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- » 2023 . 03
Category : 有職故実
マツダ自動車がロータリ・エンジン生産をやめるとの話。
「世界唯一のロータリーエンジン車、生産終了へ」
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20111007-OYT1T00889.htm
滅びるべきエンジンが滅びたということだね。
もともとロータリ・エンジンは駄目エンジンで、どうやってもレシプロ・エンジンにはかなわない。これは昭和40年代初頭から富塚清が予言しつづけたとおり。富塚は航空エンジンの偉い人で、高木がつくった海軍のブレーン・トラストにも入っている。それはさておき、戦後には異形エンジンは如何に駄目なのかを力説した人である。
富塚は、特にロータリー・エンジンへの執着に警鐘を鳴らしていた。『機械学会誌』で、特にロータリ・エンジンを名指しし、その筋の悪さを否定するエッセイを幾つも書いている。中でも、50年前に掲載された「内燃機関禁忌集補遺 -特にレシプロ対ロータリについて-」※は筋の悪さを痛快に指摘しており、面白いものである。
まず富塚は、ロータリ・エンジンについて燃焼室形状でダメだしをしている。ロータリ・エンジンは断面が長方形である。「熱膨張や圧力でどう変形するか考えてみろ」(大意)、「円筒状シリンダであれば、断面はどうやっても円だが、長方形は複雑怪奇な変形するだろ、それを気密出来るか」(大意)と一刀両断している。「ロータリの通る空間の断面は長方形、締切り棒は少なくとも4本いる[中略]締切りは[レシプロ・エンジンのピストン・リングのように]何段階に重複させることは不可能」とし、それが可能なら「従来のレシプロも[空間効率の良い]長方形シリンダの採用に踏み切ってよいはず」としている。
そして富塚は、ロータリ・エンジンはレシプロ・エンジンに劣位にある点も指摘している。ロータリが持つ劣位点を(a)から(k)まで11点挙げている。逐一を示すことは面倒なので、特に致命的な点を上げる。(a)排ガス排出での劣位、レシプロのピストン機構に敵うものではない。(b)褶動部と熱源の接近、ロータリはエンジンに熱が籠もる。(e)円形シリンダは製作容易であるが、ロータリ外周である繭型も側板も製作は難しい。といった3点である。
そもそも、レシプロ・エンジンは絶対的に優位にある。富塚も「レシプロ・エンジンなら、直径10mm、1.5cc単気筒から、1500リットル4000馬力まで任意の排気量・出力・気筒数で作れる、ロータリは無理だろ」(大意)と言っている。ロータリ・エンジンは50年前には芽がないことは明らかであるが、それを無理に続けていたのがマツダなのだろう。
ロータリ・エンジンは威信財だったのだろうね。トゥールビヨン方式の高級機械式腕時計と同じ、実用ではなく愛玩物だ。見た目にメカニズムの妙があるように見え、製造には高度な技術が必要である。無理に実用にするには、巧緻に作らなければならず、当然製造も維持コストも高くなる。しかし、威信財としては、高コストであることはむしろ歓迎される。
実用性でいえば、ロータリ・エンジンは、どうあがいてもレシプロ・エンジンに駆逐されるのは当然である。高級機械式腕時計と、1個1000円の使い捨てクォーツ、どちらが正確であるかを考えれば良い。
威信財としてのロータリ・エンジンは終わった以上、ロータリ・エンジンが復活する芽はないだろう。水素エンジン云々とする負け惜しみもあるが、ロータリ・エンジンである以上、実用は問題点が山積している。さらに水素貯蔵をどうするかという問題もある。そもそも「環境にやさしい」イメージや「先進技術」で押し出すにしても、今度は燃料電池に敵わない。水素ロータリ・エンジンは燃料電池に敵わない。カルノー・サイクルの制限から抜け出せない上、先進性というイメージでで負けるのである。
ロータリ・エンジンは、どうやっても駄目エンジンであり、これからもどーやっても駄目エンジンというわけだ。
※ 富塚清「内燃機関禁忌集補遺 -特にレシプロ対ロータリについて-」『日本機械学会 論文集』70.576(1967.1)p.p.23-25
「世界唯一のロータリーエンジン車、生産終了へ」
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20111007-OYT1T00889.htm
滅びるべきエンジンが滅びたということだね。
もともとロータリ・エンジンは駄目エンジンで、どうやってもレシプロ・エンジンにはかなわない。これは昭和40年代初頭から富塚清が予言しつづけたとおり。富塚は航空エンジンの偉い人で、高木がつくった海軍のブレーン・トラストにも入っている。それはさておき、戦後には異形エンジンは如何に駄目なのかを力説した人である。
富塚は、特にロータリー・エンジンへの執着に警鐘を鳴らしていた。『機械学会誌』で、特にロータリ・エンジンを名指しし、その筋の悪さを否定するエッセイを幾つも書いている。中でも、50年前に掲載された「内燃機関禁忌集補遺 -特にレシプロ対ロータリについて-」※は筋の悪さを痛快に指摘しており、面白いものである。
