RSS
Admin
Archives

隅田金属日誌(墨田金属日誌)

隅田金属ぼるじひ社(コミケ:情報評論系/ミリタリ関係)の紹介用

プロフィール

文谷数重

Author:文谷数重
 零細サークルの隅田金属です。メカミリっぽいけど、メカミリではない、でもまあミリタリー風味といったところでしょうか。
 ちなみに、コミケでは「情報評論系」です

連絡先:q_montagne@pop02.odn.ne.jp

→ サークルMS「隅田金属」
→ 新刊・既刊等はこちら

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
Powered by fc2 blog  |  Designed by sebek
2016.09
22
CM:7
TB:0
05:24
Category : 未分類
 核兵器があれば何でもできるのですと本気で考えているのだろう。産経新聞「【野口裕之の軍事情勢】24時間テレビには悪いが愛だけでは地球は救えない! オバマ大統領と岡田克也前代表はそれが分かっているのか?」http://www.sankei.com/premium/news/160919/prm1609190025-n1.htmlはそれだ。


■ 核は「保有する」以外の使いみちはない

 核戦略は神話を論ずるようなものだ。現実には使いみちもない。

 しかし、野口裕之さんはそうではない。オバマ大統領の先制使用の放棄提案を現実社会に影響があるように述べている。北朝鮮の南下を抑止するのはそれだと述べている。
 韓国も、北朝鮮の巨大なる陸上兵力に備え、米国による核の先制使用を後ろ盾にする。
http://www.sankei.com/premium/news/160919/prm1609190025-n6.html

と述べている。

 本当にそう信じているならどうかしている。北朝鮮軍が通常戦力で韓国を征服できると考えているためだ。核兵器の先制使用として
《核の先制使用》とは戦端が開かれ、戦争の途中で核兵器を使用する戦略。敵は核兵器ではなく、通常兵器で攻撃してくるが、敵通常戦力が味方を圧倒し、敗北が濃厚になるや、やむを得ず先んじて核戦力を投入し、劣勢を挽回する-といった段階を踏む。
http://www.sankei.com/premium/news/160919/prm1609190025-n6.html

と述べているのは、そういうことだ。米韓軍が通常戦力で北朝鮮に劣勢となる判断の開陳にほかならない。


■ 安全保障の学術的論証とはなにかね

 さらに「核の先制不使用」と「北朝鮮がミサイルを乱射し続け、核実験も止めない」状況を関連付けるのも不思議な主張だ

 民進党の岡田代表を平和ボケと揶揄する部分がそれだ。

 民進党の岡田克也前代表。8月の記者会見では「核なき世界に向かって一歩前に進めようということなら、協力していくのが日本政府の採るべき態度ではないか」と、支持する考えを表明した。[中略]今年に入って、北朝鮮がミサイルを乱射し続け、核実験も止めない中での岡田発言は、危機感ゼロだが{中略}岡田氏は民主党政権の外相就任前より、米国に「核の先制不使用」を宣言するよう求め、宣言しても「核抑止力は弱まらない」と、安全保障上の学術的検証もせず、無責任にも言い切った。
http://www.sankei.com/premium/news/160919/prm1609190025-n1.html


 だが、野口さんの理屈なら「核の先制不使用」を宣言していない今でも、「北朝鮮がミサイルを乱射し続け、核実験も止めない」ことをどう説明するのだろう?

 そもそも、「安全保障上の学術的検証」(野口)とやらは何者か? 安全保障そのものは学問ではない。安全保障研究として学問分野にしても、やり方は社会科学ではなく人文科学である。美術と同じで精緻な検証はない。そもそも安全保障の核戦略となると現実例での比較もできないのにどうしようもない。

 まずは安全保障を高尚なものだと思い込み、その言葉に酔っているだけだ。
米国歴代大統領中、突出して安全保障が理解できないオバマ大統領の任期8年を締めくくる「思いつき」に、安全保障のメカニズムを学習しない日本の政治家は、立ち止まって思考することもなく飛び付くと確信していたら的中した
http://www.sankei.com/premium/news/160919/prm1609190025-n1.html

ここには「ボクは安全保障を知っているのです、オバマと岡田はそれを知らないバカなのです」といったスタンスが見とれる。その中身も知らず、相手を論破できるマジックワードか何かだと思っているのだろう。


