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隅田金属日誌(墨田金属日誌)

隅田金属ぼるじひ社(コミケ:情報評論系/ミリタリ関係)の紹介用

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文谷数重

Author:文谷数重
 零細サークルの隅田金属です。メカミリっぽいけど、メカミリではない、でもまあミリタリー風味といったところでしょうか。
 ちなみに、コミケでは「情報評論系」です

連絡先:q_montagne@pop02.odn.ne.jp

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2011.10
08
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13:00
Category : 有職故実
 帝国議会には『建議録』がある。文字通り、議会が政府に対する建議を記録したもの。建議には強制力はない、まあ「こういうアイデアなんだけど、どう?」といったもの。発案は議員個人なので、誰も困らない内容※であればそのまま衆議院として建議していた様子。無理に否定して議員の顔を潰す必要もないということなのだろう。

 で、その建議なのだが、戦争末期になると相当アレな内容が出てくる。それが「松葉酒醸造に関する建議案」。昭和20年第86帝国議会、その衆議院の建議集で発見。

 松葉を主原料として酒を作るという話なのだが、松葉ってそれほど糖分含んでいるのかね? 建議では副材料で甘薯と馬鈴薯を挙げらいる。でも、実際には、そちらが主材料だろう。芋のデンプンが糖化してアルコールになるとしか思えない。救荒食でもあった松皮ならともかく、松葉ではまともに醸造に足りる糖分はないだろう。

 建議案理由書によると、アルコール量が10数%で、腐らないとされている。航空搭乗者に必須の「ホルモン性飲料」とか書いてある。陸海軍将兵だけではなく、労働者に飲ませれば生産性向上に寄与するともある。効用にしても、ちょっと神がかりかね。バナナの葉っぱを売りだしたGOグループ、大神健太会長と大差ない。

 提案者の名は秘すが、前の帝国議会でも、国民健康食を云々し「肉を食う不健康になるぞと」という決議案を提出している。肉とか米とか、美味しい物を食べると堕落し寿命が縮む。穀物立ちをして、山野に自生するものを口にしなさいという発想なのだろう。これは別段珍しい発想ではない。『耳嚢』にも穀物を食わない村の話もある。インドでの断食思想や中国での仙人観念も似たようなもの。ただし、それが建議というシステムで、正規経路で政府に上がるのは喜劇である。

 もちろん、全部が全部とも松葉酒ではない。まともな建議もある。ただ、戦争期で戦況厳しいとなると妙な決議も出やすいのだろう。
 まず日華事変の段階で、チョットねえという話が出ている。昭和15年の75帝国議会だと、勤労奉仕のため、夏休みを3ないし5ヶ月に増やせとかいうのもある。ほかにも「山陰地方はソ連に面している、国防上必要だから山陰本線に東京発下関行きの急行を設定しろ」なんてコジツケもある。戦後に議会が強くなると、これがこうじて、我田引鉄となり国鉄が潰れるわけだね。


※ 建議で不利益を受ける議員がいると、同時に正反対な建議が出る。例えば東京港開港(国際港)に際しては、正反対である2つの建議が出ている。東京開港により、打撃をうける横浜港周辺選出議員は「東京港開発は予算の無駄なのでやめるべき」と建議する。それへのカウンターとして、東京港により利益を受ける議員は「早期に東京港を開港するべき」と建議している。
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