- 2023 . 11 «
- 1
- 2
- 3
- 4
- 5
- 6
- 7
- 8
- 9
- 10
- 11
- 12
- 13
- 14
- 15
- 16
- 17
- 18
- 19
- 20
- 21
- 22
- 23
- 24
- 25
- 26
- 27
- 28
- 29
- 30
- 31
- » 2024 . 01
Category : 未分類
産経が集団的自衛権がないと死んじゃうといって、その理屈に対機雷戦を持ってきているが、どの部分を読んでも、どのレベルでも奇妙な主張になっている。筆者は愛国精神が強すぎで、中身を咀嚼できていないのだろう。
中国が危ないと言いたいことはわかるが、それが対機雷戦や集団的自衛権にどう影響するのかがわからない。榊原智「シーレーン阻害?中国海軍の機雷は10万個超 海自掃海活動『可能』の意義」だが、そもそもどういう主張なのかが判らない。
中国は10万ヶの機雷を持っていて脅威だと言いたいのだろう。だが、その先の論理の展開が、全く納得行かないものだ。
まずは、なんで朝鮮有事で、避難民を載せた艦船を中国が襲うのかが判らない。榊原さんは
と述べている。
だが、朝鮮有事で朝鮮半島から避難する民間人を、中国が襲う理由は判らない。
中国が絡む事変で、中国から脱出する民間人についても、出国を許可した中国が襲う必要もない。そもそも、機雷は昨日今日に出発する艦船を狙う兵器ではないし、民間人避難については、人道用飛行機で行うのが通例である。
また、唐突に南シナ海全体での機雷封鎖が出てくる理由も判らない。
と述べている。だが、これもそうとうにヘンテコである。
南シナ海での戦争で中国が機雷を敷設するにしても、攻勢的にせよ防勢的にせよ、局地的な機雷原に留まる。そこを避けて通ればいい話であるし、戦争中であれば、中立国は中立義務から受忍しなければならない。
「世界の商業海運の半分が通過する大動脈」といった書き用から、南シナ海全体を機雷封鎖するとも読めるが、それま全く現実的ではない。南シナ海はアクセス経路が多数あるので、中国海軍と民間船舶、旧式も多い機雷10万では封鎖できない。さらに言えば、南シナ海が「世界の商業海運の半分が通過する大動脈」であるのは、中国発・中国着の海上輸送があるためだ。中国自身が海上輸送を止めるなら、大動脈ではなくなるあたりにも、この話の矛盾はある。
そして、榊原さんは、機雷戦そのものについても、割と適当に書いている。
とある。
だが、機雷の脅威にさらされたのはペルシア湾湾奥だけである。そして、そこを含めて、米海軍はイラクの海上使用を完全に封止している。コントロールを失ったというほどのことはない。
また「10億ドルの米イージス艦が、2万5千ドルのイタリア製機雷で行動不能になった。」も、混同している。イージス艦のプリンストン触雷を指すのだろうが、大事をとっての一時的な行動停止であり、それほどのものではない。そもそも、マンタは極端に強力な機雷ではなく、駆逐艦クラスを大破させるほどの炸薬量はない。おそらく、イライラ戦争で触雷し、沈没寸前までいったサムエル・B・ロバーツと混同しているのだろう。
榊原さんは集団的自衛権は重要と考えており、それを対機雷戦で理屈つけようとしているのだろう。だが、集団的自衛権がないと日本が死んじゃうという思い込みが強すぎるので、どの部分を読んでも、どのレベルの話でも、頭から?が出るような内容となっている。この辺りが、産経品質なのだろう。
※ 榊原智「シーレーン阻害?中国海軍の機雷は10万個超 海自掃海活動『可能』の意義」『産経ニュース』(産経新聞,2014.12.13)http://www.sankei.com/column/news/141213/clm1412130009-n2.html
中国が危ないと言いたいことはわかるが、それが対機雷戦や集団的自衛権にどう影響するのかがわからない。榊原智「シーレーン阻害?中国海軍の機雷は10万個超 海自掃海活動『可能』の意義」だが、そもそもどういう主張なのかが判らない。
中国は10万ヶの機雷を持っていて脅威だと言いたいのだろう。だが、その先の論理の展開が、全く納得行かないものだ。
まずは、なんで朝鮮有事で、避難民を載せた艦船を中国が襲うのかが判らない。榊原さんは
政府与党の協議では、集団的自衛権の事例として、朝鮮有事などで邦人が乗った米艦船を自衛隊が守ることも論じられた。邦人がいなくても、各国民間人が乗った外国の艦艇、船舶が避難してくるときに、自衛隊が守らず見殺しになどできるはずがない。そんなときに、北朝鮮でも中国でもいい、どこかの国が機雷を絶対にばらまかないという保証もない。
