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隅田金属日誌(墨田金属日誌)

隅田金属ぼるじひ社(コミケ:情報評論系/ミリタリ関係)の紹介用

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文谷数重

Author:文谷数重
 零細サークルの隅田金属です。メカミリっぽいけど、メカミリではない、でもまあミリタリー風味といったところでしょうか。
 ちなみに、コミケでは「情報評論系」です

連絡先:q_montagne@pop02.odn.ne.jp

→ サークルMS「隅田金属」
→ 新刊・既刊等はこちら

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2018.01
26
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21:49
Category : 未分類
 木曜日に音無小鳥マンガ『朝焼けは黄金色』を高岡書店でフライング入手したのだけれども。それはそれでよろしいのですが「10年後に事務員はちょっと無理があるのでは?」といった印象。

 で、高岡の平積で見かけて一緒に入手したシタラマサコ『美少女戦士だった人』はなかなか。それこそCCさくらの新作でやりゃよかった中身。30歳になったさくらと知世が社会の中で苦労しまくる話にすればかつてのファンも共感するんじゃないかと思うのですがねえ。

■ 河内春人『倭の五王』

 その後に東方書店で購入した河内春人さんの『倭の五王』はオススメです。これは五王、讃、珍、済、興、武と中国との遣使についての本です。

 その焦点は武にあります。例えば武はホントにワカタケルと否定してよいのか? 記紀の記述との帳尻だけをあわせているのではないか? といった疑問が提示されております。

 最も面白い点はヤマトタケルの関する仮説の提示です。一言でいえば「倭王の武による上表文にあわせて伝説を作ったんじゃね?」といった中身です。

 倭王の武は宋の順帝への上表書に自己の氏族・体制がかつての日本の四道を征服したと述べています。「東は毛人を征する五五ヶ国……」のアレです。

 河内さんはこれを決まり文句としています。「これは当時の慣用表現で『ボクの部族は宋の手先としてキチンと周囲を征服しましたよ』といった慣用表現」(pp.155-158)と指摘しています。

 そして、これは実態に合わないとも指摘しています。考古学の成果として下垣仁志さんの主張「古墳時代に戦闘の形跡はなかった。防御施設やら殺傷人骨やら全然ねーよ」「これ高地性集落やら武器やら殺傷人骨がいっぱい出てくる弥生時代と大違い」(p.136)を紹介しています。

 この矛盾にヤマトタケル神話をあわせて「記憶捏造したんだろ」(pp.155-158)いった仮説に至るのです。
上表文では宋皇帝のために行ったとする東西征伐が、武以降に中国との外交が途絶することによって宋皇帝という存在が消え、倭王権自身のための東西征伐へと論理がすり替わっていく。その過程で話にリアリティを持たせるための肉付けが加わって伝承が形成される。それがヤマトタケル伝承とよばれるものではないか。
河内春人『倭の五王』(東京,中央公論新社,2018)pp.158-159


 要は今までと逆じゃないのといった内容です。これまでは四道征服の歴史的記憶がヤマトタケルといった人物に仮託されたとされていた。でも、実際は逆で昔に中国に報告しちゃった内容にあわせて伝説ができたのではないかといった可能性を河内さんは指摘しています。

 まー、ドゴン族の神話みたいなもんでしょう。シリウスが連星だったり土星の輪っかを知ってたみたいな話ですよ。先に宣教師から最新科学の成果を伝え聞いた5年後に民俗学者に「俺たちは宇宙から来たんだよ、シリウスの連星からカッシーニの間隙を縫って」と「古くから伝わる歌」を歌って「そのカッシーニの隙間って何?」と聞いたら「カッシーニは部族の偉大な祖先の名前」みたいなやつなんでしょう。細部は宣教師から聞いたか宋の皇帝に上表したかの差です。


■ 東方書店で買え

 なお『倭の五王』は、他にも色々と面白い内容があります。買ってソンはありません。

 東京市内で買うなら東方書店です。同人置かせてもらってますし、他所じゃ置いてない雑誌も結構あるので一度どうぞ。




 なお、メロンと虎のリンクは次のとおりです

・ とらのあな(通販)  http://www.toranoana.jp/mailorder/article/04/0030/59/79/040030597943.html

・ メロンブックス(通販) https://www.melonbooks.co.jp/detail/detail.php?product_id=323545


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Comment

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No title

その建国神話に、西暦を換算した「紀元は2600年」が乗っかるのを思うと、まさしく日本(というのも語弊がありますけど)の政治史のひとつの縮図といってよいんでしょうかね。中国の華夷秩序的世界観から、西欧的世界観への移行という。

No title

「倭の五王」、面白そうな内容ですね!
http://www.chuko.co.jp/shinsho/2018/01/102470.html

私も書店や図書館で探して読んでみます。

ちなみに、同書は邪馬台国について触れているのでしょうか?邪馬台国と倭の五王を分かつ「空白の4世紀」、考古学上の新発見でもない限り、永遠に解明されないままかなあ。

> で、高岡の平積で見かけて一緒に入手したシタラマサコ『美少女戦士だった人』はなかなか。それこそCCさくらの新作でやりゃよかった中身。30歳になったさくらと知世が社会の中で苦労しまくる話にすればかつてのファンも共感するんじゃないかと思うのですがねえ。

「成人後の美少女戦士」って、なんかセーラームーンやプリキュアのスピンオフでも成立しそう(笑)

連投失礼します。「美少女戦士だった人。」ってこれですか?

http://www.akitashoten.co.jp/comics/4253270093

なるほど、ジワジワ来ますなw