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隅田金属日誌(墨田金属日誌)

隅田金属ぼるじひ社(コミケ:情報評論系/ミリタリ関係)の紹介用

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文谷数重

Author:文谷数重
 零細サークルの隅田金属です。メカミリっぽいけど、メカミリではない、でもまあミリタリー風味といったところでしょうか。
 ちなみに、コミケでは「情報評論系」です

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2017.11
30
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13:34
Category : 未分類
 毎日新聞の記事に原子力研究開発機構が不満を述べている。

 29日付記事「もんじゅ設計廃炉想定せずナトリウム搬出困難」(毎日)に対する「平成29年11月29日付毎日新聞における「もんじゅ」に関する報道について」である。

 毎日記事は次のように指摘している。
高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)について、原子炉容器内を満たしている液体ナトリウムの抜き取りを想定していない設計になっていると、日本原子力研究開発機構が明らかにした。
[中略]
原子力機構によると、直接核燃料に触れる1次冷却系の設備は合金製の隔壁に覆われ、原子炉容器に近づけない。また、原子炉容器内は燃料の露出を防ぐため、ナトリウムが一定量以下にならないような構造になっている。このため1次冷却系のナトリウム約760トンのうち、原子炉容器内にある数百トンは抜き取れない構造だという。
https://mainichi.jp/articles/20171129/ddm/001/040/162000c


 それに機構は次のように反論している
これらについては、技術的に可能であるにも関わらず、あたかも原子炉容器からナトリウムを抜き出すことが極めて困難であり、かつ、あらかじめ設計上の配慮を怠ったかのような印象を読者に与えようとするものであり、更には事実関係を十分に取材せずに掲載されたものであることから、当機構としては甚だ遺憾であります。
https://www.jaea.go.jp/about_JAEA/article/2017/112902.pdf



■ 噴飯な反論

 だが、その中身は噴飯だ。

 まず「技術的に可能」(機構)とは面白い言い方である。つまりは「容易である」と言えない、「処理法が確立している」とも言えない内容の裏返しでしかない。

 その言い方に倣えば高速増殖炉も核燃料サイクルも「技術的に可能」(機構)となる。

 ちなみに「もんじゅ」も核燃料サイクルも原子力研究開発機構が担当していた事業である。前身にあたる動力炉・核燃料開発事業団が担当していた。「もんじゅ」が失態や回転しないサイクルの体たらくは御存知の通り。まずは「自分のケツを拭いてから文句を言え」といった中身だ。

 また、「原子炉容器からナトリウムを抜き出」しについて「あらかじめ設計上の配慮を怠ったかのような印象を読者に与えようとするもの」(機構)もなかなかだ。

 毎日記事を否定するなら「配慮している」となるからだ。本当に配慮していれば「『もんじゅ』はナトリウム抜き取りの準備をしている」といった反論となる。

 つまり「配慮を怠ったかのような印象」(機構)は、結局は配慮していなかったことを示しているものだ。要は「『なすべき措置を怠った』のではない。『法的義務のない措置を実施しなかっただけ』」と言いたいのだろう。


■ 理系カルトの原子力ヨイショ

 もっと面白いのは理系カルトのヨイショだけどね。

 例えば大貫剛さんの発言がそれ。
大貫剛‏ @ohnuki_tsuyoshi
何のことはない、もんじゅは廃炉を考慮していないので一次系ナトリウムの抜き取りが不可能という毎日新聞の報道は、全くの誤報だとJAEAは断言した。どういう経緯であのような記事になったのか、毎日新聞は説明するべきだ。
https://twitter.com/ohnuki_tsuyoshi/status/935919122965135360

大貫剛‏ @ohnuki_tsuyoshi
ナトリウムの抜き取りが可能な管は存在していて、その管を使っても炉内に残るナトリウムは1m3程度。一次系ナトリウムの線量は低く、人が近寄れないレベルではない。JAEAの説明が正しければ毎日新聞の大誤報ということになるが、新聞社にも説明責任はあるのではないか。
https://twitter.com/ohnuki_tsuyoshi/status/935920023415152640


 原子力機構の言っていることを信用し切るあたりは不思議なものだ。「廃炉を考慮していないので一次系ナトリウムの抜き取りが不可能という毎日新聞の報道」(大貫)「毎日新聞の大誤報」(大貫)と述べている。「JAEAの説明が正しければ」と逃げを打っているがそのようなものだ。

 だが、実際に抜き取り出来なかったらどうするのだろうかね。

 毎日記事が正解の可能性もあるからだ。

 その点で言えば、大貫さんの発言は面白い内容になっている。例えば90年代に「『もんじゅ』はクソ原子炉なので実用運転は不可能」といった新聞記事に、やらかした動燃の発言を元に「それは新聞社の大誤報」と発言するようなものだからだ。

