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隅田金属日誌(墨田金属日誌)

隅田金属ぼるじひ社(コミケ:情報評論系/ミリタリ関係)の紹介用

プロフィール

文谷数重

Author:文谷数重
 零細サークルの隅田金属です。メカミリっぽいけど、メカミリではない、でもまあミリタリー風味といったところでしょうか。
 ちなみに、コミケでは「情報評論系」です

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2014.11
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Category : 未分類
 「自衛隊スゲー」系の記事なのだろう。産経の「短艇(カッター) 海自の誇りを支える人力舟 容赦なき『総短艇用意』に海自幹部は震え上がる…」だが、そこまで大したものではない。アレは天下の奇祭ていどのものだ。

 特に産経が書いていると、安っぽいヨイショ記事にしか見えない。まあ、中身は間違いはないが、思い入れ過剰で「自衛隊を擁護するオレ達、国益の鏡」みたいな増長慢の匂いがするものだ。あるいは、海自広報にいいようにヤラれているなともね。その意味では、海自広報はいい仕事をしているのだが。

 短艇は、軍艦と岸を連絡し、非常時に脱出するための手漕ぎボートのことで、昔は端艇と書いた。銃隊を縦隊にいいかえるようなものだが
高松宮さまの日記には「舟」へんに「カ」と書いてあるように、旧日本海軍も普通にカッターと読んでいたし、己たちも口語ではカッターと読んでいた。号令も「第○カッター卸し方用意、短艇索解け」だから、オフィシャルでも口にだすときは「カッター」が正しいのだろう。

 短艇(タンテイ)はどっちかというと、防大系のような気もする。あそこには短艇委員会というのがあって、それ上がりが艇指揮(艇長は分隊長等の最先任者)をしていた。短艇委員会自体が、アレな体育会系で、最初はガミガミ言うが、半年も経つと、御本尊もそれなりにダラけたもんだ。そもそも、最初から中身はマトモだった。今から思えば、役割演技にハメられていたのだろう。高校も奴さんは城西大川越で、己は川越、しかも一留の同学年なので、共通の知り合いがいた。

 その総短艇にしても、それほど震え上がるものでもない。掛かったらやらされるだけの話であるし、所詮はエンジン(真ん中のあたりはそういうし、実際にしゃべる発動機程度の扱い)なので、別に分隊が勝とうが負けようが知ったことでもない。中途、力尽きて櫂を上げるわけでもなし、最後までキッチリ漕いでいたが、結局は「業務命令だからやってりゃいいだろ」程度のものだった。

 勝つことが重要で、負けたら悔しがるというのも、そういうふうに振る舞えという雰囲気だけの話だ。「震え上がる」とか「あんなものを二度とみたくない」というのも、そう言えといった雰囲気に合わせているだけ。別になんとも思わないし、1術校でやらされている候補生をみても、「ご苦労さん」としか思わない。自分の居た分隊が、土日や自由時間にお稽古していれば「がんばれよ」とも言うし、差し入れもするが、その程度である。やれと言われれば、幹部は懐かしさで喜んでやると思うよ。「指潰すな」とか「索跨ぐな」とか言いながら、終わった後にはメンドイねえとか腰がねとかいうだろうけど。

 尻の皮が剥けるというの、やや誇張されている。
カッターでは下半身に加わる摩擦も強くなる。ある男性海自幹部は「お尻の皮がむけるので、女性用生理ナプキンを着けるんですよ
というのも、己の周りではなかった。剥ける奴は剥けるのだろうが、剥けないのは剥けない。そもそも、体重で引けるようになると、腰なんか形しか掛けない。尻に荷重も摩擦も掛からないもんだ。どっちかというと剥けるのは掌で、それも慣れると滑らせないから剥けもしない。

 国際法云々も、少しは疑うべきだろう。記事では
総短艇は速ければいいわけではない。服装、ルールが厳しく定められ、少しでも違反すればタイムに加算される。他の短艇の邪魔をすれば即失格。他の分隊に違反があれば、教官に申し立てを行う。国際海洋法を正しく理解し、事故があれば的確に状況を説明する能力を鍛えるためだ。
と書いている。だが、候補生は相身互いなので、それほど他艇に文句つける話はない。実際は、教育部長あたりが「靴の脱ぎ用が悪い」とか、「索の扱いが気に食わない」というのがペナルティの大概である。判定についても、多分、ほとんどの候補生は勝ち負けはどうでもよい。それよりも「早く終われ」や「サッサと飯食わせろ」だ。

 このあたり、海自の広報にいいようにヤラれているように見える。候補生の挙動を見ないで、海自広報の言うままに書いているのではないかね。自分でなにか新しい発見を書くわけでもないあたり、やっつけにも見えるものだよ。まあ海自広報の勝利だ。

 基本、自衛隊スゲー、自衛隊エライと書いておけば、取材元も編集も読者も満足するのだろう。そのようにして書かれた埋め草記事である。

 その実態からすれば、天下の奇祭として、「安藤家猫おどり」ていどに面白おかしく紹介すればいいていどのものだ。やりたいからやっているのではない、仕事だから仕方なくやっているものだ。

 まあ、なんにせよ国際法云々といった過剰なヨイショの臭いがすると、ケナしたくなるものだよ。産経は「国民の自衛官」とかやって兵隊の歓心を買おうとしているが、兵隊からみても、猫撫で声にしか聞こえなかった。なんかいいように使われているねとか、己等は非国民の自衛官だからねえと結構、否定的に見ていたものだよ。



※ 杉本康士「短艇(カッター) 海自の誇りを支える人力舟 容赦なき『総短艇用意』に海自幹部は震え上がる…」『産経ニュース』(産経新聞,2014.11.28)http://www.sankei.com/premium/news/141128/prm1411280004-n1.html
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Comment

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No title

『嫌韓流』みたいな愛国ビジネスなんじゃないですかね。メディアの方も、広報からの伝言ゲームで記事が売れれば楽してお金になるという点では勝ってる気もします。

でも、国士様からの愛国感情の投影も行き過ぎると自衛官にとっても面倒くさそう

No title

こういうところは娑婆と変わりないってことですね。
更に言えば、中高あたりの体育か部活の練習と変わらない。