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隅田金属日誌(墨田金属日誌)

隅田金属ぼるじひ社(コミケ:情報評論系/ミリタリ関係)の紹介用

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文谷数重

Author:文谷数重
 零細サークルの隅田金属です。メカミリっぽいけど、メカミリではない、でもまあミリタリー風味といったところでしょうか。
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2014.07
20
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Category : 未分類
 日経「川重、新型哨戒機『P1』でボーイングと一騎打ち」では、国際兵器市場でP-1はP-8と戦えると主張している。例えば
哨戒機は艦艇の監視に加え「ソナーブイ」と呼ばれる音響探知機器を海中に投下。センサーが潜水艦を探知する。ボーイングのP8は哨戒機で世界の先頭を飛ぶが、日本の防衛装備品の輸出緩和で思わぬライバルが登場した。川崎重工と防衛省が開発した哨戒機P1だ。
 P3CからP1へ。ロッキードの手を離れた川重だが、防衛装備移転三原則が決まった4月からは、世界の受注競争でボーイングと激突する。欧州最大の軍用機メーカー英BAEシステムズは哨戒機の開発を断念、西側諸国で生産できるのはボーイングと川重だけなのだ。
と言った部分がそれだ。

 しかし、P-1がP-8に伍して、国際市場で売れる見込みはない。なぜなら、実際に売れるのはP-3Cであるため。それ以上の機体が欲しい国でも、機体に信頼性のあるP-8を選ぶため。P-1の優位であるとする対潜機能も、キラーコンテンツとならないためである。

■ 売れ筋は中古P-3C
 そもそも、実際に国際市場で売れるのはP-3Cである。P-1でもなければP-8でもない。日米以外にとっては、P-1/P-8は過剰性能であり、あまりにも高価である。実際に売れるのは性能も価格も充分なP-3C中古機である。

 記事中で、ベトナムやフィリピンにP-1が売れるようなことを言っている。
 東南アジアでは南シナ海の領有権争いがくすぶる。当事者のフィリピンやベトナムは中国の覇権主義に対抗するため、防衛装備品の輸出緩和を決めた日本のP1に「高い関心を示す」(防衛省幹部)。
だが、ベトナムが実際に狙っているのは中古P-3Cである。フィリピンには高度な哨戒機を買う余裕も、運用する能力もない。民間機転用の海洋観測機がいいところだ。

■ 熟成度が高いP-8
 高性能哨戒機が欲しい国でも、信頼性や部品調達面からP-1はP-8には勝てない。

 機体の実績でP-1はP-8に及ばない。P-8は傑作機ボーイング737の転用であり、機体、エンジンとも熟成されており、致命的なトラブルが発生する可能性はない。対して、ノウハウに乏しい日本が、ゼロベースで作ったP-1には機体やエンジンレベルで潜在的なトラブルが疑われるためである。

 実際に、P-1では国産エンジンにトラブルが発生している。制御ソフトウェア改修で問題は解決済みとしているが、もともとエンジンの素性がわるいものを、姑息的に直したものに過ぎない。

 哨戒機として高性能でも、原始的なトラブルで使えなくなる話はいくらでも考えつく。例えば、脚周りについて、かつてのボンバルディア機のようなトラブルが発生したら目もあてられないことになるだろう。日本製の場合、そのようなトラブルがないとは言えないのである

 また、部品の調達面でもP-1はP-8に大きく劣る。P-1はC-2と部品共用を進めた結果、保守品等のストックが容易になったかもしれないが、B-737と部品が共用できる点でP-8にはかなわない。P-8は、B-737との共用部分であれば世界どこでも部品調達が可能であり、最悪、近くにある民間機から部品を剥ぎ取ることでも整備は可能である。この点で、P-1はP-8に大差が付けられている。

■ 対潜能力での優位も意味はない
 対潜戦能力の高さを示しても、P-1がP-8に対して国際市場でアドバンテージを得られることはない。

 まず、対潜戦能力を求める国はそれほどはない。哨戒機の任務については、かつてのような敵原潜捜索や艦隊前方の対潜バリアーといったものの比重は低下している。今、各国が欲しがっているのは海洋監視能力である。この点で、対潜戦に比重を置いたP-1の優位性はあまり活きるものではない。

 また、P-1を輸出できても、対潜戦パッケージは輸出できない可能性もある。対潜戦システムのキモは、音響シグネチュアのデータベースにある。日本にとっては門外不出であり、しかも米海軍が絡んだデータとなると、輸出品への搭載は難しくなる。データベースがなければ、高性能なソノブイや機上解析機器も、ただの音響測定器具に成り下がってしまうのである。

