:q_montagne@pop02.odn.ne.jp

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2014.07
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Category : 未分類
 燃料電池と水素ステーションの記事「CO2フリーのエネルギーに変わる『水素』」(http://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1407/11/news023.html)があるが、運搬・輸送を考慮するとペイしないのではないか。海上輸送や基幹ライン、大口利用は液化すればいいかもしれない。だが、自動車や家庭で使用する段階では、供給やタンク貯蔵が面倒にすぎる。そんなことはせずに、山元で合成石油の類にしたほうが効率がよいだろう。

■ 容積あたりのカロリーは低い
 水素は液化しなければ、輸送も保管も嵩を稼げない。水素は1気圧で立米100gしかならない。50リットルの容器に頑張って200気圧(空気銃用の超高圧タンク並み)で放り込んでも、10立米、1kgしかはいらない。維持に手間のかからないタンクだと、20気圧がいいところなので、その場合には250リットルタンクにも、5立米500gしか入らない。

 これでは、石油にくらべて相当に不便である。水素は重量あたりで軽油やガソリンの3倍カロリーがあるが、保存タンクあたりのカロリーでは逆転する。同じ50リットルの容器に詰めるとしても、水素は200気圧で10立米、1kgしか入らないが、ガソリンは無与圧で35kg(だいたい比重0.7)を貯蔵できる。カロリー量では、ガソリンは水素の10倍入るし、水素はガソリンの1/10しか入らない。同じ重量と出力の自動車ならば、航続距離は1/5-1/10になる。単純にカルノーサイクルで動かせば、動作時間は1/10になるし、燃料電池で効率2倍としても、1/5となるということだ。

■ 保管容器も面倒くさい
 また、容器重量やコスト、レイアウトの問題もでる。

 石油タンクはどのような形でも良い。住宅ならば無駄が出ないように四角に作れるし、当節の自動車用樹脂タンクなら自在な形状にできる。単価も安いし、よほど高温にならなければどこにおいても良い。

 対して高圧水素タンクは制約が多すぎる。円筒で丈夫に作らなければならないし、バルブ周りは特に複雑になる(水素はそれでもリークする)、重くなり、値段は高くなるし、場所も高温にならず、高温時には水素排出に問題のないところにつけなければならない。

■ タンクへのチャージも面倒くさい
 また、タンクへのチャージも面倒くさい。200気圧タンクに充填するためには、200気圧以上の加圧が必要になる。最悪、柄杓で汲んでもいいし、地中タンクでも、供給側に+0.2気圧もかければドバドバ出てくる石油とは大違いである。チャージの段階では水素は間違いなく漏出するので火気厳禁の度合いも異なるし、その場合の断熱膨張での超低温からの保護も必要になるだろう。

■ 水素吸蔵合金にしても変わらない
 この点は、水素吸蔵合金にしても、あまり変わらない。1気圧環境で安全に運ぶことはできるが、容積あたりの輸送効率そのものはあまり変わらない。水素吸蔵合金は20気圧タンク程度の能力しかない。吸蔵量は1リットルで20g程度である。その吸蔵合金1リットルの重さは2kgはある。20gの水素、つまり石油60g分のカロリーを運ぶために、1リットルの容器と2kgの重量を必要とする。吸蔵も一瞬ではないため、大量のチャージにも時間がかかる。

■ 水素は石油合成に使ったほうがよい
 これらの問題からすれば、水素はそのまま運んで使うのではなく、液化燃料にしたほうが便利ではないか。水素があれば合成燃料は比較的簡単に作ることができる。合成燃料XTLは(ガス液化GTL、石炭液化CTL、バイオマス液化BTLの総称)は、水素を作るのが面倒なのだが、裏返せばそこに水素があれば合成はそれほど難しくも高コストでもない。動植物脂肪に水素を付加するHRJも可能であり、水素が確保できれば重油やワックス分からガソリンや軽油を作る燃料改質も安価にできる。

 燃料を液化できれば、あとは既存インフラや機械、タンクを流用できる。現実のガソリンや軽油も、実際にはこれらの液化燃料が混ざっているが、誰もそんなことは気にしないで使うことができる。わざわざ高価で使い難い専用の水素供給・貯蔵・消費設備を作る必要もない。それで自動車も飛行機も発電機も動くし、暖房や動力冷凍機械も動かすことができる。わざわざ水素供給体制を作る必要はない。



※ 「CO2フリーのエネルギーに変わる『水素』」『スマートジャパン』(ITMEDIA,2014.7.11)http://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1407/11/news023.html

※※ 燃料電池で使う分にしても、小口なら液体燃料改質で、大口ならパイプライン(どうやっても漏れるけどね)で運べばいいだろう。
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Comment

非公開コメント

合成石油とかwww
要するに使えないと。

No title

水素は欠点多いのでアンモニアやメタノールに変換してキャリアにするという試みもありますが、いずれも研究段階ですね

水素

海上浮遊体風力発電で、水素を生産して、その水素を地上で発電する。次世代の発電で有力だと思っていたのですが、技術的にはまだまだなんですね…(^_^;)

No title

合成石油はすでに南アでは商業化もされています。
また不純物が少ないので燃料電池でも使用できます。
対して水素はお説の通り、保存が難しい。
また生成するためにも大きなエネルギーが必要です。いかにも筋が悪い話なんですが。

No title

水素はそれ以前に、天然資源として取れるわけではないので、何か他のエネルギーから作ってやる必要があり、大抵はそれをそのまま、あるいは水素以外の形にして利用するのがいいということになりがちなんですね。

従来化石燃料ならば、上述の通りにそのまま使った方がよい。

原子力で熱分解する方法は、原発がこれだけ不人気になった今難しいでしょう。

とすると、総量は豊富だが安定性に欠ける太陽光だとか風力だとかのエネルギーから作るのがよいという方向になる。

>合成石油とかwww
>要するに使えないと。
本文にもありますが、水素を調達するのが面倒なんです。だから別口で水素を調達できれば効率が良くなります

>海上浮遊体風力発電で、水素を生産して、その水素を地上で発電する。次世代の発電で有力だと思っていたのですが、技術的にはまだまだなんですね…(^_^;)

そういう、既存の電力網につなぐのが難しいとか安定しない自然エネルギー系電源のエネルギーを蓄える手段として使うってのが唯一の使いどころかと。
本当に蓄えるだけなら、nas電池や最近実用化のめどが立ち始めたマグネシウム蓄電池の方が効率がいいですが

例えばカナダやアイスランドなど、大型水力発電で電機が割安なところで海水から電気分解した水素を運んでくるとかね。これだって現状でもやってるアルミニウムの電気精錬のような電力を大量消費する産業を立地させるとか、そこで合成燃料を作るとかと競合しますが。

日本だと、屋久島当たりで自給的な水力発電からエネルギーを作って島内自給とかですかね。