まず富塚は、ロータリ・エンジンについて燃焼室形状でダメだしをしている。ロータリ・エンジンは断面が長方形である。「熱膨張や圧力でどう変形するか考えてみろ」(大意)、「円筒状シリンダであれば、断面はどうやっても円だが、長方形は複雑怪奇な変形するだろ、それを気密出来るか」(大意)と一刀両断している。「ロータリの通る空間の断面は長方形、締切り棒は少なくとも4本いる[中略]締切りは[レシプロ・エンジンのピストン・リングのように]何段階に重複させることは不可能」とし、それが可能なら「従来のレシプロも[空間効率の良い]長方形シリンダの採用に踏み切ってよいはず」としている。
そして富塚は、ロータリ・エンジンはレシプロ・エンジンに劣位にある点も指摘している。ロータリが持つ劣位点を(a)から(k)まで11点挙げている。逐一を示すことは面倒なので、特に致命的な点を上げる。(a)排ガス排出での劣位、レシプロのピストン機構に敵うものではない。(b)褶動部と熱源の接近、ロータリはエンジンに熱が籠もる。(e)円形シリンダは製作容易であるが、ロータリ外周である繭型も側板も製作は難しい。といった3点である。
そもそも、レシプロ・エンジンは絶対的に優位にある。富塚も「レシプロ・エンジンなら、直径10mm、1.5cc単気筒から、1500リットル4000馬力まで任意の排気量・出力・気筒数で作れる、ロータリは無理だろ」(大意)と言っている。ロータリ・エンジンは50年前には芽がないことは明らかであるが、それを無理に続けていたのがマツダなのだろう。
ロータリ・エンジンは威信財だったのだろうね。トゥールビヨン方式の高級機械式腕時計と同じ、実用ではなく愛玩物だ。見た目にメカニズムの妙があるように見え、製造には高度な技術が必要である。無理に実用にするには、巧緻に作らなければならず、当然製造も維持コストも高くなる。しかし、威信財としては、高コストであることはむしろ歓迎される。
実用性でいえば、ロータリ・エンジンは、どうあがいてもレシプロ・エンジンに駆逐されるのは当然である。高級機械式腕時計と、1個1000円の使い捨てクォーツ、どちらが正確であるかを考えれば良い。
威信財としてのロータリ・エンジンは終わった以上、ロータリ・エンジンが復活する芽はないだろう。水素エンジン云々とする負け惜しみもあるが、ロータリ・エンジンである以上、実用は問題点が山積している。さらに水素貯蔵をどうするかという問題もある。そもそも「環境にやさしい」イメージや「先進技術」で押し出すにしても、今度は燃料電池に敵わない。水素ロータリ・エンジンは燃料電池に敵わない。カルノー・サイクルの制限から抜け出せない上、先進性というイメージでで負けるのである。
ロータリ・エンジンは、どうやっても駄目エンジンであり、これからもどーやっても駄目エンジンというわけだ。
※ 富塚清「内燃機関禁忌集補遺 -特にレシプロ対ロータリについて-」『日本機械学会 論文集』70.576(1967.1)p.p.23-25
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Comment
No title
20:02
abcd
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>威信財としてのロータリ・エンジンは終わった以上、ロータリ・エンジンが復活する芽はないだろう。
どういうことですか?
エントリーの内容は「実用性」としてのロータリー・エンジンの終了を書いているのではないですか?
No title
23:43
abcd
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ロータリーエンジン搭載車、マツダが新型を開発中
http://response.jp/article/2011/10/10/163571.html
02:04
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クソだね
23:36
クソだね
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4ストが理解できないアホでしょ
エンジンの体積あたりならレシプロより有利
戦前の科学無視の学者の意見なぞ参考にならん
Re: クソだね
23:44
文谷数重
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> 富塚?
> 4ストが理解できないアホでしょ
> エンジンの体積あたりならレシプロより有利
> 戦前の科学無視の学者の意見なぞ参考にならん
No title
07:57
ガネット
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クランク2回転の正味排気量は2600cc.
2500ccのレシプロにトルクや燃費で負けています。
兼坂弘さんはNSUの詐欺にマツダが引っかかったと酷評していました。
No title
17:33
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「アホ」とか「屑野郎」とか口にした時点で台無しに
12:11
はて?
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アイドリングが不規則、下にトルクがない、排気が汚い、燃費が悪い。
仲間〜!