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- » 2023 . 03
Category : 未分類
深海底レアアースは資源ではない。
読売新聞が海底レアアースについて報道している。「1キロ54万円のレアアース、南鳥島沖に大鉱床」がそれだ。南鳥島沖の海底にスカンジウム資源が存在する。埋蔵量は15万トンであり年間需要の9900倍、現在の単価はキログラム54万円といったものだ。
■ 採掘できれば価格暴落
もし、これが安定的に採掘できたらどうなるのだろうか?
どうにもならない。レアアース価格が暴落するだけで終わるためだ。
記事のスカンジウムは年間15トンしか需要がないため、価格は鋭敏に動く。1.5トン掘るだけで年間需要の1割が市場に流れ込む。市況次第だが価格は半分となっても不思議はない。年間需要量と同量、15トンも掘ると暴落する。
つまり商業的に成立しない。破格の技術進歩により激安の採掘プラントが完成し、事業全体のコスト込みで年間10億円で維持でたとしよう。それでも現在価格では精錬後の重量で2トン採取してトントンである。収益を挙げるにはそれ以上を採掘しなければならないが、掘れば掘るほど価格が低下するので意味はない。
■ 技術的に不可能
そもそも技術的に採掘する目処も立たない。
まず大水深対応が難しい。南鳥島付近は水深5000-6000mある。NaturalGas.orgによれば、石油・天然ガスの採掘リグは通常型で水深500m程度までである。特殊型でようやく3000mまでだ。http://naturalgas.org/naturalgas/extraction-offshore/ その倍以上の水深に対応することは難しい。
また、採掘側が動き回らなければならない問題もある。資源は海底に薄く堆積した状態にあり採取器を動かして回収しなければならない。この点、パイプを通すだけで枯れるまで地層から吸い上げられる石油や天然ガスとは違う。そして商業的な成功例はない。これは先行した海底資源フィーバー、マンガン団塊採取が全く成功しなかったことから理解できる。
そして、遠すぎるといった問題もある。付近には拠点がない。南鳥島は港湾はなく通常船の接岸は不可能である。補給の限界であり、航空基地を持つ海自も隊員数も絞っており、水不足となればさらに人減らしをする島でしかない。
■ 問題点の指摘がない
つまり海底レアアースの採掘はなりたたない。技術的に実現不可能であり、技術進歩でそれが可能となっても商業的に成立しない。
そのような無意味な資源が注目される理由は何か?
日本人にある資源飢餓感の反動である。戦争は鉱工業の資源確保に失敗して敗戦に至った。戦後もオイルショックで社会的混乱を経験している。そのため、資源の少ない日本は資源開発に手を尽くさなければならない。特に、広大なEEZにある未開発の海洋資源は日本の生命線である。そう考えているためだ。
これは海底メタンハイドレートが先行している。国産資源といった言葉に踊りその発見はニュースとなり資源開発には国費も投入される。
だがそこには問題点の検討がない。メタンハイドレートなら長期的なガス価格低落との比較検討が必要となる。いまでも米豪からの天然ガス輸出は急増しており、ガスそのものはダブつく見込みにある。だが、そのような問題は一顧だにされない。
レアアースもメタンハイドレートも資源量だけが語られる。「日本周辺にこれだけある」や「エネルギー大国になれる」といった夢物語だけが繰り返される。だが、そこに本来あるべき技術的な実現性や経済性といった問題点の指摘はない。これは不思議なことだ。
■ 月極契約しないと残りが読めない
とまあ書いてどっかに投稿しようと思ったけど、読売オンラインで読めるのは300字だけで、あと200字は新聞月極+150円払わなきゃ読めないとなっている。指摘内容がその有料部分で書いてあることだと掲載先に迷惑かけるから、自分のところにアップするに留めるよ。
流石に投稿用はレアアース詐欺とは書かないもんだね。
読売新聞が海底レアアースについて報道している。「1キロ54万円のレアアース、南鳥島沖に大鉱床」がそれだ。南鳥島沖の海底にスカンジウム資源が存在する。埋蔵量は15万トンであり年間需要の9900倍、現在の単価はキログラム54万円といったものだ。
■ 採掘できれば価格暴落
もし、これが安定的に採掘できたらどうなるのだろうか?
