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隅田金属日誌(墨田金属日誌)

隅田金属ぼるじひ社(コミケ:情報評論系/ミリタリ関係)の紹介用

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文谷数重

Author:文谷数重
 零細サークルの隅田金属です。メカミリっぽいけど、メカミリではない、でもまあミリタリー風味といったところでしょうか。
 ちなみに、コミケでは「情報評論系」です

連絡先:q_montagne@pop02.odn.ne.jp

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2016.05
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Category : 未分類
 最初に滅びる新聞は産経なのだろう。野口裕之さんの記事を見るとそう判断できる。内容や判断や見通しの全てがヘンテコであるが、それが普通に自社記者による署名記事としてWEBに掲載され、しかも連載化されているためだ。


■ 衛星で海底ケーブルを傍受していると主張

 野口さんは衛星傍受で海底敷設の光ファイバーを傍受できると考えている。産経新聞「日本による豪州への潜水艦売り込みを阻止したのは仏が誇る通信傍受網だった!? 貧乏くじを引いたのは…」では
ニューカレドニアはフランスの海外領土で、インマルサット(国際移動通信衛星ネットワーク)やインテルサット(商業衛星通信システム)などを傍受する世界的通信監視網のアジア太平洋地域における拠点なのだ。安全保障上の傍受は言うに及ばず、国策である兵器取引の成約を狙う産業諜報も主要任務だといわれる。

 小欄は今次日仏潜水艦受注合戦で、フランスが「この手」で[豪潜水艦受注といった]番狂わせを実現[したと確信している]
http://www.sankei.com/politics/news/160509/plt1605090001-n1.html

と述べている。

 だが、いまどき移動局でもなければ衛星通信は使わない。

 日本の潜水艦売却は商業的なものである。さして国家としての秘匿性もない。そのような案件の連絡は普通の商用通信網で送られる。

 具体的には海底敷設の光ファイバーによる。幹線の配置からすれば日豪なら直結されたケーブルが使われる。もしかすれば米国やシンガポール経由もあるかもしれない。いずれにせよ衛星傍受施設ではスパイできるものではない。

 また、ニューカレドニアでの海底ケーブル中継部の傍受もありえない。なぜなら日豪海底ケーブルにニューカレドニア経由はない。そもそもニューカレドニア向けの海底ケーブルは盲腸線であり、豪本土から一本通ってきての行き止まりであるためだ。これでは傍受はできない。

 ある意味、野口さんの主張は盗聴妄想に近い。仮に日本側の条件が漏れていたとしても、それは傍受であるよりも豪関係者に尋ねた結果と見るべきだろう。それもスパイ的に金なんか払わなくとも、普通に新聞読んで二〇人にでも世間話もすれば知りたい部分は総合的に判断できるものだ。


■ 「ミゼットサブで沿岸の制海権とられると脅威」と主張

 もっとヘンテコな点は後半の主張である。フランスが中国に潜水艦技術を売ると日米の脅威のようなことを言っている。そして、その中身はミゼットサブで占められている。基本は沿岸専用のミゼットサブが海上作戦での一大変革となるように述べているのである。

 野口さんはなぜかフランスのSMX-26に執着している。いつものフランスの思いつきのコンセプトモデルなのだが、それを中国が買うと脅威になると述べている。

 発表された潜水艦SMX-26カイマンは水深12メートルの浅海で作戦行動でき、可潜時間30日。対水上艦用長魚雷2本/対潜用短魚雷8本を搭載する。カイマンであれば、潜水艦による浅海での作戦行動という、中国海軍が超えるべきハードルをクリアする。
http://www.sankei.com/politics/news/160509/plt1605090001-n4.html

[中国海軍が]第2列島線に向かうには、第1列島線越え、つまり黄海~東シナ海の制海権掌握が前提だ。ところが、一帯には大陸棚が横たわる。黄海は大半が水深40メートルで深くて150メートル、東シナ海もほとんど100メートルを超えない。
 これに対し、潜水艦の作戦行動は50メートル以下では困難。100メートルなら、艦の性能や搭乗員の技量で遂行できるが、東シナ海々底の激しい起伏は、要求性能・技量のハードルを上げる。
http://www.sankei.com/politics/news/160509/plt1605090001-n5.html


 だが、50m程度の海は黄海・東シナ海のうち辺縁部に限られる。そこはもともと中国沿岸戦力の影響下にある。そこでミゼットサブが加わったところで何の変化となるのだろうか。そもそも潜水艦で「制海権掌握」(野口)というのも、ヘンテコなものだ。