■ タイムマシンがあればミッドウェイの悲劇を回避できるのです

 なによりも面白いのは、昭和20年に核兵器を持っていればMADモドキができるといった主張だ。

大東亜戦争末期、優勢だった米国が広島・長崎へトドメの核爆弾を落としたのは、ソ連の核開発をにらみ「悪魔の実験」が必要だった側面もあるが、唯一の核保有国で報復される確率が低かったためだ。「日本が核抑止力を備えていれば、悲劇を回避できた」などの見方も根強い。
http://www.sankei.com/premium/news/160919/prm1609190025-n6.html


 「『日本が核抑止力を備えていれば、悲劇を回避できた』などの見方も根強い。」(野口)とは誰が言っていたのかね。

 だいたい、輸送手段もない。その状況で野口さんはICBMやSLBMでようやく確固としたMADが成り立つと考えている。このあたり、日本が核を持っていたらといった「『思いつき』に、安全保障のメカニズムを学習しない」(野口)御仁が「立ち止まって思考することもなく飛び付」いたもののように見えたものだ。

 ま、この言い方でOKなら、歴史にこじつけて何でも書けるけどね。「江戸幕府が黒船を持っていれば開国は回避できたのです」とか「武田家が鉄砲3000丁を集中運用できれば長篠で負けなかったのです」でもよい。空想願望なら「タイムマシンがあればミッドウェイの悲劇を回避できるのです」でもよいだろうよ。
スポンサーサイト

Comment

非公開コメント

No title

>なによりも面白いのは、昭和20年に核兵器を持っていればMADモドキができるといった主張だ。

主様のこの御指摘ですが、旧軍は有力な化学戦能力と旧満州に、最高機密の所謂、石井部隊こと、第731部隊が存在し、高度の生物兵器戦能力を有していました。しかし、米側も化学兵器は元より、42年から、生物兵器の研究に乗りだし、5千個の炭疽菌爆弾を作ったそうです「炭疽 (Anthrax) 九州大学健康科学センター 山本和彦参照」http://www.design.kyushu-u.ac.jp/~hoken/Shiori/01Anthrax.html

事実、生物兵器の使用こそ、25年のジュネーヴ議定書(窒息性ガス、毒性ガス又はこれらに類するガス及び細菌学的手段の戦争における使用の禁止に関する議定書)で禁止されていたものの、両者間では、現代の核兵器と同じ関係があったのでは?

先大戦中、両者間で生物、化学兵器が使用される事はなかったですから。


No title

北の核とミサイルは、「商売」のためにやってるのもあるんじゃないのかな?

まるで仮想戦記か福井晴敏の小説じゃないですか

こんな記事より、大戦中の日本に紺碧の艦隊やイージス艦みらいや鉄人28号があったら、みたいな記事を書いたほうがユーモアがあると思うんですが

No title

もし大日本帝国が核兵器を実用化していたなら
世界初の実用という栄誉をアメリカごときに
渡すことはなかったであろう

No title

>安全保障そのものは学問ではない。安全保障研究として学問分野にしても、やり方は社会科学ではなく人文科学である。美術と同じで精緻な検証はない。

もう一つ加えると、一回性でしょうね。同じ社会行動を反復継続しているかというと、かなり違う。だから核戦略などは検証のしようがない。
最近、文系とくに人文が切られる傾向が大学にありますが、若い連中ほど文学とかやったほうがイイと思いますね。結局、潰しが利く考え方って最後はそれですから。

No title

>「『日本が核抑止力を備えていれば、悲劇を回避できた』などの見方も根強い。」(野口)とは誰が言っていたのかね。

ほんコレ。
安全保障の「学術検証」だの「メカニズム」だの高尚ぶったこと言っときながら、オチは捕らぬ狸の皮算用かよと。負け惜しみにもほどがあるから、そんなことふつうは誰も言わないんだろが。

No title

太平洋戦争中にイージス艦を登場させて、対空システムの変革をキャッチーに書くとか、ちゃんとした人がやれば面白そう。

富嶽でも無いと輸送出来ない時点でまさに仮想戦記。
てか米より早く持っていればその時点で五大湖あたりに落としてたんじゃないの。
ただでさえ工業力と兵力に差があるのに。
そして日本が1発作る間に米は10発くらい作って日本は焼け野原。