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隅田金属日誌(墨田金属日誌)

隅田金属ぼるじひ社(コミケ:情報評論系/ミリタリ関係)の紹介用

プロフィール

文谷数重

Author:文谷数重
 零細サークルの隅田金属です。メカミリっぽいけど、メカミリではない、でもまあミリタリー風味といったところでしょうか。
 ちなみに、コミケでは「情報評論系」です

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2011.09
03
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23:46
Category : ミリタリー
 魚雷発射管から発射する対艦ミサイル(USM)って、使いにくいものではないかね。

 ハプーンUSMやエグゾゼUSMは、通常魚雷発射管から発射できる。直径30センチ程度である対艦ミサイルをカプセルに封入し、そのカプセルを53センチ発射管から撃ち出す仕組みとなっている。
 USMは、潜水艦による水上艦船襲撃を変化させるものと考えられていた。ハプーンUSMやエグゾゼUSMは80年代に登場する。当時、USM登場により、魚雷は時代遅れになったというような極端な話もあった。
 しかし、その後、USMはあまり注目を受けなくなった。実際に、90年代以降、USMはあまり強調されていない。潜水艦による水上艦船襲撃が話題となっても、魚雷が主用される前提である。このあたりで熱は醒めたのだろう。

 USMは使いにくいのだろう。USMは大遠距離でも攻撃できるメリットがある。しかし、デメリットもある。大射程であるが、潜水艦が持つ捜索能力ではカバーできない。遠距離であるので、目標を視認できない。同じ理由により戦果も確認できない。発射位置が丸分かりになる可能性がある。水上艦船側にリアクション・タイムを与える。威力も小さい…。USMが持つメリットは、大遠距離で攻撃できる1点に過ぎない。大して、デメリットは多すぎるのである。

 まず、USMが持つ大射程は、潜水艦が持つ捜索能力では扱い難い。USMは、ジェットエンジンを持つハプーンでは100kmを超えると言われる。エグゾゼでも50kmである。潜水艦は、この距離で目標艦船をソーナー探知することは、まずできない。ソーナーにより潜水艦が水上艦を探知できる距離は、あまり明示されていない。Submarineで示唆されている限りでは、直接波やボトム・バウンズ(BB)で約10km、コンバージェンス・ゾーン(CZ)で60km程度※※である。BBやCZは海底状況や水深を選び、さらに発生条件も限定される。潜水艦がソーナー探知できる距離は、約10km程度であり、USMが持つ射程を大幅に下回るのである。USMは大射程を持つとはいえ、潜水艦ではその大射程を活かすことは容易ではない。

 大射程であるので、目標視認・戦果確認できない点もUSMは不利である。USMによる大射程攻撃では、目標が何であるのか分からない、あるいは直接確認できない。仮に目標が敵であることは間違いなかったとしても、潜水艦からでは、何を攻撃したのかがわからない。そして戦果も確認できないのである。この状況では、潜水艦側は攻撃はしたがらない。

 USMでは、発射位置も丸分かりである。USMは海面から発射後、一回大きく上昇してから巡航飛翔に遷る。ミサイルが上昇時期で探知された場合、そして、USMであると判断された場合には、潜水艦は位置が局限されてしまう。魚雷では、概略方位程度しか把握されないが、USMでは点で把握されてしまうのである。この点は、USM攻撃は逆にリスクを負うのである。

 大遠距離での攻撃では、水上艦船側にリアクション・タイムを与える可能性も高い。防御側が防空システムを持つ場合、AEWや対空レーダー、ESMを持っていれば、USMは早期発見される可能性は高い。特に、大遠距離から飛翔する場合には、防御側に対艦ミサイル防御を行う時間を与えてしまう。USMは同時発射しても6発が上限である。目標が防空システムを持つ艦隊であれば、6発では無効化されてしまう可能性が高い。また、対艦ミサイルは目視による見張りでも、確認されやすい。その場合、船首尾をミサイルに立てて、投影面積を最低限にする程度は可能である。

 そして、USMは炸薬は威力に欠ける。USMは炸薬量150~200kg程度である。命中時には船体表面や、運が良ければ船体内で爆発する。それなりの威力であるが、対水上艦用魚雷に較べれば、威力は相当、小さい。対水上艦用魚雷は、威力が大きな水雷用炸薬を300kg程度装填している。魚雷が中央部艦底で水中爆発した場合には、小型水上艦であれば船体が2つに折れる威力がある。USMは魚雷に較べ、威力は相当小さいのである。

 水上艦船襲撃を考慮した場合、USMと魚雷では、魚雷が選ばれるのである。ソーナ探知できる10km程度であれば、魚雷でも充分に到達する。魚雷であれば、被攻撃側は直前でなければ攻撃探知はできない。威力は段違いである。やはり魚雷が選ばれるのである。USMが魚雷に優位に立てる状況は、CZや味方情報による大遠距離攻撃に限られる。だが、CZは条件が限定される。また潜水艦では、味方情報は容易に得られない。USMはあまり使い道がないのである。

 USMは使いにくいのである。だから、USMはなおざりにされている。実際にも、USMは新しく開発されてもいない。USMは専用対艦ミサイルは開発されていない。USMは、中身である対艦ミサイルを入れ替える程度に過ぎない。常に新型が開発されている魚雷との差は対照的である。USMは、80年代に「作ってみました」程度であったのだろう。

※ Hervey,John,Submarines(London,Brasseys,1994)。pp.106-108に図がある。

※※ Submarinesによれば、CZによる探知幅は55kmから65kmに限定される。CZでは55~65kmの外側も内側も探知できない。また、艦船以外に潜水艦も探知されるが、両者は区別できない。なお、CZによる探知距離は、海域によって異なる。
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Comment

非公開コメント

No title

確かにそうですね
潜水艦の主要装備は今もこれからも雷撃です
ただ爆薬の性能がシャレにならないほど上がってるので対艦ミサイルの弾頭の破壊力そのものは上昇してます
それに一昔前の当たれば儲けものでもないので
正確にエンジンを撃ち抜ける最新鋭の対艦ミサイルなら一撃でフリゲートを撃沈できるかと