- 2023 . 01 «
- 1
- 2
- 3
- 4
- 5
- 6
- 7
- 8
- 9
- 10
- 11
- 12
- 13
- 14
- 15
- 16
- 17
- 18
- 19
- 20
- 21
- 22
- 23
- 24
- 25
- 26
- 27
- 28
- » 2023 . 03
Category : 未分類
奇襲は察知できない侵攻は発生するのだろうか?
フォークランド紛争の理解を誤った例がある。英国はアルゼンチンの侵攻を察知できず、奇襲を受けたために島を占拠されたというものだ。
その例はこのようなものだ。

この発言は「フォークランドは奇襲であり、英国が侵攻を察知できなかったため発生した」といった思い込みを反映したものにすぎない。
これはフォークランド紛争発生の背景を全く理解できていないことを示している。
フォークランド侵攻はアルゼンチンの行動を察知予測できないから発生したのではない。英国が対応できないためアルゼンチンは侵攻したのであり、英国も侵攻されても対応できないと拱手していたためにアルゼンチンの侵攻を許した話だ。
■ フォークランドに対応する気力はない
フォークランド紛争の背景は、英国に対応する気力も体力もなかっただけの話だ。
70年代末、大英帝国崩壊は最終段階にあった。60年にアジア・アフリカ各国が独立し、68年にスエズ以東から軍事力を撤退させた。そして70年代には英連邦体制から欧州共同体へのシフトを決意している。英国がEECへの加入を決めたのが73年である。
さらに、英国病によりとれる政策の制約は大きい。戦後英国は長期の経済停滞にあった。英国病と呼ばれたもので欧州のお荷物である。東方世代で、お理工系の教育だけに特化していたみなせさんはご存じないだろうが、当時英国は経済的な底である。
このため英海軍力も遠征能力を失っていた。正規空母の処分がその象徴である。経済停滞により維持する余裕がなくなり、植民地放棄により所要もなくなったとして海軍力は整理された。英海軍は戦略原潜と対潜戦、対機雷戦に特化した海軍となっていた。
この状況で、英国はフォークランド防衛の意欲も充分な能力もなかった。本土から1万2000kmも離れており、経済的には無意味な離島で地域大国アルゼンチンと戦う意味はなかったためだ。
■ 77年占拠には対応していない
実際に、英国はアルゼンチンによるフォークランド占拠に為す術もないと放置している。
77年の侵攻着手にも軍事的対応を行っていない。既述のとおり、気力がないといった問題から、英労働党政権はアルゼンチンによる一部占拠にも軍事対応を行っていない。サッチャー政権も、侵攻前には打つ手なしとして最終的には香港式の外交解決を考えていた。
このあたりは紛争の背景として周知のものだ。
例えば、公刊されている防研の『フォークランド戦争史』(2014.3)pp.2-4.に詳しい。みなせさんは
と発言されている。、普通に日本語で公開されている。他にも有斐閣『国際政治』でも85年ころに似たような特集がある。
それを読んだことがないのは残念なものだ。みなせさんも、ドミトリー・ドンスコイさんも戦闘史や武器の話ばかりしか読まないのでは、視野狭窄となりいずれは恥をかくことになるだろう。
■ 隠蔽・奇襲で成功したのか?
