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隅田金属日誌(墨田金属日誌)

隅田金属ぼるじひ社(コミケ:情報評論系/ミリタリ関係)の紹介用

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文谷数重

Author:文谷数重
 零細サークルの隅田金属です。メカミリっぽいけど、メカミリではない、でもまあミリタリー風味といったところでしょうか。
 ちなみに、コミケでは「情報評論系」です

連絡先:q_montagne@pop02.odn.ne.jp

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2017.11
06
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20:49
Category : 未分類
 件の見世物ゼロ戦が売られる記事がある。価格は4億以上とのことだ。「零戦、売ります! 唯一の日本人零戦オーナーが決意のお願い」がそれだ。

 そこで利益が出た場合、寄付受けとの関係はどうなるのだろうか?

 このゼロ戦は寄付を募って飛ばしていた。「零戦里帰りプロジェクト」と称し「日本のものづくり」といったキレイ事を前に出して資金を集めている。

 つまりは、寄付を受けて維持したゼロ戦で儲けた形になる。

 その場合、寄付者への説明はどうするのだろうか?

 連中は非商業的活動だと考えている。レッドブル曲芸飛行の合間にランカイ的に見世物で飛ばしていてそれはないのだが、日本人が所有するゼロ戦といった文句に引っかかって金を捐ったおひとよしである。そう信じている。

 ちなみにこれは「売却するとき面倒だろうね」として去年書いたとおりである。

 そして、今回の文春記事にもそのあたりの説明はない。寄付受けはなかったことにしたいのだろう。


■ 「購入契約の保証人」は仲介手数料を意味するのではないか

 そしてボクは掴まされたので被害者です的な言い訳に終止している。「元々は、ある地方自治体からの「建設予定の博物館に零戦を展示したいので、機体の購入を手伝って頂けませんか」という打診から話は始まります。」「ところが2008年のリーマン・ショックで自治体が買う計画が頓挫しちゃったんです。私はボブ・ハンナとの零戦購入契約の保証人となっていましたので、契約履行責任を取って買い取らなければなりませんでした。」はそれだ。

 だが、よく読めばそれだけでも仲介手数料をとる商売であったように見える。「購入契約の保証人」で「契約履行責任を取って買い取らなければならない」とはそういうことだ。

 つまりは、米人と自治体が売却契約を結んだのではない。それなら自治体が違約金を払うはずである。さらにいえば、そもそもは契約に至らない。国や自治体は予算あるいは債務負担がついてから初めて契約するものだからだ。

 おそらく実態としては転売目的だということだ。

 推測だが、自己所有かあるいはそれに近いかたちにして、それを売る形としたのだろう。いちど現オーナーの手に渡る形になっていた、あるいは自治体が購入を決定してもいないのに米人から買う前提で話を決めていた。このあたりは買受を保証していたことが推測できる。

 なぜそうしたか? 単純に右から左に流すだけではコミッションはない。役所は吝いので事務手数料や輸送・通関の手間賃分しか払わないからだ。おそらくはそんなものだ。

 ちなみに「リーマン・ショックで自治体が買う計画が頓挫」もそれを補強する。なぜならありえないからだ。自治体はリーマンショックで契約解除はしない。仮にそうしても、その場合の費用負担は自治体もちとなる。さらに自治体の行動の結果として発生した損害なら自治体に請求ができるのに、それをしていない。


■ 商行為そのものは悪くはないけどね

 まずは商売だったということだ。当然だが、お人よしの人たちが信じるような、日本里帰りのための慈善事業ではない。

 もちろんそれは悪いことではない。ゼロ戦の売買はタダのヒコーキの売買である。輸送機械を売り買いして利潤を挙げることは真っ当な商行為である。

 ただ、その商売のために寄付受けするのはマズイ。商品なら自力で維持するのが本筋だからだ。それを「商品ではない、日本に還るべき技術遺産だ」と宣伝しお涙頂戴で寄付受けまでした。それを売却し、売却益をえる構図は批判されてしかるべきだろう。特にそれで海外に期待が売却されたとすればゼロ戦里帰りや日本の技術遺産といった建前も崩壊する。さらに筋悪だ。


■ ゼロ戦は儲かるよ、は無責任だよね

 なお、その上でいえば取材に対して「ゼロ戦は儲かるよ」も無責任な言い方である。

石塚 飛行できる零戦は日本でただ一機です。先ほど言ったように貴重なものですから、先日飛行した「レッドブル・エアレース」などの航空ショー、イベントで飛行を全国から要望されます。しかも零戦ファンは想像以上に層が厚いので集客力が抜群にあります。零戦を見て心の動かない日本人はいない、と私は思っています。日本は海外に比べて航空ショーやエアレース文化が定着していませんが、私のところにも自治体や基地祭などたくさんの問い合わせがあります。零戦の国内保存と飛行活動を知って頂ければ今後零戦が活躍する場は多くなるはずで、年間維持費も十分カバーできるようになると思っています。
http://bunshun.jp/articles/-/4750


