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- » 2024 . 01
Category : 未分類
思想的な立場は置いても、産経は記事そのものも質が低い。
石鍋圭さんの「海自新型掃海艦『あわじ』 世界屈指の機雷除去能力をフルに発揮できる最新鋭FRP艦」は全くそれだ。至る所がヤッツケ仕事となっている。
■ 30年前には2倍の大きさのFRP掃海艇が出現している
まずは「巨大FRP船、スゲー」といった評点がヤッツケであり、しかもズレている。海自対機雷戦艦艇のFRP化は20-30年遅れである。その遅れにきづかないか、あるいは目をつぶってそう書くあたりが志も質も低い。
まず、大したものではないが「えのしま」型は3隻目が就役している。WIKIで同型艦の数を調べれば出ている。外国の退役艦とか、予備状態、不稼動状態の差し引きではない。単純な書き間違えは仕方がないが、ただ新聞記事としてどうか。
また「海自における最大のFRP製の掃海艦」というのも不思議なものだ。まず、FRP製の掃海艦は「あわじ」1隻しかないのである。掃海艇を含めても「えのしま」型の3隻が加わるだけ。合計4隻の中で120トン大きいだけである。あまりニュースになるような話でもない。
また「最大のFRP製」もそれほどの褒め言葉でもない。諸外国にはもっと大きなFRP製の掃海艇、例えば30年前に就役した米アベンジャークラスなら排水量ベースで2倍である。本当は世界最大と書きたかったのだが、それができないので「海自における最大」といった変な形容詞をつけたのだろう。
■ GPS連動も30年遅れ
また、同様に20-30年以上の遅れたGPS連動を褒めるのも、ヤッツケであり、斯界の事情から大きくズレている。
ちなみに、英仏は80年代には「衛星システムとも連動」した対機雷戦システムを導入しており「機雷や船舶の精密な位置情報の把握」を実現している。これも日本の乗り遅れた点をヨイショしている見当違いである。
そもそも、機雷戦の先端分野では西欧諸国は日本に先行している。例えば、今ではUSV(無人水上艇)とSSS(サイドスキャンソーナー)を組み合わせ、針路上を先行させた機雷捜索をしており、まず先端システムでは勝てない。そもそも海自も「別に対機雷戦で最先端は追わないで良い」「できたら買うか模倣すればよい」といった頭にある。それなのに「日本スゲー」に持って行こうとするのは、やはり知らないか、不誠実かのどちらかだ。
■ 遠距離展開能力は一言もふれない
なによりも「あわじ」や掃海艦の特質である遠距離行動能力に触れないのは不思議なものだ。
対機雷戦は国際貢献としては期待されている。正直言って日本に期待されており、日本も売り物にできるのは東半球での対機雷戦や洋上補給、海賊対処程度しかない。
その観点があれば「あわじ」の特性として「海外派遣に向く」と言うべきである。石鍋さんは防衛問題の担当している。その立場からすれば気づいて当然である。だが、この記事にはそれがない。*
もちろん、海自広報はなかなかそうは言えない。「海外派遣でも役に立ちますよ」程度は言えるが、最初からそれを目的としていますよとは言えない。だから今ではあまり意味のない「大深度掃海のためですよ」と言い添える。
しかし、新聞記事であればそれを指摘するべきである。これも海自広報がそう言わないから記事にできなかったというなら、やはり考えなしに作ったヤッツケ記事と言われても仕方はない。
まずは、産経が自称している安全保障重視もこの程度のものだ。広報の行ったことをオウム返しにして「自衛隊スゲー」というのが、防衛問題重視だというのだろう。
* ちなみに筆者は今月の『丸』(11月25日発売)で対機雷戦戦力に「本質は海外派遣」、「今後は、『えのしま』はやめて、全部海外派遣に向く『あわじ』にしろ」と書いた。多少は考えて書けば、主張はともかく焦点はそこになる。
石鍋圭さんの「海自新型掃海艦『あわじ』 世界屈指の機雷除去能力をフルに発揮できる最新鋭FRP艦」は全くそれだ。至る所がヤッツケ仕事となっている。
■ 30年前には2倍の大きさのFRP掃海艇が出現している
まずは「巨大FRP船、スゲー」といった評点がヤッツケであり、しかもズレている。海自対機雷戦艦艇のFRP化は20-30年遅れである。その遅れにきづかないか、あるいは目をつぶってそう書くあたりが志も質も低い。
すでに諸外国の海軍ではFRPの採用が進んでいるが、海自では中型掃海艇の「えのしま」型の2隻にとどまっていた。あわじは全長67メートル、基準排水量690トンを誇り、「えのしま」型から約120トン大型化。海自における最大のFRP製の掃海艦となった。
まず、大したものではないが「えのしま」型は3隻目が就役している。WIKIで同型艦の数を調べれば出ている。外国の退役艦とか、予備状態、不稼動状態の差し引きではない。単純な書き間違えは仕方がないが、ただ新聞記事としてどうか。
