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隅田金属日誌(墨田金属日誌)

隅田金属ぼるじひ社(コミケ:情報評論系/ミリタリ関係)の紹介用

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文谷数重

Author:文谷数重
 零細サークルの隅田金属です。メカミリっぽいけど、メカミリではない、でもまあミリタリー風味といったところでしょうか。
 ちなみに、コミケでは「情報評論系」です

連絡先:q_montagne@pop02.odn.ne.jp

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2016.01
05
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23:58
Category : 未分類
 桜井よしこさんは、インドは本気で原発を欲しがっていると思っているのだろうか?

 「日印、安倍外交で重要拠点を確立」で桜井さんは「インドの原爆はよい原爆」「インド人は核実験しない約束を守る」だから「日本はインドに原発を輸出しろ」と述べている。

 桜井さんは「インドの原爆はよい原爆である」と述べている。
突然、侵略してくる中国が核大国の特権を手にし、その脅威に晒されるインドは核を保有できない。インドが74年に核実験に踏み切ったのは、大国のエゴの理不尽さに負けないためだった
http://yoshiko-sakurai.jp/2015/12/24/6231


 そして「インドは核実験はしないと約束しているから信頼しろ」とも述べている。
ただインドは、核実験の自粛(モラトリアム)を08年9月に約束しており、米国をはじめフランス、ロシア、カナダ、韓国などはインドを信頼して原子力協定に合意済みだ。日本もインドの年来の核不拡散の行動を信頼し、早期に原子力協定を結ぶことが日印の力を強め、アジアの安定と繁栄に貢献すると私は考える。
http://yoshiko-sakurai.jp/2015/12/24/6231


 その結果、冒頭の結論に達する。なんでインドと原子力協定を結ぶことで「アジアの安定に資する」かどうかは説明していないが、とにかくインドに原発を輸出するとそうなると説明している。
安倍晋三首相のインド訪問は日印双方のみならず、アジアの安定に資する大きな果実をもたらした。[中略]日本の原子力技術をインドに提供する原子力協定で、原則合意に達したことも意義深い。
http://yoshiko-sakurai.jp/2015/12/24/6231


 だが、インドが約束を守ると真顔で述べるあたり、桜井さんは相当に素朴、あるいは厚顔ではないか?

 そもそも「インドが日本の原発を欲しがっている」と考えているあたりも、無邪気にしかみえない。自分たちが原発大好きだからといって、世界も原発が大好きであるといった確信があるのだろう。


■ インドとの約束はアテにならない

 インドとの約束は信用できるものではない。そのあたりを信用している段階で、桜井さんの見通しはお汁粉並みに甘い。

 まず、インドとの同盟も噴飯物だ。桜井さんほかの、神がかり保守層だけが信じているようにしか見えない。

 インドの外交は節操が無い。ゴーリズムといえば聞こえがいいが、実際にここ50年間だけでもインドは第三世界寄り・ソ連寄り・米国寄りと三回も掌を返して友好国を変えている。そしてその時期でも友好国の敵陣営にも擦り寄っている。

 日印で互いに利用する関係ならまだしも、同盟を結べる相手ではない。日本は同盟を結んだとはしゃいでも、反対側ではインドは中国と仲良くしている。そのうち裏切られたと感じるのがオチだ。

 また、核実験しないといった約束も怪しい。あの国の約束と履行は全く別問題である。既に述べたようにゴーリズムなので自分の利益しか考えない。信義則もないし、信頼関係を構築できると考えるとエライ目に遭う。

 自国の都合で核実験が必要となれば、適当なことを言い出すのがインドだ。もちろんいまでも核兵器を持っているので、いまさら核実験しようがしまいが別段構わない。だが、その時になればインドは適当なことをいうだろう。「未臨界実験が失敗して事故を起こしただけ」とでもいうのではないか

 そのインドを桜井さんは信用しきっている。「日本もインドの年来の核不拡散の行動を信頼し、早期に原子力協定を結ぶことが日印の力を強め、アジアの安定と繁栄に貢献する」(桜井)と言い出すあたりは相当に夢見心地である。

 その眼は節穴なのだろう。前にも『日本とインド いま結ばれる民主主義国家―中国『封じ込め』は可能か』といったどうしようもない本を出している。中国封じ込めなんて言い出し、それができると思っているあたりも証拠である。