どうにもならない。レアアース価格が暴落するだけで終わるためだ。
記事のスカンジウムは年間15トンしか需要がないため、価格は鋭敏に動く。1.5トン掘るだけで年間需要の1割が市場に流れ込む。市況次第だが価格は半分となっても不思議はない。年間需要量と同量、15トンも掘ると暴落する。
つまり商業的に成立しない。破格の技術進歩により激安の採掘プラントが完成し、事業全体のコスト込みで年間10億円で維持でたとしよう。それでも現在価格では精錬後の重量で2トン採取してトントンである。収益を挙げるにはそれ以上を採掘しなければならないが、掘れば掘るほど価格が低下するので意味はない。
■ 技術的に不可能
そもそも技術的に採掘する目処も立たない。
まず大水深対応が難しい。南鳥島付近は水深5000-6000mある。NaturalGas.orgによれば、石油・天然ガスの採掘リグは通常型で水深500m程度までである。特殊型でようやく3000mまでだ。http://naturalgas.org/naturalgas/extraction-offshore/ その倍以上の水深に対応することは難しい。
また、採掘側が動き回らなければならない問題もある。資源は海底に薄く堆積した状態にあり採取器を動かして回収しなければならない。この点、パイプを通すだけで枯れるまで地層から吸い上げられる石油や天然ガスとは違う。そして商業的な成功例はない。これは先行した海底資源フィーバー、マンガン団塊採取が全く成功しなかったことから理解できる。
そして、遠すぎるといった問題もある。付近には拠点がない。南鳥島は港湾はなく通常船の接岸は不可能である。補給の限界であり、航空基地を持つ海自も隊員数も絞っており、水不足となればさらに人減らしをする島でしかない。
■ 問題点の指摘がない
つまり海底レアアースの採掘はなりたたない。技術的に実現不可能であり、技術進歩でそれが可能となっても商業的に成立しない。
そのような無意味な資源が注目される理由は何か?
日本人にある資源飢餓感の反動である。戦争は鉱工業の資源確保に失敗して敗戦に至った。戦後もオイルショックで社会的混乱を経験している。そのため、資源の少ない日本は資源開発に手を尽くさなければならない。特に、広大なEEZにある未開発の海洋資源は日本の生命線である。そう考えているためだ。
これは海底メタンハイドレートが先行している。国産資源といった言葉に踊りその発見はニュースとなり資源開発には国費も投入される。
だがそこには問題点の検討がない。メタンハイドレートなら長期的なガス価格低落との比較検討が必要となる。いまでも米豪からの天然ガス輸出は急増しており、ガスそのものはダブつく見込みにある。だが、そのような問題は一顧だにされない。
レアアースもメタンハイドレートも資源量だけが語られる。「日本周辺にこれだけある」や「エネルギー大国になれる」といった夢物語だけが繰り返される。だが、そこに本来あるべき技術的な実現性や経済性といった問題点の指摘はない。これは不思議なことだ。
■ 月極契約しないと残りが読めない
とまあ書いてどっかに投稿しようと思ったけど、読売オンラインで読めるのは300字だけで、あと200字は新聞月極+150円払わなきゃ読めないとなっている。指摘内容がその有料部分で書いてあることだと掲載先に迷惑かけるから、自分のところにアップするに留めるよ。
流石に投稿用はレアアース詐欺とは書かないもんだね。
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Comment
No title
22:22
チャイカ
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>そもそも技術的に採掘する目処も立たない。
主様のこの御指摘ですが、南米在住の船舶レーダー技術者で、移民査証の関係から、現地海軍の特務中尉の軍籍も有されていた、高名な地球の裏側氏は、数年前に巨大掲示板2ちゃんねる上で、以下の様な見解を延べられておられます。長文ですが、引用させて頂きます。
"319:地球の裏側 ◆/lYVcP7um2 :2012/06/28(木) 21:49:40.09 ID:w3E32sDY
別に新しい技術なんて全く必要なし。今回のレアアースの存在は、海底の地中じゃなく深海軟泥と呼ばれる泥に含まれる。深海軟泥の採取なんぞ、すでに100年以上前から、海洋調査船がやってる。 この資源採掘で考えなければいけないのは二つだけ。
まず量。海洋調査では様々な分析が出来るだけの量があれば良いが、商業的採掘では桁違いの量を採掘する必要が有る。もう一つは、遮蔽。例えばドレッジャーなどで海底からすくい上げることは商業的にも出来るが、水面まで上げる過程で少なくない量の泥が水中に拡散する。これをどう防ぐか。 この二つ。まぁ、どちらも金を掛ければ解決する問題。
今、最も現実的な方法としては、「吸い上げる」だと思う。必要なのは5000mの海底まである直径のパイプを降ろす装置と、気体を高圧にして貯留する装置。採掘点の水圧以上の気圧が作れるなら後は簡単。すでに油田の掘削では万単位のpsiを扱うポンプがあるから、それを応用すればいい。
気体を採掘パイプの下端近くに繋いで、大量の高圧気体を送れば、気体がパイプ内を上昇する事で上向きの水流がパイプ内で発生して、採掘パイプ下端の泥を一緒に吸い上げる。
これは沈没船捜索や潜函工法で泥や砂の下の地質を表面に出す、などという時に使われる方法。すでに実績がある。ただし5000m超える水深では圧縮で気体の体積が小さくなるから、量を稼ぐには工夫が必要と思われる。
ですから、技術的には不可能ではないのでは?
