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Category : ミリタリー
以下は、2007年12月に発行した『CIWS銃剣論 : 有無を問う 長短は問わず』※ で穴埋めに書いた文章です。増刷の予定もありませんので、一部だけですが掲載しようというものです。なお、加筆修正は施してあります。
対艦ミサイルSS-N-2a、スティックス初期型について。発射手順と発射後にミサイルが行う動作は次のとおりです。
① 発射まで
目標をレーダ(スクエア・タイ)で補足し、あるいは光学照準によって発射する。スティックスは発射前に調定を必要とする。調定時間は20~30秒程度であるが、その間は発射艦艇は15ノット以下で航行しなければならない。
② 発 射
発射時に、搭載艦艇は目標に対して135度で回頭が必要をである。
② 上昇過程
発射後、スティックスは、100~300mの指定高度まで45度の傾斜で上昇する。(高度は気圧計による)
③ 捜索過程
上昇後、定められたコースで飛翔し、捜索をはじめる。捜索範囲は狭く、最初に指定した目標方位と、その左右どちらかの方向へ1km幅を捜索する。
④ 誘導過程
目標まで6.5nmを切ると捜索をやめ、エコーに向かいホーミングする。複数の反応があれば、最も強いエコーに向かって進んでいく。
⑤ 突 入
目標まで数秒以内となったとき、誘導をやめ、保持した針路を直進する。最後のレーダ・エコーに向かうため、船体後方に当たることが多い。
これを承知していれば、スティックスを回避する方法も見えてくるでしょう。
まずは発射を探知することです。今まで高速で航行していた艦艇が、いきなり15ノットに減速(これはレーダで分かる)したら、それは「発射準備」です。その方面で、強烈な閃光(水面から流星が上がるような光)が見える、あるいは大回頭した場合は「発射」したということです。なお、ステックスを見つけることは容易です。スティックスは飛行機を一回り小型にしたようなサイズで、エンジンからの明るい炎を伴います。中東戦争でも目視観察されています。
回避する方法としては、まず、ミサイルの捜索範囲から抜け出てしまう方法があります。スティックスのシーク範囲は狭く、目標と、そこから左右いずれかの方向に1kmしか捜索しません。普通は目標の進行方向を捜索させるでしょう。ですから、ミサイル発射を確認したとき、ミサイルから見た進行方向を逆側すれば、ミサイルのシーク範囲から逃れられるかもしれません。発射時に大角度変針をすれば、回避できる可能性があります。
ロックオンされたあとについても、諦める必要はないでしょう。最後の1km程度は、誘導が切れて直進します。その段階で直角方向に曲がってみるという方法もあるでしょう。船の大きさによって舵が効き出すまでの時間があります。操縦性能に優れた小型船舶であれば、速力を上げて舵効きを良くすれば、上手く逃げられるかもしれません。90度回頭に1分2分を要する船でも、キック(転舵方向とは逆にスリップする減少)でかわせる可能性もあります。なんにしても舵の効きを良くするため、スピードを上げておくべきです。
同じ初期型であれば、赤外線誘導タイプ、SS-N-2bであっても、回避できる可能性はあります。赤外線シーカは視野角2.5度、探知距離10km以下です。シーカの視野角は2.5度しかありません。10km先で約300mの幅にすぎません。やはり、発射直後に、ミサイルからの見かけ進行方向と逆側に大角度変針をすれば誘導範囲から逃れることができるかもしれません。
しかし、SS-N-2c以降は電子機器が固体素子化に改修され、誘導ロジックも複雑化しています。まず逃げるのは難しくなっているようです。さらに射程も80kmまで伸び、飛翔高度も25mまで下げられるようですので、まず見つけるのは難しいかもしれません。
なお、本手法は『Conway's All the World Fighting ships 1947-1995』と『Jane’s Naval Weapon Systems 2005』に記載されたスティックス初期型の挙動をもとに考えたものです。実地に試しても成功するかどうかを保証するものではありませんのでご注意。
※『CIWS銃剣論』は「CIWSなんてサイド・アームだから、何でもよくね」「ゴールキーパーみたいな重たいやつよりも、軽くて取り回しのいいほうが便利だろ」といったものです。「ゴールキーパーは威力があるけど抜くのも不便で重たい軍刀、ファランクスはスグに抜けて負担にならないトレンチ・ナイフと思ってよ」ですね。