■ インドは原発を求めていない

 そしてなにより興味深いのは原発愛だ。桜井さんが「インドが本気で原発を求めている」「インドも原発大好き」と信じきっている。自分が原発が大好きなあまり「世界も原発が大好だ」だと信じている構図がある。

 だが、インドは原発開発に熱意はない。電力不足もあり、前々から作る作ると言っているが、結局はできていない。このあたりでやる気の無さが窺える。

 むしろ彼らの興味は石炭の活用にある。インドは石炭大国であり、自国消費量の100年以上の資源を持っている。だが、国内経済体制の非効率から外国炭も輸入している状況にある。この点で、彼らは石炭採掘と発電を結びつけようとしている。

 これはいまのモディ政権でも同じである。モディは石炭採掘とそれによる電力問題解決を重視しており。だが、原発にはそれほどの熱意はない。「原発市場があるよ」と各国に見せつけているだけの話である。

 今回の日本との原子力協定も、原発を売り込もうとするアレ政権に合わせているだけの話だ。それでインドは日本に貸しをつくれる。実際に原発を作ろうという熱意はない。

 それだけの話を、アレ宰相のインド外交の勝利と持ち上げる。このあたり桜井さんは相当に無邪気なものだ。
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Comment

非公開コメント

No title

つか、インドの核動力技術ってトリウム炉を自力開発できるレベルなんだから、メルトダウン起こすような間抜けな国の軽水炉なんかいまさら買う理由どこにもないと思うが

No title

>桜井さんは「インドの原爆はよい原爆である」と述べている。

インドを日本に置き換えると70年代の民社党や右派系政商のコピーですね。
自分自身を鏡に見立てて書いたので本音がよく出ている。
核武装論者に影響された奴なんてこんなものでしょう。

No title

あと安倍は一番原発欲しがってる中国と仲違いしているのも笑えますね。

No title


Re: No title

> http://www.bbc.com/news/world-asia-india-35178225
> ロシアが12基作ります

ウエスチングハウスも6基受注となっているのですけど、ホントにできるかわからないのがインドビジネスという。
日本も瀬戸際の東芝が引っかかって大損こくかなあとおもいますです。

本日の海幕教養講話はよしこ先生でした。まあ、ひどいものでした…。

最初の30分:国際社会で日本が貶められているのは中国の陰謀!
次の30分:大東亜戦争はルーズベルトに責任がある!日本は嵌められた!日本政府はユダヤ人を救うためにあらゆる手を尽くした!外務省は杉原千畝を追放したわけではない!
最後の30分:竹田恒泰さんもおっしゃるとおり、日本の古来からの国のあり方は「天皇が神道を司る神の国です。日本凄いですね。
結論:今後の日本のあり方は、「中国という『思い通りにならない国』を封じ込めるため、周辺諸国や中国の少数民族に『古来からの日本の国のあり方』を説いていく」のが適当

話の内容も、慰安婦問題を語ってみたかと思えば何の脈略もなくTPP問題や南京に、支離滅裂な内容でした。

こんなのに訓演を使うくらいなら、職業訓練の大型免許やエネルギー管理士に付け替えたほうが…

Re: タイトルなし

呼んだ人が赤い本を丸暗記したりと兵書ばっか読んで偉くなったからしょうがないのです
というか会社と意見の合わないNGOの人とか呼んで話させれば
兵隊の視野は広がるし先方も意見は合わないまでも好意的になってくれると思うのですけどねえ

自衛隊に寄り添わないと生きていけない連中呼んでヨイショさせてもねえと

> 本日の海幕教養講話はよしこ先生でした。まあ、ひどいものでした…。
>
> 最初の30分:国際社会で日本が貶められているのは中国の陰謀!
> 次の30分:大東亜戦争はルーズベルトに責任がある!日本は嵌められた!日本政府はユダヤ人を救うためにあらゆる手を尽くした!外務省は杉原千畝を追放したわけではない!
> 最後の30分:竹田恒泰さんもおっしゃるとおり、日本の古来からの国のあり方は「天皇が神道を司る神の国です。日本凄いですね。
> 結論:今後の日本のあり方は、「中国という『思い通りにならない国』を封じ込めるため、周辺諸国や中国の少数民族に『古来からの日本の国のあり方』を説いていく」のが適当
>
> 話の内容も、慰安婦問題を語ってみたかと思えば何の脈略もなくTPP問題や南京に、支離滅裂な内容でした。
>
> こんなのに訓演を使うくらいなら、職業訓練の大型免許やエネルギー管理士に付け替えたほうが…