と述べている。
だが、朝鮮有事で朝鮮半島から避難する民間人を、中国が襲う理由は判らない。
中国が絡む事変で、中国から脱出する民間人についても、出国を許可した中国が襲う必要もない。そもそも、機雷は昨日今日に出発する艦船を狙う兵器ではないし、民間人避難については、人道用飛行機で行うのが通例である。
また、唐突に南シナ海全体での機雷封鎖が出てくる理由も判らない。
南シナ海でも[中国が機雷を敷設する可能性があることは]同じことだ。世界の商業海運の半分が通過する大動脈であり、「航行の自由」が強く求められている海だ。
と述べている。だが、これもそうとうにヘンテコである。
南シナ海での戦争で中国が機雷を敷設するにしても、攻勢的にせよ防勢的にせよ、局地的な機雷原に留まる。そこを避けて通ればいい話であるし、戦争中であれば、中立国は中立義務から受忍しなければならない。
「世界の商業海運の半分が通過する大動脈」といった書き用から、南シナ海全体を機雷封鎖するとも読めるが、それま全く現実的ではない。南シナ海はアクセス経路が多数あるので、中国海軍と民間船舶、旧式も多い機雷10万では封鎖できない。さらに言えば、南シナ海が「世界の商業海運の半分が通過する大動脈」であるのは、中国発・中国着の海上輸送があるためだ。中国自身が海上輸送を止めるなら、大動脈ではなくなるあたりにも、この話の矛盾はある。
そして、榊原さんは、機雷戦そのものについても、割と適当に書いている。
湾岸戦争当時、イラクが敷設した1300個の機雷によって、米海軍はペルシャ湾のコントロールを一時失った。10億ドルの米イージス艦が、2万5千ドルのイタリア製機雷で行動不能になった。
とある。
だが、機雷の脅威にさらされたのはペルシア湾湾奥だけである。そして、そこを含めて、米海軍はイラクの海上使用を完全に封止している。コントロールを失ったというほどのことはない。
また「10億ドルの米イージス艦が、2万5千ドルのイタリア製機雷で行動不能になった。」も、混同している。イージス艦のプリンストン触雷を指すのだろうが、大事をとっての一時的な行動停止であり、それほどのものではない。そもそも、マンタは極端に強力な機雷ではなく、駆逐艦クラスを大破させるほどの炸薬量はない。おそらく、イライラ戦争で触雷し、沈没寸前までいったサムエル・B・ロバーツと混同しているのだろう。
榊原さんは集団的自衛権は重要と考えており、それを対機雷戦で理屈つけようとしているのだろう。だが、集団的自衛権がないと日本が死んじゃうという思い込みが強すぎるので、どの部分を読んでも、どのレベルの話でも、頭から?が出るような内容となっている。この辺りが、産経品質なのだろう。
※ 榊原智「シーレーン阻害?中国海軍の機雷は10万個超 海自掃海活動『可能』の意義」『産経ニュース』(産経新聞,2014.12.13)http://www.sankei.com/column/news/141213/clm1412130009-n2.html
スポンサーサイト
Trackback
Comment
No title
12:38
URL
編集
「実際にはもっと大規模かつ広範な海外派兵がしたい、でも素直にそう言うと支持が得られないから掃海を口実にしよう、それに中国を絡めれば中国脅威論と合わさって支持が得られるだろう」って感じがします。
No title
15:22
URL
編集
ネット情報でしか確認しておらず申し訳ないのですが、2006年のレバノン侵攻時にミストラルが出たくらいでしょうか。おまけに、その時ですら作戦は全部フランス軍で完結していたような…。MOOTWで海軍艦艇が活躍する場合といえば、大規模災害での被災者支援みたいなのが圧倒的ではないでしょうかと思うのですが
No title
16:23
岩見浩造
URL
編集
あの流れを何故か捨てましたからね。
もう一度再生させようとしても簡単に行くものでも無し。
今はポップ路線でMAMORのデコレーションやってるみたいですけど
金と薄っぺらな愛国心とやらしかないサラリーマン記者に多くを望むのは無理でしょう。
能瀬さんみたいにまともな人を育てようとしても阿比留みたいのが上司だったら
癇に障る申し立て一つで左遷でしょうね。
20:02
きらきら星
URL
編集
ただ、日本が集団的自衛権を行使する権利を有する事と、今の政府がそれを使いこなす能力があるかどうかは、また話が別だと思います。
普天間問題を見る限り、安全保障面での自主性やら客観性やらは現政権には全く期待出来ない。
この人達に集団的自衛権なんて与えても、幼児に弾の入ったピストルを与えるようなものでしょう。