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隅田金属日誌(墨田金属日誌)

隅田金属ぼるじひ社(コミケ:情報評論系/ミリタリ関係)の紹介用

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文谷数重

Author:文谷数重
 零細サークルの隅田金属です。メカミリっぽいけど、メカミリではない、でもまあミリタリー風味といったところでしょうか。
 ちなみに、コミケでは「情報評論系」です

連絡先:q_montagne@pop02.odn.ne.jp

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2011.02
19
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22:15
Category : 映画
 『戦火の中へ』(イ・ジェハン監督)の第一回上映を観てきました。

 内戦風味が不足と書きましたが、むしろ内戦風味が足された作品でした。

 『戦火の中へ』は朝鮮戦争での学徒兵の戦いを描いた作品です。この学徒兵の戦い、奮闘と悲劇は韓国にとっての建国神話なのでしょう。建国神話を公定ナショナリズムの観点だけであれば、英雄を顕彰するだけの無味乾燥なものになってしまいます。ですが、監督はそれを『血と砂』や『橋』のように描いています。学生が戦場に出て、兵士として悩みながら成長するが、血も流すという映画です。また、最初はうまくいかない学徒たちが、フード理論でいう「同じ釜の飯を食う」ことによって、本当の「カンパニー」=「中隊」=「同じ飯を食う仲間」になる姿も素晴らしいものでした。

 観客が没入しやすくするためでしょう、『戦火の中へ』では意識して公定ナショナリズム臭を消しています。そして、当時の実態に寄せる工夫をしています。映画の中では、基本的に「韓国」という言葉は出していません。おそらく、意識して「祖国」としています。また、公定ナショナリズムでは同情されないはずの北朝鮮軍の兵士にも、死ぬときに「お母さん」と言わせたり、北朝鮮軍の大隊長に、戦場では格別の暖かさを示させたりしています。これらは、内戦でもあった朝鮮戦争といった実態に近づける努力であるといえます。

 とはいえ、話の根本が建国神話である以上、学徒兵を英雄として顕彰する構図からも離れられません。映画のエンディングに、元学徒兵の体験談が挿入されている以上、戦いの意味は否定できないのです。映画での状況からすれば、あまり意味のない戦いに見えますが、それを『血と砂』や『橋』のように、目的が失われた戦争と表現することはできなかったのでしょう。学徒兵の死は無意味にはできないからです。ただし、この点は映画の中では上手にゴマかしているように見えます。

 もちろん、映画そのものは素晴らしい出来です。まず、迫力のあるアクション映画です。そして作劇もしっかりしています。2時間と長めですが、全く飽きることはありません。宣伝語句の『その勇気が未来を変えた』や『感動の実話』とはベクトルが違うかもしれませんが、『地と砂』や『橋』が好きな人ならたまらない映画だと思います。「オススメです」。
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