 それなら「なぜあなたは手放すのか?」といわれるだろう。「年間維持費も十分カバーできる」ならそれはおかしいからだ。


■ 戦車ビジネスや軍艦ビジネスもそうだよね

 このあたりは里帰りを表に出した戦車ビジネスや軍艦ビジネスも同じようなものだ。

 いずれも寄付受けを表に出していながら、最後に兵器を売却放棄すれば利益は自分たちで囲い込めるからだ。状況としては戦車を探す話は立ち消え、軍艦は砲身だけ回収してどうするかは決まらずだが、寄付受けしておきながら最後まで面倒を見られなければ似たようなものだ。

 まずはロクなものではない。そういうことだ。

 それよりなにより、もっとロクでもないひとたちのコメントを読みたいものだ。それはこのゼロ戦転売を持ち上げたお歴々、例えば航空ライター商売をしている航空写真家さんや、ゼロ戦愛国商売をしている写真屋さんのコメントである。どうせ口をつぐむのだろうけどね。


------------------ 以下オマケ 6日2250i -----------------------

 あの説明に納得できるのは幸福なことだ。例えばこれだ。ホントに保証人だと思っているアタリ、ooi@n_mさんはまあピュアだよね。何でも文字通りにしか読めない。

購入の保証人とかホントに信じている
https://twitter.com/JDSDE214/status/927401346105450496

 「なんで保証人になるのか?」「保証人買い取り条項なんてあるのか?」って考えりゃ実際は転売ヤーなことくらいわかりそうなもんだがねえ。

 他人の言うことを鵜呑みにして、「高強度鋼は潜水艦を軽く作るためです」とかに雷同するあたりも、まーゼロ戦里帰り寄付にフックオンするような好人物にできてるんだろうね。

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Comment

非公開コメント

持ち上げてた人たちは、この社長の文章を文字どおり受け取り感動してそうな気がしますね。

No title

戦時中は零戦より陸軍の「隼」の方が有名だったのに、よくわからん「悲劇の戦闘機」的な扱い方されたことで
零戦に対する現代日本人の視点はいろいろ拗れていると思う

次世代艦戦「烈風」の開発失敗や特攻の提唱も含め、そのあたり海軍の航空用兵はいろいろと罪深いわな

根拠はないですが、コンサルを頼まれたら勝手にプロモーター買って出て早手回しに買い付けまでやったところ、担当者が正気に帰るか人事異動でまともな人が後任に立って、売り付け先を失ったんじゃないかなぁと想像してます。
そもそも自治体の博物館の展示物が発端だというなら、フライアブル機を持ってくること自体、なんか捻れてるし。
そんなところでフライアブル状態なんて絶対維持できるわけないんだから。

No title

金を払ってない分には周囲はゼロ戦飛んでるの見て喜んでるだけなので、
特に罵詈雑言までは言う気にならないですね。
深入りして散財はどうせアレな連中だし。

現代の曲芸機に比べたら維持費がかかるのでしょうが、
ロック岩崎のように事業としての継続性を担保出来るようになってないのは、どうにも。
結局そこから全ての矛盾が始まる。

大戦期が趣味の個人投資家をパトロンにするでなければ、
フジサンケイグループに売り込んで愛国号として生きる道しかなかったかなw

No title

一方でただの民間人なのに独力で渡米して操縦習って、ついには飛行競技でタイトル取った室屋さんはすごいなあ。なぜかネトウヨ界隈ではあんまり話題にならんけど。

ひょっとしたら室屋さんが元自衛隊Pじゃないから彼らの耳目を惹かないんだろうか? などと邪推してみる。

No title

中国あたりにつながる人や組織からオファーあったら結構厄介な事態になりそうですね。

No title

どういう意味で厄介なのか知らんけど
売り主は日本の宝が国外に流出してしまう!!
と煽れるから喜ぶんじゃないの?

中国に渡してなるものか!と憤慨する向きには
それじゃあお前が金を出せ(若しくは集めろ)と
言えば終わる話だし。

ロシア製のレプリカを中国人が入手したところで何ほどのことがある、と考えられない人々にとっては大事なので、現オーナー氏が中国人に売り渡したら頭の可哀想な人々が掌を返したように売国奴扱いして叩き始めるとしたら、現オーナー氏にとっては厄介で気の毒な話である、ということなんじゃないですかね。


え、違うの?

まぁ、証拠と言うか価値はありますね
他のものが米国で日本になくなるのはちょっと。飛行をするではなく日本で展示する、でもいいんじゃないかな。これを悪の悲劇の始まりの戦闘機と見るか私達を守ってくれたと思うかで大分違う。過去の戦争とは力自慢か平和への祈りかである。私は感謝の気持ちと共に二度ともう戦争が起こらない様に、と願いました。