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隅田金属日誌(墨田金属日誌)

隅田金属ぼるじひ社(コミケ:情報評論系/ミリタリ関係)の紹介用

プロフィール

文谷数重

Author:文谷数重
 零細サークルの隅田金属です。メカミリっぽいけど、メカミリではない、でもまあミリタリー風味といったところでしょうか。
 ちなみに、コミケでは「情報評論系」です

連絡先:q_montagne@pop02.odn.ne.jp

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2011.10
08
CM:3
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12:59
Category : 有職故実
 マツダ自動車がロータリ・エンジン生産をやめるとの話。
「世界唯一のロータリーエンジン車、生産終了へ」
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20111007-OYT1T00889.htm
滅びるべきエンジンが滅びたということだね。

 もともとロータリ・エンジンは駄目エンジンで、どうやってもレシプロ・エンジンにはかなわない。これは昭和40年代初頭から富塚清が予言しつづけたとおり。富塚は航空エンジンの偉い人で、高木がつくった海軍のブレーン・トラストにも入っている。それはさておき、戦後には異形エンジンは如何に駄目なのかを力説した人である。

 富塚は、特にロータリー・エンジンへの執着に警鐘を鳴らしていた。『機械学会誌』で、特にロータリ・エンジンを名指しし、その筋の悪さを否定するエッセイを幾つも書いている。中でも、50年前に掲載された「内燃機関禁忌集補遺 -特にレシプロ対ロータリについて-」※は筋の悪さを痛快に指摘しており、面白いものである。

 まず富塚は、ロータリ・エンジンについて燃焼室形状でダメだしをしている。ロータリ・エンジンは断面が長方形である。「熱膨張や圧力でどう変形するか考えてみろ」(大意)、「円筒状シリンダであれば、断面はどうやっても円だが、長方形は複雑怪奇な変形するだろ、それを気密出来るか」(大意)と一刀両断している。「ロータリの通る空間の断面は長方形、締切り棒は少なくとも4本いる[中略]締切りは[レシプロ・エンジンのピストン・リングのように]何段階に重複させることは不可能」とし、それが可能なら「従来のレシプロも[空間効率の良い]長方形シリンダの採用に踏み切ってよいはず」としている。

 そして富塚は、ロータリ・エンジンはレシプロ・エンジンに劣位にある点も指摘している。ロータリが持つ劣位点を(a)から(k)まで11点挙げている。逐一を示すことは面倒なので、特に致命的な点を上げる。(a)排ガス排出での劣位、レシプロのピストン機構に敵うものではない。(b)褶動部と熱源の接近、ロータリはエンジンに熱が籠もる。(e)円形シリンダは製作容易であるが、ロータリ外周である繭型も側板も製作は難しい。といった3点である。

 そもそも、レシプロ・エンジンは絶対的に優位にある。富塚も「レシプロ・エンジンなら、直径10mm、1.5cc単気筒から、1500リットル4000馬力まで任意の排気量・出力・気筒数で作れる、ロータリは無理だろ」(大意)と言っている。ロータリ・エンジンは50年前には芽がないことは明らかであるが、それを無理に続けていたのがマツダなのだろう。

 ロータリ・エンジンは威信財だったのだろうね。トゥールビヨン方式の高級機械式腕時計と同じ、実用ではなく愛玩物だ。見た目にメカニズムの妙があるように見え、製造には高度な技術が必要である。無理に実用にするには、巧緻に作らなければならず、当然製造も維持コストも高くなる。しかし、威信財としては、高コストであることはむしろ歓迎される。

 実用性でいえば、ロータリ・エンジンは、どうあがいてもレシプロ・エンジンに駆逐されるのは当然である。高級機械式腕時計と、1個1000円の使い捨てクォーツ、どちらが正確であるかを考えれば良い。

 威信財としてのロータリ・エンジンは終わった以上、ロータリ・エンジンが復活する芽はないだろう。水素エンジン云々とする負け惜しみもあるが、ロータリ・エンジンである以上、実用は問題点が山積している。さらに水素貯蔵をどうするかという問題もある。そもそも「環境にやさしい」イメージや「先進技術」で押し出すにしても、今度は燃料電池に敵わない。水素ロータリ・エンジンは燃料電池に敵わない。カルノー・サイクルの制限から抜け出せない上、先進性というイメージでで負けるのである。

 ロータリ・エンジンは、どうやっても駄目エンジンであり、これからもどーやっても駄目エンジンというわけだ。



※ 富塚清「内燃機関禁忌集補遺 -特にレシプロ対ロータリについて-」『日本機械学会 論文集』70.576(1967.1)p.p.23-25
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Comment

非公開コメント

No title

一時期間があくだけで、また発売されるでしょうね。
>威信財としてのロータリ・エンジンは終わった以上、ロータリ・エンジンが復活する芽はないだろう。

どういうことですか?
エントリーの内容は「実用性」としてのロータリー・エンジンの終了を書いているのではないですか?

No title

REの研究開発は今後も続けるとの事でしたが、実車販売を前提としたものであることが発表されたようです。

ロータリーエンジン搭載車、マツダが新型を開発中
http://response.jp/article/2011/10/10/163571.html

しねよ、屑野郎w