つまりは、フォークランド紛争を全く御理解されていないということだ。
フォークランド侵攻が成立した条件を、隠蔽による奇襲成功と考えていることが誤りなのである。「『フォークランドは相手が小部隊だから隠蔽できた』」(みなせ)と述べているが、占拠は隠蔽の結果ではないし、そもそも小部隊だから成立したわけではない。オペレーション・ロザリオは艦隊規模を投入した上陸戦であり、後詰を含めれば旅団規模が準備されていた。
その点をもって日本本土防衛を語るのは乱暴なものだ。そもそもが新宗教的な国難思想からか日本上陸を恐れているのだろう。このあたりは、その排外的な政治的スタンスから窺えるものだ。
そこで、中国は日本に攻めてくるとフォークランドの例を持ち出した。だが、それを日本侵攻に当てはめるのは無理だ。強いて言えばオーストラリアによる昭和基地侵攻でしかないものだ。
■ 所詮は理系カルト
結局は、中途半端な知識を振り回して恥をかく例だ。ご両名は米軍教範の翻訳や3DCGといった、そこに存在する軍隊やその装備について表面的に模倣することに熱心なご様子である。
だが、その背景にある政治経済な条件、広くいえば社会科学にも注意を向ける必要があるだろう。ミクロに理系カルト的に兵器のネジの数を数えることよりも、社会全体を見る必要があるようにみえるものだ。
フォークランド紛争の理解を誤った例がある。英国はアルゼンチンの侵攻を察知できず、奇襲を受けたために島を占拠されたというものだ。
その例はこのようなものだ。
みなせ_C90お疲れ様でした@Ton_beri
アタイみたいな素人が同じ事書くと「偵察衛星で事前行動を察知できて、P-3Cで叩いて殺せるから大部隊上陸なんてありえない」ってレスが一杯来るんだお。
@borozino 今の中国に日本に上陸する能力がないとする理由ってなんなんですかね?(暗黒微笑
https://twitter.com/Ton_beri/status/797124966613327873
ドミトリー・ドンスコイ@borozino
っ「フォークランド紛争」救いはモンタニが既に退役してる事w
https://twitter.com/borozino/status/797126343766908928

みなせ_C90お疲れ様でした @Ton_beri 13 時間13 時間前
@borozino それで通じてくれれば、仕事が楽ですw
「フォークランドは相手が小部隊だから隠蔽できた」って感じで色々な言い訳があり、湾岸も、第4次中東戦争も、ぜーんぶ当てはまらないそうです。
https://twitter.com/Ton_beri/status/797128967836745728
この発言は「フォークランドは奇襲であり、英国が侵攻を察知できなかったため発生した」といった思い込みを反映したものにすぎない。
これはフォークランド紛争発生の背景を全く理解できていないことを示している。
フォークランド侵攻はアルゼンチンの行動を察知予測できないから発生したのではない。英国が対応できないためアルゼンチンは侵攻したのであり、英国も侵攻されても対応できないと拱手していたためにアルゼンチンの侵攻を許した話だ。
■ フォークランドに対応する気力はない
フォークランド紛争の背景は、英国に対応する気力も体力もなかっただけの話だ。
70年代末、大英帝国崩壊は最終段階にあった。60年にアジア・アフリカ各国が独立し、68年にスエズ以東から軍事力を撤退させた。そして70年代には英連邦体制から欧州共同体へのシフトを決意している。英国がEECへの加入を決めたのが73年である。
さらに、英国病によりとれる政策の制約は大きい。戦後英国は長期の経済停滞にあった。英国病と呼ばれたもので欧州のお荷物である。東方世代で、お理工系の教育だけに特化していたみなせさんはご存じないだろうが、当時英国は経済的な底である。
このため英海軍力も遠征能力を失っていた。正規空母の処分がその象徴である。経済停滞により維持する余裕がなくなり、植民地放棄により所要もなくなったとして海軍力は整理された。英海軍は戦略原潜と対潜戦、対機雷戦に特化した海軍となっていた。
この状況で、英国はフォークランド防衛の意欲も充分な能力もなかった。本土から1万2000kmも離れており、経済的には無意味な離島で地域大国アルゼンチンと戦う意味はなかったためだ。
■ 77年占拠には対応していない
実際に、英国はアルゼンチンによるフォークランド占拠に為す術もないと放置している。
77年の侵攻着手にも軍事的対応を行っていない。既述のとおり、気力がないといった問題から、英労働党政権はアルゼンチンによる一部占拠にも軍事対応を行っていない。サッチャー政権も、侵攻前には打つ手なしとして最終的には香港式の外交解決を考えていた。
このあたりは紛争の背景として周知のものだ。
例えば、公刊されている防研の『フォークランド戦争史』(2014.3)pp.2-4.に詳しい。みなせさんは
米軍あたりが、論文を公開してくれてたりすると仕事がはかどりますが、アクセスする手間を考えると、すごく大変なのです。
https://twitter.com/Ton_beri/status/797131548105392128
と発言されている。、普通に日本語で公開されている。他にも有斐閣『国際政治』でも85年ころに似たような特集がある。
それを読んだことがないのは残念なものだ。みなせさんも、ドミトリー・ドンスコイさんも戦闘史や武器の話ばかりしか読まないのでは、視野狭窄となりいずれは恥をかくことになるだろう。
■ 隠蔽・奇襲で成功したのか?