 このあたり、公式発表を正解と考える(自称)航空宇宙クラスターの人々の性質が窺える。

 彼らは「物事には正解がある、僕たちはその正解を知っている」と考えているお理工さんである。

 だから公式に正確に騙される。正解と信じており発表の中身を自分で判断しないからだ。

 なによりも批判的に読めない点は致命的である。今回なら「技術的に可能」の意味するところを汲み取れない点は全くそれだ。飛行機やらロケットやらのメカやピコピコのプログラム言語には詳しいのだろうが、自然言語のニュアンスは詳しくないのだろう。
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Comment

非公開コメント

No title

実際に「ナトリウム抜き取り」の作業方法まで確立しているのであれば、商用稼働が不可能だと明白になった時点で、廃炉工程として発表なり報道なりが当然あったはず。にもかかわらず、原子力機構が具体的な作業手順を示せないんだから、本来なら弁護の余地など皆無。
むしろ「なぜ手順を公開できないのか」「作業が可能なら早急に着手すべき」と、機構を糾弾すべきだろう。

Re: No title

というか、機構がアレなのは今までも解っているからねえ。糾弾じゃなくて「バーカ」が適切じゃないですかね。
実際に「技術的に可能」なんて馬鹿がバカらしく馬鹿なことを言ってバカ晒してるだけなんだし。

原子力屋が何言っても信用できないのはみんな知ってる、機構の本人たちもそれを知ってる
知らないのは原子力大好キッズと航空宇宙クラスタだけ

そのバカの馬鹿発言を持ってきて毎日は誤報だと言ってる連中の方にゲンナリしますね
何かの壁があるんだろうなと、昆虫マニアの養老先生に伺いたい感じ

> 実際に「ナトリウム抜き取り」の作業方法まで確立しているのであれば、商用稼働が不可能だと明白になった時点で、廃炉工程として発表なり報道なりが当然あったはず。にもかかわらず、原子力機構が具体的な作業手順を示せないんだから、本来なら弁護の余地など皆無。
> むしろ「なぜ手順を公開できないのか」「作業が可能なら早急に着手すべき」と、機構を糾弾すべきだろう。

No title

反論しつつも具体的な予算とか期間とかの見通しを立てないのはズルいですよね。だったら、半減期が100万年とか1億年あるような放射性廃棄物だって「廃棄物はそのうち無害になります、永久に住めないは嘘」とも言いくるめることができますし。後、数字には正確であっても言葉遊びをするのはやはり科学者として不真面目だと思います。数字の不正確と同じように罪深いと思うんですけど、彼らにはそういう自覚って無いんですかね。

Re: No title

科学者じゃないですからね。半分公務員みたいな機構の団体職員連と科学者になれなかったお理工さんたちだから

> 反論しつつも具体的な予算とか期間とかの見通しを立てないのはズルいですよね。だったら、半減期が100万年とか1億年あるような放射性廃棄物だって「廃棄物はそのうち無害になります、永久に住めないは嘘」とも言いくるめることができますし。後、数字には正確であっても言葉遊びをするのはやはり科学者として不真面目だと思います。数字の不正確と同じように罪深いと思うんですけど、彼らにはそういう自覚って無いんですかね。

No title

周囲で騒いでいる大半は関係者ですらないですからね。

むしろ、他の話題に比べても明らかに影響力が落ちているのが笑えます。
今やネトウヨですら、心から原子力の無謬性に同意する者の比率は下がってきている。

かつて文谷氏のブログに出入りしていた緑川氏まで
反日がどうしただの反対派は北京から指令されてるだのと
あの手のtogetterで喚いているのを見ると、底の浅い風見鶏の末路は無惨ですなぁ。

そう言えば、私が尊敬する科学ジャーナリスト添田孝史氏が『東電原発裁判』という新書を刊行されました。

今回のようなお理工さんの真逆を行く内容です。
お理工と言えば、小生も東電社内報などの提供で結果として協力いたしました。
大変な力作なので、是非お手に取って頂ければと思います。

No title

蓮池透さんもツイッターで廃炉コストに突っ込み入れてますね。

フランスの高速増殖炉は

お邪魔します。

 フランスの高速増殖炉のスーパーフェニックス(三段階中第三段階の実証炉、もんじゅは三段階中第二段階の実験炉)は廃炉になったと聞いていますが、その際にナトリウムは抜き取ったのかに興味があります。

 江畑氏の本に「通常動力艦は使う当てが無くてもモスボールが可能である。アイオワ級戦艦はそうやって湾岸戦争まで使われた。しかし原子力艦は原子炉があるが故にモスボールが不可能なため、艦としてはまだ使えても使う当てが無くなった時点で解体された。通常軍艦を一旦モスボールして再び使う事は考えないから、原子力艦がモスボールできないというのはある意味盲点であった。」とあった記憶があります。もんじゅの場合はたとえ高速増殖炉の開発が順調に進んだとしても、30~40年程度たったら寿命がくるのが分かっていたはずなので、「盲点」とは言えないと思います。これは「常温で流体である水やヘリウムではなく、常温で固体の金属または塩を冷却材に用いる原子炉共通の問題」ではないかと思われます。

 もしかして「核燃料を先に取り出して、原子炉と固まった金属を一緒に解体する」のだろうか?