何だかんだ言われても、地球の裏側氏も船舶関連の職責を永らく勤められており、其れなりの見識なり、何なりを持ち合わせておられますが、如何でしょうか?
それに、何だかんだ言っても、資源に乏しいのが、日本です。しかし、目の前の宝の海の開発等を図るべきでは?
00:44
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低偏差値大学生のレポートだって今時はそんなことやらんでしょ
No title
04:15
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そういう一部の批判しても無意味なんだって何で気付かないんだ?
軍クラ的、1つ間違いがあれば全部間違い論法使う訳でもないでしょう。
頑張れば出来るんだろうが、インセンティブが無い。過去にも失敗しているし、価格を下げたくは無いから。
シェールガスも増産されたら立場が危うくなる。だけどこれはそれ以上にタイトで自分で自分の首を絞める技術。
研究以外では誰もやりたがらないから、可能か可能でないかって脇に置ける話だよなあ。
これが陸上で枯渇したら話は変わるだろうけど、その時には小惑星からでも採掘出来るようになってんじゃないの。
No title
07:56
チャイカ
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情報ソースとして、巨大掲示板2ちゃんねるは『玉石混合』では?
確かに匿名ですから、中には目を覆いたくなる書き込みがあるものの、傾聴に値する論説もありますから。
其れに、先に引用した、高名な地球の裏側氏は最近更新していないものの、ツイッターを2つ(裏側@Terroristbuster、裏側@bdfdc0cb611f45a)持っていますから、全くの書き放しと言う訳ではないですが。
残念乍ら、先に引用した高名な地球の裏側氏の2ちゃんねるの書き込みは、ツイッター開始前の物なのですが、始めに述べた通り、同氏は全くの素人ではないです。その事を知りたければ、ツイッターを見れば、判るでしょう。少なくとも、私を含んだ『此処の過半数の投稿者』よりも、海事工学などを弁えた『プロ』のご意見ですから、傾聴に値するのでは?
其れに先に述べた通り、日本には資源が乏しいのですが、目の前の海には、宝が眠っています。確かに価格等の問題は有りますが、地上の資源が枯渇した日に備えて、開発の手筈を整えるべきかと。実現性としては、小惑星を宇宙から、地球に引っ張ってくるよりも、敷居は低いでしょうから。
17:30
URL
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ご案内の件が商業化に適した方法か、という点についての見解如何。
技術的に可能であることと、商業化できることは違うのですよ。
No title
19:35
茶以下さんへ
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No title
21:12
チャイカ
URL
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先に引用した地球の裏側氏によると、深海のレアアースの採取の問題点などについて、以下の様に述べられています。
>まず量。海洋調査では様々な分析が出来るだけの量があれば良いが、商業的採掘では桁違いの量を採掘する必要が有る。もう一つは、遮蔽。例えばドレッジャーなどで海底からすくい上げることは商業的にも出来るが、水面まで上げる過程で少なくない量の泥が水中に拡散する。これをどう防ぐか。 この二つ。まぁ、どちらも金を掛ければ解決する問題。
>今、最も現実的な方法としては、「吸い上げる」だと思う。必要なのは5000mの海底まである直径のパイプを降ろす装置と、気体を高圧にして貯留する装置。採掘点の水圧以上の気圧が作れるなら後は簡単。すでに油田の掘削では万単位のpsiを扱うポンプがあるから、それを応用すればいい。
>気体を採掘パイプの下端近くに繋いで、大量の高圧気体を送れば、気体がパイプ内を上昇する事で上向きの水流がパイプ内で発生して、採掘パイプ下端の泥を一緒に吸い上げる。
>これは沈没船捜索や潜函工法で泥や砂の下の地質を表面に出す、などという時に使われる方法。すでに実績がある。ただし5000m超える水深では圧縮で気体の体積が小さくなるから、量を稼ぐには工夫が必要と思われる。
