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隅田金属日誌(墨田金属日誌)

隅田金属ぼるじひ社(コミケ:情報評論系/ミリタリ関係)の紹介用

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文谷数重

Author:文谷数重
 零細サークルの隅田金属です。メカミリっぽいけど、メカミリではない、でもまあミリタリー風味といったところでしょうか。
 ちなみに、コミケでは「情報評論系」です

連絡先:q_montagne@pop02.odn.ne.jp

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2015.05
03
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18:46
Category : 未分類
 「集団的自衛権の行使事例として、中東・ホルムズ海峡が機雷封鎖されて原油輸入が滞り、凍死者が続出する場合が該当し、停戦前の機雷掃海が可能」といいだすのもどんなものかね。

 産経の「自民・高村副総裁『原油切れで凍死者続出なら停戦前の掃海可能』」だが、なんでそれが集団的自衛権になるのかが疑問である。

 ホルムズ海峡は国際海峡であり、日本には通航の権利がある。「通航の権利を行使するため、通航路を確保した。両陣営間の戦争行為に参加するつもりはない」で終わりとなる話である。これはコルフ海峡事件での英国による自力救済の先例があるため、主張は難しくはない。

 しかも、他国と分担して機雷除去をしたところで、集団的自衛権とは関係しない。

 そもそも、ホルムズが機雷封鎖されるまで米国が黙っているということはない。仮にイランが国際海峡全体を封鎖するような機雷敷設を始めたばあい、封鎖完了まで待つことはない。攻勢的対機雷戦でイラン敷設艦船を沈め、陸上機雷ストックや輸送を爆撃し、逆にイラン港湾を機雷封鎖するだろう。

 実際にはギリギリまで集団的自衛権は使いませんよといいたいのだろう。だが、前提として非現実的な話である上、集団的自衛権を使わずそれ以前に対応する話である。何のためにする主張であるかわからない。

 集団的自衛権云々の話は大概ピントがぼけている。従来の自衛隊派遣同然に、その都度議論をつくし、みんな納得の上で現実と憲法のすり合わせをすれば済む話なのだがね。
 
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No title

というか、普通なら凍死者出る前に余所の国から原油を買いますよね?
もっと言えば、イランから直接原油を仕入れてもいいでしょう。向こうだって輸出出来なきゃ困るんでしょうから、安く買えますよ。
どうしてそこまで米国に義理立てするかな。

どっちの立場にしろ、議論が嫌なんですよ。

>集団的自衛権云々の話は大概ピントがぼけている。従来の自衛隊派遣同然に、その都度議論をつくし、みんな納得の上で現実と憲法のすり合わせをすれば済む話なのだがね。

ここだけ読むと、反対する側にも問題あるように読めますが、機会がありましたらその辺についてご教示頂ければ。

政府与党が改憲を求める理由の一つに押し付け憲法は主権国家に相応しくないというのがありますが、
じゃあ外交防衛で米国隷従は止めて対等な立場で物申す覚悟があるのかと言えば、まったく無いわけでしょう。
現行憲法で集団的自衛権の行使さえ可能であると政府は言い、対米関係も今までと変わらないのであれば、
いったい改憲する必要性ってなんなのでしょうか?
国の施策に意見する「左翼」や「リベラル」の存在が単に気に入らないだけなんじゃないの?

はじめましてですみません。

「自力救済」で掃海は合法化されるという趣旨と理解しましたが、少なくともそれは通説ではありません。現代の国際法で「自力救済」などという概念は使われません。

コルフ海峡事件を引用されていますが、根拠とされている(自力救済として掃海が正当化されていることを示す)パラグラフ番号を具体的に示して頂けますか?

通常、コルフ海峡事件は真逆の意味で理解されています。つまり、自力救済を否定した事件、という意味です。

もう一件コメントです。

日本での集団的自衛権の議論がねじれているのは仰るとおりですが、それはこの記事とは逆の意味においてです。

つまり、国際法の通説、国際社会の大勢としては、武力の行使(掃海や機雷戦など含む)は、個別自衛権か、集団自衛権か、国連安保理の授権によらねばできません。(対抗措置では出来ない、というのが通説)

日本の議論が捻れているのは、集団自衛権を認めたくないという動機から、個別自衛権で対処できるといって個別自衛権の要件を緩和させたり、この記事のように「自力救済」のような新奇な正当化事由を持ち出したりと、むしろ国際法の観点からいえば危うい主張があたかも良識のような態で議論されていることです。

国際法学の努力不足かもしれませんが、気になったので一言残しておきます。

No title

前々から思ってたんですが、そもそも先の大戦で日本に油が来なくなりました、ってのはシーレーン云々ではなくて、対中政策なんかで石油輸入国にケンカ売った結果だと思うんですよね。対米開戦前は海の通行を支配してたのは日本ですから。国内での軍の発言力もあったとはいえ、外交政策で悪手を重ねた結果であって海上戦力の運用云々を超えた話なのに、よくある「油が切れたらどうなるかというのはかつて日本が経験したではないか」という理屈は、それを混同していると思うんですよね。

それと、こういう時だけ凍死者が続出、っていう極端な例を持ってくるのも何だか満州関連でお怒りになったdragoner氏と似たようないかがわしさを感じますね。そんな事を言えば、規制緩和だとか、あるいは社会保障の切り詰め、アベノミクスの失敗でも「死者が続出」している、なんて(批判する方は)アジテートしてますし。

Re: タイトルなし

> コルフ海峡事件を引用されていますが、根拠とされている(自力救済として掃海が正当化されていることを示す)パラグラフ番号を具体的に示して頂けますか?


記憶で申し上げているので間違いの可能性もありますが

コルフ海峡事件は、掃海そのものの可否については触れていないと記憶しておりますが、どうだったでしょう?

また、あれは領海の管理と言った形で片付けた事件で、国際海峡を実力で押し通ることの可否についても触れていなかったと思います。

逆にそれでホルムズの実力通過を止められない理屈になるのでしょうか?
暫く調べに行けないので、そのあたりをよろしければ教えていただければと。

Re: No title

実際には、凍死者が出る出ないの前に、備蓄と統制と、別のところの原油と、石炭等の買いましで対応すると思うのですよ。
とはいえ、ホルムズについては通航を確保しなければならないと思うのですよね。


> 前々から思ってたんですが、そもそも先の大戦で日本に油が来なくなりました、ってのはシーレーン云々ではなくて、対中政策なんかで石油輸入国にケンカ売った結果だと思うんですよね。対米開戦前は海の通行を支配してたのは日本ですから。国内での軍の発言力もあったとはいえ、外交政策で悪手を重ねた結果であって海上戦力の運用云々を超えた話なのに、よくある「油が切れたらどうなるかというのはかつて日本が経験したではないか」という理屈は、それを混同していると思うんですよね。

Re: タイトルなし

> もう一件コメントです。
[略]
> この記事のように「自力救済」のような新奇な正当化事由を持ち出したりと、
> むしろ国際法の観点からいえば危うい主張があたかも良識のような態で議論されていることです。

仰りたいことは理解しているつもりです

ただ、戦争と平和の間にもオプションがいくつかあると思うのですよ。
「戦争はする気はない、でもアクセスする権利のために通航路を作る作業をするよ」みたいな屁理屈が外交ではないかと思います。

普通は、敷設国が安全通路を作りますし、あるいは知らん顔しますけどね