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隅田金属日誌(墨田金属日誌)

隅田金属ぼるじひ社(コミケ:情報評論系/ミリタリ関係)の紹介用

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文谷数重

Author:文谷数重
 零細サークルの隅田金属です。メカミリっぽいけど、メカミリではない、でもまあミリタリー風味といったところでしょうか。
 ちなみに、コミケでは「情報評論系」です

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2016.07
07
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Category : 未分類
 カンボジア映画「シアター・プノンペン」、べた褒めするくらいに最高です。最近岩波ホールで放映したものだとワイダの「ワレサ 連帯の男」以上、「イラン式料理本」なみの映画でした。




■ 引きこまれて退屈なし

 この映画「アジアの珍しい映画を見てみましょう」や「世界の新鋭監督」とは全然違う。脚本がエラくよく出来ていて、ドラマツルギーがガンガン湧いてくるもの。

 バイク駐輪場として使われているかつての映画館、深夜オーナーが自分が撮ったポルポト前の映画をみている。そこに原付をとりにきた主人公、遊び放題の女子大生がスクリーンに映る主人公が自分のオッカサンであることに気づく。

 その劇中映画自体はアレ。近代化以前のカンボジア、現地の王子さま(白馬に乗ってる)に嫁入りする村一番の器量良しの娘が、横恋慕する弟王子にさらわれる。そこに刀を持った仮面の農民が現れ村娘を救って王宮まで送り届けるが、その間に二人には恋心が生まれてというもの。スゲー素朴かつ雑。

 さらに、映画そのもの最初のあたりの演技もアレ。なんつーか日本のTVドラマっぽい棒立ちと長台詞で「外れかな」とおもわせるもの。

 だが、すぐに引き込まれる。

 劇中映画の筋立てや質は全然問題にならない。後のシーンで首都にポルポトが迫る状況で映画館に避難し、砲爆撃に怯える農民に向け、一晩中劇中映画が放映されるシーンではむしろリアルでしかない。

 また、演技でのアレさや長台詞はなし。 なんというか、劇中劇について主人公が「そんなセリフいわせなくとも演技でわかる」とも言い切っているあたり、最初の演技や劇中劇のアレはわざとじゃないの?といった感じにもなる。実際におっ母さんのPTSD、酒呑んでばっかの映画監督の身の崩しよう、警察大佐のトーチャンの封建的価値観とDVと「コイツ、もう少し可愛がってやれば記憶も戻るだろ」といった容疑者取り締まりのアレっぷりはなかなか。


■ なにより脚本、さらに劇中映画の脚本家もスゲー

 そして、映画そのものの脚本(あるいはスクリプトか)も、劇中劇の脚本家も完璧。これはスゴイもの。中身をバラすわけにはいかないので「観に行け」としか言えない。その素晴らしさから110分の映画で全然ウトリともならない。なによりも素晴らしいのは映画が完成したあとだね。

 ただ、難を一つ言えば愚連隊、カミナリ族のニーチャンが改心する部分は欲しかった。初盤ではグロック振り回すだけの粗暴な青年だった男が、最後は自分が何をするべきか、社会でどう振る舞うべきかの自覚まで至っている。アレ、監督か教授か坊主の振る舞いをみて突如改心するようなところがあったほうが良かったかなと。

 あとねえ、全然金かかってない。撮影場所は自宅、映画館、寺院、蓮畑、収容所、大学だけ。小道具も村祭りの衣裳小道具レベル。それで全然問題なし。


■ 評価してない映画評はクズ

 逆に、映画評で全然評価しないあたりはアレ。『BEGALE the movie/ビーグル・ザ・ムービー』の映画「カンボジア映画『シアター・プノンペン』レビュー」http://beagle-voyage.com/movie-the-last-reel-review-2015.html がそれ。

それでも全体としては稚拙、というか冗長な印象を受けた。特に脚本に多くの要素が積み込まれた結果それらを捌くことができず、退屈に感じる時間帯が点在することになってしまった。100分少しの映画だがテンポが悪くて実際よりも長く感じてしまう。


 ぜったいヤッツケで書いてる。カンボジアの歴史的背景だけ書いてそれっぽい話にしたようにみせているが、映画そのものへの具体的な評価や問題点の呈示がない。

 そもそもホントにみているのかね。「退屈に感じる時間帯が点在」(BEGALE the movie)とか、どこがとね。冗長な部分や略していい部分もあっただろうが、退屈となるものではない。あるいは、単純な娯楽作品以外はみんな「退屈に感じる時間帯が点在」ではないのかね。



 なんにせよ、岩波ホールでは今月末までしかやっていない。見られるうちに見に行くべきでしょう。
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