『CIWS銃剣論』自体も、2000年に出した「重くて砲塔構造が必要なゴールキーパーよりも、軽くて載せればのOKのファランクスを、高くて射界稼げるところにおいたほうがいいよね」に加筆したようなものです。
対艦ミサイルSS-N-2a、スティックス初期型について。発射手順と発射後にミサイルが行う動作は次のとおりです。
① 発射まで
目標をレーダ(スクエア・タイ)で補足し、あるいは光学照準によって発射する。スティックスは発射前に調定を必要とする。調定時間は20~30秒程度であるが、その間は発射艦艇は15ノット以下で航行しなければならない。
② 発 射
発射時に、搭載艦艇は目標に対して135度で回頭が必要をである。
② 上昇過程
発射後、スティックスは、100~300mの指定高度まで45度の傾斜で上昇する。(高度は気圧計による)
③ 捜索過程
上昇後、定められたコースで飛翔し、捜索をはじめる。捜索範囲は狭く、最初に指定した目標方位と、その左右どちらかの方向へ1km幅を捜索する。
④ 誘導過程
目標まで6.5nmを切ると捜索をやめ、エコーに向かいホーミングする。複数の反応があれば、最も強いエコーに向かって進んでいく。
⑤ 突 入
目標まで数秒以内となったとき、誘導をやめ、保持した針路を直進する。最後のレーダ・エコーに向かうため、船体後方に当たることが多い。
これを承知していれば、スティックスを回避する方法も見えてくるでしょう。
まずは発射を探知することです。今まで高速で航行していた艦艇が、いきなり15ノットに減速(これはレーダで分かる)したら、それは「発射準備」です。その方面で、強烈な閃光(水面から流星が上がるような光)が見える、あるいは大回頭した場合は「発射」したということです。なお、ステックスを見つけることは容易です。スティックスは飛行機を一回り小型にしたようなサイズで、エンジンからの明るい炎を伴います。中東戦争でも目視観察されています。
回避する方法としては、まず、ミサイルの捜索範囲から抜け出てしまう方法があります。スティックスのシーク範囲は狭く、目標と、そこから左右いずれかの方向に1kmしか捜索しません。普通は目標の進行方向を捜索させるでしょう。ですから、ミサイル発射を確認したとき、ミサイルから見た進行方向を逆側すれば、ミサイルのシーク範囲から逃れられるかもしれません。発射時に大角度変針をすれば、回避できる可能性があります。
ロックオンされたあとについても、諦める必要はないでしょう。最後の1km程度は、誘導が切れて直進します。その段階で直角方向に曲がってみるという方法もあるでしょう。船の大きさによって舵が効き出すまでの時間があります。操縦性能に優れた小型船舶であれば、速力を上げて舵効きを良くすれば、上手く逃げられるかもしれません。90度回頭に1分2分を要する船でも、キック(転舵方向とは逆にスリップする減少)でかわせる可能性もあります。なんにしても舵の効きを良くするため、スピードを上げておくべきです。
同じ初期型であれば、赤外線誘導タイプ、SS-N-2bであっても、回避できる可能性はあります。赤外線シーカは視野角2.5度、探知距離10km以下です。シーカの視野角は2.5度しかありません。10km先で約300mの幅にすぎません。やはり、発射直後に、ミサイルからの見かけ進行方向と逆側に大角度変針をすれば誘導範囲から逃れることができるかもしれません。
しかし、SS-N-2c以降は電子機器が固体素子化に改修され、誘導ロジックも複雑化しています。まず逃げるのは難しくなっているようです。さらに射程も80kmまで伸び、飛翔高度も25mまで下げられるようですので、まず見つけるのは難しいかもしれません。
なお、本手法は『Conway's All the World Fighting ships 1947-1995』と『Jane’s Naval Weapon Systems 2005』に記載されたスティックス初期型の挙動をもとに考えたものです。実地に試しても成功するかどうかを保証するものではありませんのでご注意。
※『CIWS銃剣論』は「CIWSなんてサイド・アームだから、何でもよくね」「ゴールキーパーみたいな重たいやつよりも、軽くて取り回しのいいほうが便利だろ」といったものです。「ゴールキーパーは威力があるけど抜くのも不便で重たい軍刀、ファランクスはスグに抜けて負担にならないトレンチ・ナイフと思ってよ」ですね。
『CIWS銃剣論』自体も、2000年に出した「重くて砲塔構造が必要なゴールキーパーよりも、軽くて載せればのOKのファランクスを、高くて射界稼げるところにおいたほうがいいよね」に加筆したようなものです。
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