■ 読者と記者の水準は一致

 この程度の記事が乗り、しかも「【野口裕之の軍事情勢】」と連載となるあたりが産経の水準である。もちろん、読者と記者の能力は高くないレベルで釣り合ってはいるだろう。だが、実態としてはカルトの信者と教団幹部の信仰発言が一致している程度のものに過ぎない。

 90年代なかば位まではまだマシだったのだがね。ただ、冷戦が終わり日本国内での左右対立がなくなると、産経は存在価値を失い神がかり右派にシフトしていった。

 その結果がこの手記事の連発である。現状の判断にせよ、将来の見通しにせよ、注目すべき焦点にせよ全部が誤っている。

 まずは最初に滅びる新聞だろう。部数をみても駅売り主体で毎回財布から金を払わせる日刊ゲンダイよりも売れていない。新聞としての訴求力はその程度のものであるといったことだ。

 産経は全国紙であるように振舞っているが、実態は落伍しかかっている。その実態は地方紙にも近い。売れているのは大阪だけ、そのため産経ウエストといった独自WEB紙面を作り、中央に対する劣等感が強い読者の嗜好に合わせ、おおさか維新を持ち上げている。このあたりはその没落の近さを窺わせるものだ。
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Comment

非公開コメント

都会人による大阪人への悪口はちょっと……

>中央に対する劣等感が強い読者の嗜好に

Re: タイトルなし

産経の関西版がターゲットとする層や、大阪維新の会への支持層もそれっぽいのですよ
かつて東京を超える経済都市としての地位から陥落し、一地方都市となったことへのルサンチマンといいますかね

ある意味、世界の一等国、世界一の経済大国からズルズルとズリ落ちたことを認められない
日本スゲー論者と同じ感じです

]> 都会人による大阪人への悪口はちょっと……
>
> >中央に対する劣等感が強い読者の嗜好に

右翼的なたかじんの番組が受けたのも、大阪のルサンチマンをうまく利用したからなんでしょうね
コントロールする側は、みんな中央の支配階級の息のかかった連中なんでしょうが

大阪府出身のアスタリスクの前川さんが傷つきますよw

愛国心は無くても郷土愛は曲がりなりにもある私には埼玉県の文谷さんに大阪の東京ルサンチズムを指摘されるのは概ね正論だけあって刺さるなあ(笑)

まあ、そんな事は置いておいて、件の記事の中じゃあ「フランス海軍の原子力潜水艦が演習でアメリカ海軍空母機動艦隊の半数を撃破したという機密情報がフランス側の意図で流出した」なんて書かれていますけど、フランス側が大法螺吹いている可能性とか、アメリカ側は敢えて法螺話に載っている可能性とか、中国側も法螺話だと理解した上で対応しているとか、そういった事は考えていないんだろうなー
正恩の旦那が米韓軍事演習にビビる妄想してるくらいだし。
http://www.sankei.com/premium/news/160404/prm1604040004-n5.html

Re: 大阪府出身のアスタリスクの前川さんが傷つきますよw

みくは梨衣菜の引き立て役だからよいのです
失敗で傷ついたみくを慰めるためにクジラ料理でも作るのでしょう、魚じゃないから大丈夫だと信じて

そもそも、フランス潜水艦が米CBGの半分を喰ったというのもどんなもんですかね
記事は演習とありますけど、その部分でググるとシミュレーションとあるので
適当に立てたモデルの条件で無双しただけのような気がします

というか、野口さん記事で出てくるソースは大抵がネットでマニアが拾ってきたもので
資料でいうなら孫引き相当っぽいやつばっかですから

> 愛国心は無くても郷土愛は曲がりなりにもある私には埼玉県の文谷さんに大阪の東京ルサンチズムを指摘されるのは概ね正論だけあって刺さるなあ(笑)
>
> まあ、そんな事は置いておいて、件の記事の中じゃあ「フランス海軍の原子力潜水艦が演習でアメリカ海軍空母機動艦隊の半数を撃破したという機密情報がフランス側の意図で流出した」なんて書かれていますけど、フランス側が大法螺吹いている可能性とか、アメリカ側は敢えて法螺話に載っている可能性とか、中国側も法螺話だと理解した上で対応しているとか、そういった事は考えていないんだろうなー
> 正恩の旦那が米韓軍事演習にビビる妄想してるくらいだし。
> http://www.sankei.com/premium/news/160404/prm1604040004-n5.html