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隅田金属日誌(墨田金属日誌)

隅田金属ぼるじひ社(コミケ:情報評論系/ミリタリ関係)の紹介用

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文谷数重

Author:文谷数重
 零細サークルの隅田金属です。メカミリっぽいけど、メカミリではない、でもまあミリタリー風味といったところでしょうか。
 ちなみに、コミケでは「情報評論系」です

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2011.10
01
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12:59
Category : ミリタリー
 防衛予算なんだが、陸自から海空自衛隊への振り向けは順調に進むだろうね

 9月30日、防衛省による平成24年度予算(2012年度)概算要求が提出された。その概要は『平成24年度概算要求の概要』(http://www.mod.go.jp/j/yosan/2012/gaisan.pdf)で示されている。

 この『平成24年度概算要求の概要』であるが、その中で、陸自は存在価値を示せていない。

 防衛力政策における焦点は明確に「日本の外側」に向いている。『概算要求の概要』は主要なテーマとして
・「実効的な抑止及び対処」
・「アジア太平洋地域の安全保障環境の一層の安定化」
・「グローバルな安全保障環境の改善」
と3点を挙げている。前からそうであるが、防衛政策での焦点は、アジア太平洋地域や地球規模を視野に入れている。

 このアジア太平洋地域や地球規模での活動では、陸自はそれほど存在価値を示せていない。『概算要求の概要』では幾つかの活動を示しているが、海空が多く、陸は影もない。ここ数年で実際に行った行動にしても、海によるインド洋給油やソマリア沖海賊対処、空によるイラク航空輸送がある。陸もイラク派遣等実施しているが、その影も薄い。

 純軍事的な防衛力整備でも『概算要求の概要』では焦点は本土ではなく、周辺部に据えられている。『概算要求の概要』では、最初の「実効的な抑止及び対処」で軍事的な日本防衛について述べている。この「実効的な抑止及び対処」は「周辺海空域の安全確保」を筆頭とし、ついで「島嶼部に対する攻撃への対応」という順番に展開していく。その次は、「サイバー攻撃等への対処」に過ぎない。軍事的な日本防衛については
・「周辺海空域の安全確保」
・「島嶼部に対する攻撃への対応」
と日本周辺部に焦点を据えている。

 純軍事的な防衛力整備でも、陸自は出る幕がない。「周辺海空域の安全確保」で挙げられた5事業は、全て海空自である。「島嶼部に対する攻撃への対応」でも、22事業中、陸自は3事業であり、そのうち2事業は地対艦ミサイル整備と輸送ヘリ整備である。離島戦では、制海権・制空権確保が最優先で、極端な話、海と空を抑えればどうにでもなってしまう。陸兵がどれだけ苦労しても、時間の問題にすぎない。純軍事的な防衛力整備で陸自がメインとなるのは「ゲリラや特殊部隊による攻撃への対応」であるが、その優先順位も低い。

 必要性も、優先度も高い海空自は順当に予算が認められる。日本の防衛は、明確に海空主体となった。海外での活動や、日本周辺部での防備は海空戦力が主体である。この状況では、海空自が提示した事業は通りやすい。事業として認められ、削減幅も少ない。

 対して、陸自は必要性や優先度を示すことができない。海外での活動や、日本周辺部での防備では、今の陸自は存在価値を示せない。防衛省が提出した概算要求段階で、陸自は既に精彩を欠いている。新規事業にも説得力に富んていない。

 陸自は存在価値を示せていない。日本の防衛に関して、陸上戦力による本土決戦的な発想は、すでに過去のものである。そもそも、戦後日本とその周辺を見れば、日本に攻め込める力を持った脅威はない。今日、日本本土への着上陸を脅威と主張しても賛同は得られない。

 予算を査定する上で、陸自分は順当に査定で削減される。そして、新規事業が認められ、結果として削減幅が小さくなる海空自に防衛予算は振り向けられる形になる。24要求では、海自は純増になる可能性もある。

 長期的にも、陸から海空への振り向けは続く。陸上戦力は既に従属的な地位にある。しかし、人員でも予算規模でも陸自が最も大きなウエイトを占めている。これは奇妙な状態である。優先度が低い陸自が削減され、優先度が高い海空に振り向けられるのは当然である。

 陸は、存在価値を示せない限りジリ貧になる。従来どおりである本土防衛体制を大きく改め、海外での活動や、日本周辺部での防備に最適化しなければ生き残れない。日本本土での防衛を副次的役割として、海外活動用や、日本周辺での展開に適した形態に変化できなければ、このまま緩やかに縮小していくことになる。





P.S 本土防衛なんて、4ヶ鎮台4万人くらいに抑えて、余りで海外貢献師団風とか、日本周辺に展開できる海上機動旅団風にしちゃうとかね。

P.SのP.S 「陸上自衛官の実員増」「109人の増員」も、小細工に過ぎないよね。まあ、実員を減らされるにしても、その幅を小さくしようとフッかけているものだ。去年の「陸自2万人増員」と同じ。概算要求だから、まあフカシの塊みたいなもんだが。

P.SのP.SのP.S 実員増は福島第1原発の事故対処を理由にしているけど、短期的な変動だから「工夫すれば終わり」となるだろうね。要は予算上の定員増を指すのだろうけど、法規上の定員(訓定)が減るのに「それはあり得ない、無理」と言われる。人員を増やすのは装備を新しくするどころの難しさじゃない。まず無理だろうね。

P.SのP.SのP.SのP.S 逆に、人員を思い切りカットすれば、新規事業にしても通り易くなるんだけどね。10万人とか9万9000人にすれば、装備の更新も訓練や演習のお金も相当余裕が増えると思うんだけどね。みんなが大好きな新戦車も、実際に優先度の高いシステム・通信やらも、ロジスティックでの外注も容易になると思うんがなあ。まあ、将官・佐官のポストが減る、2佐以上への昇任も困難になるから、官僚組織として呑めない話なんだろうけどね。
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ただ、政府としては陸自の災害派遣で「○○○人○動員」が宣伝材料となる現状から、安易に削減して「政府が削減したから災害派遣への人数が減った」と言われると…