ですから、工夫は必要だとしても、ある程度の技術基盤が有りますから、商業化への敷居はそれ程高くはないでしょう。勿論、豊作貧乏の恐れは否定しませんが、地上の資源に限りがありますから、その時の対策として、開発の手筈を・・・。
2016.10.30 19:35 茶以下さんへ。
さて、私の名前を片仮名で表示するのが嫌なら、せめて、キリル文字のчайкаで表してください。我が名前の由来は、手元にある露のウグリッチ ウォッチ ファクトリー製の腕時計 чайкаから、来ていますから。
確かに私は所詮、市井の細民ですから、その頭はそれ程、良くはないかもしれない。
しかし、其れでも、必要な情報を得るのに、足で稼ぐことはできるし、過去、其れなりの成果を揚げています。
因みに手前味噌なのですが、ネットもなく、イスラムの強硬姿勢下にあった頃のイラン。当時、図書館で鳥居順著「イラン・イラク戦争」を読んだ事などで、無謀にも機密の壁の向こう側にある同国の防衛産業の実態に関心を抱きました。そして、同じく、図書館にあったジェトロのガイドブックを参考に、テヘランのイラン イスラム共和国国防省に直接、働き掛けました。そして、何年も待たされましたが、傘下のMODLEX(現、MINDEX)から、武器輸出カタログや技術情報、挙句の果てには、価格表の入手にすら、成功しています。これ等は国際的な兵器ショーに参加し始めた頃の同国の防衛産業が、旧Gun誌等で紹介される前後でしたが。
また、私は大学には行っていませんが、口先で平和と述べても、真の平和が来ない事。そして、自国生存の為には、防衛は根幹なのですが、それ以外にも、政治や外交、果ては文化等に至る総合的な対策。即ち、シンガポール共和国のトータルディフェンスの概念が必要な位、存じてもいますが。
03:50
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ついでを言えば値崩れが恐ろしければ鉱脈等の探査とか出来なくなるわねえ、んで資源を取り尽くしたら終わりじゃどうしようもねえんでねえの?
論理を尽くした考察にはとても見えんよ
No title
13:04
おひさま
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本質的には利潤の確保を目的とした企業活動だが、採算の目処が立たない。だから、何らかの公益目的を掲げて国が金を出せ、と論理を引っ張る。
レアアースは一部の製造業の企業活動には重要ですが、国民生活全体を考えたとき、例えばガソリンや灯油ほどの切迫した需要があるかといえば、必要性は相当に低い。
供給が途絶えれば困るものは山ほどありますが、十把一からげで全て公益に関係するので税金を投入しろと言ったら国庫は破綻しますよ。
安全保障政策全般に言えることですが、お国の一大事で思考停止してしまい、程度の問題や代替案を考えることを忘れてしまっているのでは。
Re: No title
19:11
文谷数重
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採算性はないけど経産の補助金で儲かる、そしてそれが終われば撤退という焼畑農業といったもんどえ
> この手の問題は考え方のパターンがあります。
> 本質的には利潤の確保を目的とした企業活動だが、採算の目処が立たない。だから、何らかの公益目的を掲げて国が金を出せ、と論理を引っ張る。
>
> レアアースは一部の製造業の企業活動には重要ですが、国民生活全体を考えたとき、例えばガソリンや灯油ほどの切迫した需要があるかといえば、必要性は相当に低い。
> 供給が途絶えれば困るものは山ほどありますが、十把一からげで全て公益に関係するので税金を投入しろと言ったら国庫は破綻しますよ。
> 安全保障政策全般に言えることですが、お国の一大事で思考停止してしまい、程度の問題や代替案を考えることを忘れてしまっているのでは。
No title
07:43
だいさく
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編集
>沈没船捜索や潜函工法
と書いてあるとおり、有視界の浅水域で、作業者が潜ってノズルを動かしてるんですけど・・・・
まぁ、ウルトラ技術で可能になるかもね。
10:29
URL
編集
http://ameblo.jp/toshio-tamogami/entry-11375845109.html