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Category : ミリタリー
香港誌で中国新型潜水艦とされる「清」型が紹介された。『鏡報』7月号に「中国水下戦略新思維」※と題した記事がある。中国が保有する弾道弾搭載潜水艦についての記事である。この記事中で、新型潜水艦として「清」型が登場を報じている。
記事では、次のように説明している。
・「清」(とされる)潜水艦は、外形上は「元」と類似している。
・ 船殻が非常に大きく、弾道弾搭載型を見られる。
-[平らになっている]セイル前部に、将兵17人が屯している
- 10人が一列に並んでいることから、4m以上はある
・ 解放軍専門家によると
「『清』は、弾道弾試験用だけではなく、戦略任務にも投入可能である」
・ 弾道弾搭載能力は、「夏」・「普」0.5隻分である。
記事は、「清」を弾道弾試験用潜水艦よりも、戦略通常潜として取り上げている。「清は巨浪Ⅱ型を8発搭載できる」と推測しており、「米国への核抑止力になる」ともしている。そして、「清」が黄海と東シナ海にで戦略パトロールしている地図をも示しているのである。
果たして「清」が本当に弾道弾を搭載するのか。実際に戦略任務に投入可能であるかはともかく。中国潜水艦による戦略パトロールを考慮すれば、実際には通常潜が向いている可能性もある。通常潜である「清」を戦略任務に投入することは、理に合わない話ではない。
中国潜水艦にとって、最も安全な「聖地」は黄海である。特に黄海湾奥、渤海は、事実上中国人の浴槽である。今の状況では、米国対潜部隊や潜水艦は侵入不能である。戦略弾道弾が充分な射程を持っていれば、安全上、戦略潜水艦は黄海湾奥に配置すべきである。
黄海ででのパロトールであれば、原潜は使いにくい。黄海は浅く、水深は60mもない。原潜であっても、大深度に潜ることはできない。安全性から高速力も出すこともできない。長時間潜れないことを除けば、通常潜水艦と大差もない。
黄海でのパトロールであれば「通常潜水艦でも充分」とする判断もなりたつ。通常潜で不利となるのは、航海日数と居住性である。しかし、港湾が近く、連絡も補給も容易である。状況次第では、海上で乗員を入れ替え、燃料搭載を実施してもよい。その間は確かに脆弱であるが、黄海湾奥や渤海で短時間に実施すれば、それほどの危険性は無い。
通常潜には有利な点もある。建造費用は原潜よりも遥かに安く、稼働率も高い。黄海湾奥ではあまり意味もないが、静粛性も高い。ただ、原潜よりも排熱が少ないため、海面に熱水塊を放出しない点は黄海でも有利である。
「清」については真偽明らかではない点も多い。本当に弾道弾を搭載できるのか、戦略任務に投入できるのか。また、巨浪Ⅱ型が実用になるのか、黄海からアメリカまで届くのか。これらの点については、事実かどうかも分からない。そもそも、秘中の秘であり、事実が発表されるのかも分からない。
しかし、黄海から米本土を狙えるとしたら、中国は戦略原潜は不要とする考えも成り立つのである。黄海湾奥、渤海は、かつてのソ連原潜にとっての聖域、オホーツク海やバレンツ海以上に安全性は高い。その上、護衛部隊やロジスティックも容易に確保できる。「清」であっても充分に戦略任務は果たすことができるのである。
※ 梁天仞「中国水下戦略新思維」『鏡報』(鏡報文化,2011.7)pp.6-9.
記事では、次のように説明している。
・「清」(とされる)潜水艦は、外形上は「元」と類似している。
・ 船殻が非常に大きく、弾道弾搭載型を見られる。
-[平らになっている]セイル前部に、将兵17人が屯している
- 10人が一列に並んでいることから、4m以上はある
・ 解放軍専門家によると
「『清』は、弾道弾試験用だけではなく、戦略任務にも投入可能である」
・ 弾道弾搭載能力は、「夏」・「普」0.5隻分である。
記事は、「清」を弾道弾試験用潜水艦よりも、戦略通常潜として取り上げている。「清は巨浪Ⅱ型を8発搭載できる」と推測しており、「米国への核抑止力になる」ともしている。そして、「清」が黄海と東シナ海にで戦略パトロールしている地図をも示しているのである。
果たして「清」が本当に弾道弾を搭載するのか。実際に戦略任務に投入可能であるかはともかく。中国潜水艦による戦略パトロールを考慮すれば、実際には通常潜が向いている可能性もある。通常潜である「清」を戦略任務に投入することは、理に合わない話ではない。
中国潜水艦にとって、最も安全な「聖地」は黄海である。特に黄海湾奥、渤海は、事実上中国人の浴槽である。今の状況では、米国対潜部隊や潜水艦は侵入不能である。戦略弾道弾が充分な射程を持っていれば、安全上、戦略潜水艦は黄海湾奥に配置すべきである。
黄海ででのパロトールであれば、原潜は使いにくい。黄海は浅く、水深は60mもない。原潜であっても、大深度に潜ることはできない。安全性から高速力も出すこともできない。長時間潜れないことを除けば、通常潜水艦と大差もない。
黄海でのパトロールであれば「通常潜水艦でも充分」とする判断もなりたつ。通常潜で不利となるのは、航海日数と居住性である。しかし、港湾が近く、連絡も補給も容易である。状況次第では、海上で乗員を入れ替え、燃料搭載を実施してもよい。その間は確かに脆弱であるが、黄海湾奥や渤海で短時間に実施すれば、それほどの危険性は無い。
通常潜には有利な点もある。建造費用は原潜よりも遥かに安く、稼働率も高い。黄海湾奥ではあまり意味もないが、静粛性も高い。ただ、原潜よりも排熱が少ないため、海面に熱水塊を放出しない点は黄海でも有利である。
「清」については真偽明らかではない点も多い。本当に弾道弾を搭載できるのか、戦略任務に投入できるのか。また、巨浪Ⅱ型が実用になるのか、黄海からアメリカまで届くのか。これらの点については、事実かどうかも分からない。そもそも、秘中の秘であり、事実が発表されるのかも分からない。
しかし、黄海から米本土を狙えるとしたら、中国は戦略原潜は不要とする考えも成り立つのである。黄海湾奥、渤海は、かつてのソ連原潜にとっての聖域、オホーツク海やバレンツ海以上に安全性は高い。その上、護衛部隊やロジスティックも容易に確保できる。「清」であっても充分に戦略任務は果たすことができるのである。
※ 梁天仞「中国水下戦略新思維」『鏡報』(鏡報文化,2011.7)pp.6-9.
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