つまりは、フォークランド紛争を全く御理解されていないということだ。
フォークランド侵攻が成立した条件を、隠蔽による奇襲成功と考えていることが誤りなのである。「『フォークランドは相手が小部隊だから隠蔽できた』」(みなせ)と述べているが、占拠は隠蔽の結果ではないし、そもそも小部隊だから成立したわけではない。オペレーション・ロザリオは艦隊規模を投入した上陸戦であり、後詰を含めれば旅団規模が準備されていた。
その点をもって日本本土防衛を語るのは乱暴なものだ。そもそもが新宗教的な国難思想からか日本上陸を恐れているのだろう。このあたりは、その排外的な政治的スタンスから窺えるものだ。
ドミトリー・ドンスコイ@borozino
そういえば某脳みそクルクルパーなパンダ野郎が「日本ではとっくのとうにチマチョゴリ云々」とか言ってましたね
韓国で韓国人がチマチョゴリ着ないのも日本人によるヘイトスピーチへの対策ですかそうですか
https://twitter.com/borozino/status/797131867166150656
そこで、中国は日本に攻めてくるとフォークランドの例を持ち出した。だが、それを日本侵攻に当てはめるのは無理だ。強いて言えばオーストラリアによる昭和基地侵攻でしかないものだ。
■ 所詮は理系カルト
結局は、中途半端な知識を振り回して恥をかく例だ。ご両名は米軍教範の翻訳や3DCGといった、そこに存在する軍隊やその装備について表面的に模倣することに熱心なご様子である。
だが、その背景にある政治経済な条件、広くいえば社会科学にも注意を向ける必要があるだろう。ミクロに理系カルト的に兵器のネジの数を数えることよりも、社会全体を見る必要があるようにみえるものだ。
スポンサーサイト
Trackback
Comment
No title
16:53
URL
編集
もっと大事なのはそういう軍事力のバランスなのに武力行動を発動したっていう視点にたたないとダメな気がするんですけど。パールハーバーで戦艦沈めたり、あるいはガダルカナル島を奪回すれば、いわゆるゲームの戦術シナリオには勝てるかもしれないですが、それで日本の戦争目的が達成できるのかどうかっていう。
SIS&KGB
21:22
URL
編集
若い人は
21:28
URL
編集
No title
22:16
URL
編集
だいたいフォークランド云々も的外れだけど、第四次中東戦争も300m程度の運河を挟んでほぼ国境が接してる状態での事例だろ
九州まででも800km以上は海を渡らないとならない日中の例になると本気で思ってるのかな
Re: No title
22:36
文谷数重
URL
編集
第三次と第四次中東戦争の間に和平がなく、交戦が断続的に続いている状況で開戦初頭奇襲とかいわれてもねえと
自分が持ち出している道具を理解できないんでしょう
まあ、やってることも模倣だけだから
> 未だに中国軍が日本上陸とかやってる人がいるのか…
> だいたいフォークランド云々も的外れだけど、第四次中東戦争も300m程度の運河を挟んでほぼ国境が接してる状態での事例だろ
> 九州まででも800km以上は海を渡らないとならない日中の例になると本気で思ってるのかな
尖閣侵攻ね
23:13
URL
編集
No title
07:39
大島
URL
編集
>ダガーやミラージュは、フォークランド諸島上空で積極的な空中戦闘を行うには航続距離が十分でなく、増槽を装着してもフォークランド諸島上空に留まれるのはわずか十数分程度だった。その結果、アルゼンチン側からの航空攻撃は少数機による五月雨式の攻撃となり、イギリス側が恐れたような多数機による同時攻撃は行われなかった。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A9%E3%83%BC%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%89%E7%B4%9B%E4%BA%89#.E8.88.AA.E7.A9.BA.E6.88.A6
No title
16:14
segawa
URL
編集
お理工系の視点だけで森羅万象を語ろうとしたがる手合い、インターネッツには大変多いですね。
Re: No title
16:54
文谷数重
URL
編集
