RSS
Admin
Archives

隅田金属日誌(墨田金属日誌)

隅田金属ぼるじひ社(コミケ:情報評論系/ミリタリ関係)の紹介用

プロフィール

文谷数重

Author:文谷数重
 零細サークルの隅田金属です。メカミリっぽいけど、メカミリではない、でもまあミリタリー風味といったところでしょうか。
 ちなみに、コミケでは「情報評論系」です

連絡先:q_montagne@pop02.odn.ne.jp

→ サークルMS「隅田金属」
→ 新刊・既刊等はこちら

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
Powered by fc2 blog  |  Designed by sebek
2015.11
27
CM:5
TB:0
06:04
Category : 未分類
 高岡で『よつばと』買ったあとで、岩波ブックセンターで新刊『徳川制度 下巻』を買ったのだが、収録された「維新の革命」士族の商法の魚屋編がなかなかないもの。

 大坂町奉行、大目付を歴任した松平大隅守が維新後に下谷茅町で魚屋をやっている。塩物問屋の、隠居の魚屋を居抜したものだ。そこで問屋の旦那に指導を受けながら営業。

 まず塩ジャケの切りようも分からず、卵の良し悪しも分からない。問屋の指導で切ると大きく見えて売れるが、自分で切ると小さく見えて最後まで残る。

 そして買い出しも難しい。最初のうちは昔の家僕を連れて河岸に行き、仕入れをする。だが、問屋の旦那に「商売人なら一人で仕入れろ」といわれ、素直に天秤を担ぐものの中途で息切れ、軽子を雇って運び、また叱責される。

 ただし、半年もすれば慣れる。相場を読んで一家の生計を立てるが、そこに火事で悉皆喪う。

 とはいえ「悲嘆に暮れても仕方がない」と、古什器を探し、旦那のお見舞金等、なけなしの手許金でウドンコを買ってすいとんやを始める。「割と回転率がよく小金を稼げるものだ」と気を良くし、その収入を元に翌日仕入れを増やして店を開くが、居眠りの隙を突かれ、野良犬にスイトン種を食われ、なけなしの食用油も舐め尽くされてしまう……

 読んでいてもショック。大隅守さまも悲嘆にくれて喋れない、呆然としてただ彳む。まずオレなら泣く。そして、夜間の後退に来た老僕にそれを告げたあと、主従ともに呆然として何もしゃべらない……。

 実話だがドラマツルギ―の高まりであることだよ。物語を作るには人を殺す殺さない、世界が滅びる滅びないは全然いらないということだ。自転車を盗まれて、盗んででもスリルだよねえと。
スポンサーサイト

Comment

非公開コメント

No title

嗚呼、武士の家計簿失敗版。
でも本家武士の家計簿も、ソロバン能力を生かして世界を股にかける経済人になるどころか、「高給取りの軍人が一番効率がいいし憧れ」というオチだったしな。

以前,NHKの「タイムスクープハンター」でも職を失った元武士がカステラ屋で修業する話がありましたね。因みに薩摩では維新後も態度が変わらなかった、という話を宮本常一の本で読みました。

No title

様々な業種に挑戦?した元幕府旗本や御家人ですが、当時の回想で「一番多かったのは汁粉屋、団子屋、炭薪屋に古道具屋でありました」なんてのがありますね。
古道具屋はともかく、他は何で多かったのかは分かりませんが。

もっともその古道具屋もその家に伝わる各種器物を売るだけで、什器だろうが刀剣だろうが箪笥長持だろうが悲惨なほど値が付かなかったそうですが。完全な供給過多だったのでしょうね。

金貸しやっても全部踏み倒されたり、汁粉屋やっても米と炭薪は領地からタダで来るものと思ってコストに入れず収支計算してたりと世間知らず故の失敗が多いですが、まあ大多数は幕府が潰れるとは思ってなかったんだからそれも当然か。

個人的には石川左近将監という元大身旗本が乞食に零落れたのを聞いた栗本鋤雲が「石川左近に先を越されるとは忌々しい」と言って膝を叩いて笑ったという逸話が気に入っています。
この時の鋤雲の心中は察する他ありませんが、笑いでもしなければやってられなかったんだろうなあ。

No title

栗本鋤雲は、民間でもジャーナリストとして成功したやり手じゃないですかー。
商売に手を出して成功した旧幕臣は少ないが、栗本や福沢諭吉のように知識人化した旧幕臣は概ね成功してるんだよね。
もともと、武士は江戸時代に知識階級化していたので、維新で武が奪われると、そちらに一気にシフトした。

No title

たしか志ん生も文楽も三千石だかの大身旗本の子弟でしたよね。噺家っていまでこそ古典芸能のアルチザンとして評価されるけど、明治時代には社会の最底辺に近い職業だったのじゃないか、と思うとその社会的地位の変動には考えさせられるものがあります。江戸時代には大身旗本と小大名ではたいした身分的格差も無く通婚などの付き合いもあったのに、一万石あるかないかでこれほど差がつくとは…