また「海自における最大のFRP製の掃海艦」というのも不思議なものだ。まず、FRP製の掃海艦は「あわじ」1隻しかないのである。掃海艇を含めても「えのしま」型の3隻が加わるだけ。合計4隻の中で120トン大きいだけである。あまりニュースになるような話でもない。
また「最大のFRP製」もそれほどの褒め言葉でもない。諸外国にはもっと大きなFRP製の掃海艇、例えば30年前に就役した米アベンジャークラスなら排水量ベースで2倍である。本当は世界最大と書きたかったのだが、それができないので「海自における最大」といった変な形容詞をつけたのだろう。
■ GPS連動も30年遅れ
また、同様に20-30年以上の遅れたGPS連動を褒めるのも、ヤッツケであり、斯界の事情から大きくズレている。
やえやま型も深度数百メートルレベルでの掃海作業が可能とされたが、あわじはさらにその上をいくという。また、衛星システムとも連動し、機雷や船舶の精密な位置情報の把握も可能だ。
ちなみに、英仏は80年代には「衛星システムとも連動」した対機雷戦システムを導入しており「機雷や船舶の精密な位置情報の把握」を実現している。これも日本の乗り遅れた点をヨイショしている見当違いである。
そもそも、機雷戦の先端分野では西欧諸国は日本に先行している。例えば、今ではUSV(無人水上艇)とSSS(サイドスキャンソーナー)を組み合わせ、針路上を先行させた機雷捜索をしており、まず先端システムでは勝てない。そもそも海自も「別に対機雷戦で最先端は追わないで良い」「できたら買うか模倣すればよい」といった頭にある。それなのに「日本スゲー」に持って行こうとするのは、やはり知らないか、不誠実かのどちらかだ。
■ 遠距離展開能力は一言もふれない
なによりも「あわじ」や掃海艦の特質である遠距離行動能力に触れないのは不思議なものだ。
対機雷戦は国際貢献としては期待されている。正直言って日本に期待されており、日本も売り物にできるのは東半球での対機雷戦や洋上補給、海賊対処程度しかない。
その観点があれば「あわじ」の特性として「海外派遣に向く」と言うべきである。石鍋さんは防衛問題の担当している。その立場からすれば気づいて当然である。だが、この記事にはそれがない。*
もちろん、海自広報はなかなかそうは言えない。「海外派遣でも役に立ちますよ」程度は言えるが、最初からそれを目的としていますよとは言えない。だから今ではあまり意味のない「大深度掃海のためですよ」と言い添える。
しかし、新聞記事であればそれを指摘するべきである。これも海自広報がそう言わないから記事にできなかったというなら、やはり考えなしに作ったヤッツケ記事と言われても仕方はない。
まずは、産経が自称している安全保障重視もこの程度のものだ。広報の行ったことをオウム返しにして「自衛隊スゲー」というのが、防衛問題重視だというのだろう。
* ちなみに筆者は今月の『丸』(11月25日発売)で対機雷戦戦力に「本質は海外派遣」、「今後は、『えのしま』はやめて、全部海外派遣に向く『あわじ』にしろ」と書いた。多少は考えて書けば、主張はともかく焦点はそこになる。
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16:44
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No title
21:12
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23:26
名無しの旅人
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No title
08:01
チャイカ
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しかし、彼等は、北朝鮮による拉致事件について、その被害者家族が放置され
ていた頃から、いち早く、かつ、執拗に追跡し、真相に迫った輝かしい事例が
有ります。ですから、記事の質が低いとのみ、切り捨てるのも、如何かと。
事例と言うか、立場が違えば、見方なり、何なりも違うでしょうから。
No title
21:38
だから認証がいるって言ってなかったっけ!
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機雷掃海艇はアメリカがLCSの対機雷戦パッケージ化して簡略化しようとしたが見事に失敗
機雷掃海戦は練度がものをいう世界、専用の掃海艇を保有して演習を繰り返さないと実戦では必ず取りこぼす
ロボットでスキャンしてはいお終いなんて言ってると最新の機雷にひどいめにあう
日本の掃海艇はまああれでも充分と思う
だがさすがに木造船掃海艇は時代遅れでFRP掃海艇になったけどねえ