アルゼンチンの泊地攻撃は微妙なバランスの上でイギリスが辛勝したもので、イギリスも大概なことになってますから。さらに対艦攻撃がだいたい10数分というのはどこの国も同じという。イギリス視点でイギリス勝利の理由を述べたもので、イギリスにも大きくあった問題点に触れていない感じがするなと。
> wikiの記述見たら、ガダルカナルのゼロ戦と同じというね。結果もやっぱりアルゼンチンがフォークランド守れず終了だし。
>
> >ダガーやミラージュは、フォークランド諸島上空で積極的な空中戦闘を行うには航続距離が十分でなく、増槽を装着してもフォークランド諸島上空に留まれるのはわずか十数分程度だった。その結果、アルゼンチン側からの航空攻撃は少数機による五月雨式の攻撃となり、イギリス側が恐れたような多数機による同時攻撃は行われなかった。
>
> https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A9%E3%83%BC%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%89%E7%B4%9B%E4%BA%89#.E8.88.AA.E7.A9.BA.E6.88.A6
Re: No title
17:03
文谷数重
URL
編集
というか、これらはコングロマリットでお理工系さんの好みが現れたものかと
と学会なんか第二回の集会に顔出したのですけど、そのときにもやや違和感ありで
1-2年位で軽蔑しましたねえ。なんか神学っぽいなと。神様=自然科学絶対主義があることを前提にしか話せない感じが
それが社会科学や人文科学分野に手を出すとどうなるかは、と学会員かつ原子力ヨイショの阪大教授あたりを見れば歴然かと
理系カルトそのものだなと思いますね。まあ、お理工系かつ理系カルトは文系にもいますし、理系でもそうでない人もいますけど
> 本筋とは関係ないけど、「お理工系」という表現は汎用性高そうなので積極的に使っていきたい。
> お理工系の視点だけで森羅万象を語ろうとしたがる手合い、インターネッツには大変多いですね。
No title
18:10
岩見浩造
URL
編集
「両軍の視点」を成立させることは地道に古い軍事情報にアクセスする(要はネットにない文献も探せる)人なら、それ程難しくは無い気もします。
昔Wikiに関わってた者としての実感で言うと、一番乗りする人の記事品質は余り安定しないですね。
ダメな人、初心者は自分の意見を書き加えたがります。
次に出てくるのが「Wikiの日本語版はダメだ」と意識の高いこと語るタイプですが、
こういう手合いも7割方はソース無しで加筆して突っ込まれると「面倒臭い」というのはまだマシな方で
バックれて逆に被害者面するのもいます。
その次に出てくるのが英語版至上主義者です。このタイプもかなりの割合が何も考えてないからダメです。
ヒラリー大統領の夢一択で語ってた自称知米派と同じです。
まぁ日本語版に何もないからとドライに割り切って初版立ち上げで訳文コピーに徹する「自動翻訳機」的な編集者ならまだ理解も出来ますが。
まぁ異なる視点のソースに書かれてる概要を紹介できない、「敵のために書く」がやれない人は信用しない方が良いですね。
軍オタとネトウヨを併発すると特定思想系の書籍に依存して書きまくってるのも良く見かけます。勿論これも良い記事にはならんです。
No title
03:26
URL
編集
http://matome.naver.jp/odai/2147904192348170901
No title
10:09
URL
編集
「歴史上元寇があったくらいだから現代中国軍の軍事力をもってすれば…」とかなんとか(笑)。
情報の断片としてなら、
13:54
某人間魚雷
URL
編集
結句、フォークランドかマルビナスかという話は表層的に言ってしまえばどっちに転ぶのもイギリス側の事情次第だったというだけのお話しに過ぎないことになる。
23:07
URL
編集
No title
13:42
URL
編集
しょせん「お理工」ってことですか
16:53
URL
編集
理工系に対する嫉妬からだったしいね
19:31
URL
編集
Re: タイトルなし
20:39
文谷数重
URL
編集
自分は社会の仕組みがわからない理系カルトにどっぷり使ってるのでしょう
本人は理工系に憧れてるけど、マトモな理系は味方だと思ってくれないタイプじゃないかと
> マスメディアの人間が理系に嫉妬する意味がわかりませんね。
No title
20:37
URL
編集