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隅田金属日誌(墨田金属日誌)

隅田金属ぼるじひ社(コミケ:情報評論系/ミリタリ関係)の紹介用

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文谷数重

Author:文谷数重
 零細サークルの隅田金属です。メカミリっぽいけど、メカミリではない、でもまあミリタリー風味といったところでしょうか。
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2011.09
10
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13:00
Category : ミリタリー
 海自が要望している新輸送機は、余ったP-3Cを改修すればいいんじゃないのかね。

 読売新聞によれば、海自が中古C-130を買うと言い出した。YS-11輸送タイプ後継としてC-130中古品を6機買うとの由である。

 この記事、観測気球ではないのかね。この時期、省庁は要求したい新事業をマスコミに伝える。その反応を見て新事業が持つ可能性を判断する。押せそうか。押せないにしても、下方修正するか、今年は無理と他日を期すか、今後も無理と諦めるか。昔、海自は空中巡洋艦構想を発表した。厚木に10機、那覇に10機と具体的な数字まで出していたが、もちろん後には何も続かなかった。

 観測気球であれば、最大に欲張った要求をする。それが、大型機C-130としたところだ。(機数6機は、今まで調達したYS-11と同じ) さすがにC-17は要求していない。海自航空輸送部隊(61空)で、世界中どこでも行ける飛行機では、贅沢だと総スカンを食らって更新そのものが危なくなると踏んだのだろう。アデン湾へ、ジプチまで展開している以上、要求する理由は立つ。海自も、本来ならばC-17なり、767なりをフッカケたい。しかし、過剰要求への反発や、海自が好まない国産機、しかもいつできるかわからないC-2あたりを押し付けられる方向に持って行かれるのを恐い。

 YS-11よりも大きく、航続距離が長い飛行機が必要であることは理解できる。しかし、本当にC-130を買う必要はあるのかね。確かに、現有YS-11と同等では困る。YS-11は、実用上では硫黄島で航続距離がギリギリ。南鳥島までは、理論上はいけるが、運用上は到達できない。荷物もあまり積めない。YS-11は、機体側面にある比較的小さな貨物搬入口に入るものしか搭載できない。そもそもコミューターであるので、荷物を積むことには向いていない。

 しかし、わざわざC-130を買わなくとも、海自にはYS-11よりも大きく、航続距離も長い航空機が余っている。余剰P-3Cを、輸送型にすればよい。もともとP-3Cは旅客機である。C-130と違い与圧もあり、人員輸送にも向いている。胴体直径も出力もYS-11よりも大きく、航続距離も比較にならないほど長い。荷物を搭載しての南鳥島無給油往復も容易である。フェリー状態であれば、4830nm※※と厚木-サンディエゴ間を直行できる。中途、エンジンを1台停止し、3/4にすれば、充分に到達できる距離である。保安上問題があり、許可されないだろうが、2台停止し2/4とすれば§ジプチまでいけるだろう。

 大重量で嵩高な物資は、従来通り空自に依頼すれば良い。大重量で嵩高な物資とは、故障に対応するための航空機予備エンジンやヘリコプター用ローターブレード、格納箱に収められたミサイルや短魚雷、機雷である。調整に時間を要するといった問題を重視する向きがあるかもしれない。しかし、それは本来運用で解決する問題である。「海空自での航空輸送は統幕で統制する」とすれば解決する問題である。

 YS-11後継機は、P-3C輸送型で充分である。P-3Cを輸送型としても、ランプがない§§、不整地離着陸能力に欠ける点は不利であるが、海自が行う飛行場間輸送であれば大きな問題ではない。逆に、水上レーダだけでも残しておけば、簡易な哨戒機としても使える。パイロンやラックを残しておけば、対艦攻撃や機雷敷設にも使える。サイドワインダーでもつけておけば、役に立つかはわからないが、輸送中での空対空自衛戦闘もできるだろう。

 経費節減だけを考えれば、P-3C輸送型が一番安価である。しかし、防衛省も海幕も役所である。官僚が持つ性向として、安いもので良いとは言わない。常に能力が高いもの、新しいものを欲しがる。既存P-3Cを改造すればいいとは、官僚は最初に言いだすものではない。今は要求でフッカケる段階で、それがC-130を新規導入する話である。P-3C輸送型は、譲歩する段階で出すタマだ。

 P-3C輸送型は、実際に出てくる可能性のある話である。ここ20年の、海自への追い風からすればC-130は認められる可能性も高い。しかし今回、観測気球をあげたC-130がダメだったときには、P-3C輸送型も俎上に上がるだろう。C-130以外の輸送機に代替案はない。南鳥島や硫黄島まで往復できる、枯れて、手馴れた輸送機はない。中古C-130と同じ程度のお金で調達できる航空機もそうそうない。価格同程度で新品だと小さい機体になる。それはそれで構わないのだろうが、航続距離が短くなってしまう。また、少数機導入で整備補給に面倒も起きる。それならばP-3Cを改造した方が良いわけである。予算要求で海自は融通無碍である。おそらく、オプションで持っているだろう。


※ 「中古のC130輸送機、海自配備へ…輸送力増強」『YOMIURI ONLINE』(2011年9月6日 読売新聞)http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20110905-OYT1T01172.htm

※※ Lambert,Mark,Jane's World Aircraft 1994-95 (Jane's Infomation Group,Surrey,1994)p.557

§ もちろん、2/4で飛行した場合にはエンジンが一台止まれば墜ちる。やるとしても非常事態で、通常は許されないだろう。

§§ C-130であれば機雷敷設にも使いやすいのかもしれない。円筒形の機雷なら、貨物室に横に並べて縄で固縛しておく。ランプを開けて、敷設順にナイフか何かで縄切って、蹴飛ばして転がし、投下すればよい。もうすこし上品にやるにしても、貨物室にハマる機雷投下軌条を用意しておけば、C-130は特に改造しなくとも、容易な機雷敷設が可能である。
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へそ曲がりミリヲタとしては、空自と海自の航空輸送の連携が取れていないので、海自が独自に…と思ってしまいます。