■ ニムロッドやアトランティックを輸出しようとするようなもの
 P-1は、国際市場で売れるような代物ではないのである。それができると主張し、輸出仕様と努力をしても、かつてのニムロッドやアトランティックのようなもので、旧植民地にも売れないシロモノで終わる。


 特に、時事問題と絡めて「南シナ海周辺国に売れるのではないか」と記事で述べるのは、事実を見ない願望としかいいようもないだろう。既に述べたように、彼らが買えるのはP-3Cがせいぜいであるためだ。

 それが出来ると主張する点で、日経記事は日本航空産業への提灯記事に留まるものなのである。



※ 「川重、新型哨戒機『P1』でボーイングと一騎打ち 」『日本経済新聞』(日本経済新聞,2014.7.20)http://www.nikkei.com/article/DGXBZO74435040Y4A710C1000000/?dg=1
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Comment

非公開コメント

日本版ニムロッドかあ…
もうP-3Cで十分な気がしてきます

No title

中古の巡視艇や護衛艦と一緒に整備保守を請け負う契約でP-3Cを輸出する可能性はあるんだろうかと思いました。

データベースとか一切合切こみとなるとシンガポールやブルネイ、インドネシアあたりはどうなんでしょうか。どちらかといえばNATOのような組織が東南アジアで成立するか次第のような気もします。

No title

まず輸送機としてドンガラが信用できることを証明するところからはじめないとねえ。

エレクトラから発展したP-3も737をいじくったP-8もコメットのなれの果てのニムロッドも、ドンガラが信用出来ることは証明済み。オリジナルにドンガラこさえた希有な例だからなあ>P-1

Re: No title

ブルネイは維持できる規模はないし、シンガポールも、ドラブルが怖くて日本製は避けるでしょう
インドネシアなら、紐付き援助とか、あるいはインドネシアの輸送機とかヘリを買う約束なら売れるかもしれませんけど、それでも大きすぎて使いにくいでしょうねえ。

> 中古の巡視艇や護衛艦と一緒に整備保守を請け負う契約でP-3Cを輸出する可能性はあるんだろうかと思いました。
>
> データベースとか一切合切こみとなるとシンガポールやブルネイ、インドネシアあたりはどうなんでしょうか。どちらかといえばNATOのような組織が東南アジアで成立するか次第のような気もします。

No title

そうは言っても、P-8は低高度に降りられないし、1機100億もするUAVを同時運用しなければならないし

魚雷やソノブイも高高度から投下して羽根をつけて誘導しなければならないという代物なんで、潜水艦を追尾するのはかなり無理があります。

哨戒機の機数が少ない国ほど単機で低高度哨戒ができるP-1の方がよほど使い勝手が良いかもしれません。

P-8の信頼性が高いといっても高度10000メートルを飛行する民間機としての性能ですからねえ

No title

元々素性の悪いエンジンと言う表現が、腑に落ちない。知る限り、飛行停止になる不具合は一回。燃料供給の通りを改善。直すべき処を直した。それを姑息的とは??
f7はp1の為に造られ、元を辿ればf5で、5はまだ飛んでいない。素性を語るほどの経歴は無い。
使い続けることで、信頼性は増す。価格は下がる。いずれ売れるでしょう。p3じゃなく、p1の中古を売る手もある。

Re: No title

 結局、技本や経産省、防衛産業が海自に押し付けたエンジンですからね

> 元々素性の悪いエンジンと言う表現が、腑に落ちない。知る限り、飛行停止になる不具合は一回。燃料供給の通りを改善。直すべき処を直した。それを姑息的とは??

 「吸気量の変動に対し機械的に追従できない」のは、まったく素性が悪いからで
 「ソフトウェアをいじくってごまかした」は姑息的でしかないです

> 使い続けることで、信頼性は増す。価格は下がる。

 P-1の規模で熟成もないでしょう。逆に致命的な問題が見つかって、
 その改修のためにエンジンの値段が上がるかもしれませんねえ。

 まあエンジン換装は容易なんで、P-2VからP-2Jみたいに別の他国製エンジンに載せ替える可能性もありますけど


> 元々素性の悪いエンジンと言う表現が、腑に落ちない。知る限り、飛行停止になる不具合は一回。燃料供給の通りを改善。直すべき処を直した。それを姑息的とは??
> f7はp1の為に造られ、元を辿ればf5で、5はまだ飛んでいない。素性を語るほどの経歴は無い。
> 使い続けることで、信頼性は増す。価格は下がる。いずれ売れるでしょう。p3じゃなく、p1の中古を売る手もある。