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隅田金属日誌(墨田金属日誌)

隅田金属ぼるじひ社(コミケ:情報評論系/ミリタリ関係)の紹介用

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文谷数重

Author:文谷数重
 零細サークルの隅田金属です。メカミリっぽいけど、メカミリではない、でもまあミリタリー風味といったところでしょうか。
 ちなみに、コミケでは「情報評論系」です

連絡先:q_montagne@pop02.odn.ne.jp

→ サークルMS「隅田金属」
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2018.05
07
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23:56
Category : 未分類
 マルクス生誕200年記念『マルクス・エンゲルス』はキチンと面白い映画でした。アレな芸術映画とかルポ映画とは異なるドラマづくりができています。



 映画はかの森林窃盗のシーンから始まります。森林から折れた枝を集める貧民のシーン。彼らは活きた樹木の枝を折ろうとはしない。それはしてはならないと考えている。つつましやかな柴刈りです。だが、それは法的には意味はない。いずれもおなじ森林窃盗である。そこから始まります。

 時代背景は資本家による搾取が最高潮に達した時代です。その中でマルクスとエンゲルスの主張、それまでにいたらなくとも農民や職人の保護を訴えたプルードンの主張に違和感はありません。

 その点で八〇年九〇年代的な「マルクスは間違っていた」は誤りでしょう。これらは後の自由主義-市場経済万能感の中で経済成長に劣る社会主義陣営を揶揄する言い方です。でも当時の状況、人間が人間として扱われない。経営者はなんでもあり。労働法は存在しない。そんな「あゝ野麦峠」的な「人間の顔がない資本主義」においてはマルクス他の主張は自然です。その労働者保護、労の対等化の部分は、今ではどの政治的スタンスでも否定できません。

 さらにいえばマルクス・レーニン主義批判との差異もある。マルクス主義はマルクス・レーニン主義は同じ思想であるかといったものです。経済観としての労働者重視、資本家批判であるマルクス主義と、一党独裁のレーニズムは本来別個でしょう。

 いずれにせよ、当時の労働側運動でのヘゲモニーのとりあいの映画でした。博愛主義や後にマルクス主義者に「空想的社会主義」として扱われる人々と、マルクスの争いを描くものです。まあ、マルクス派による空想的社会主義って表現自体が小乗仏教なみのdisだなあと思いますけどね。

 そして不穏なシーンです。マルクスがエンゲレスから送金もらった途端にロブスター買ってくるところとか、女中さんにやけに優しげなところとか、エンゲルスの奥さんが妹が彼の子供を生みたいといっているとか。何かを暗示しています。まーそいったところです。

 あと、エンディングがこの種の映画としては型破り、マルクス以降の世界の変化を資本主義/社会主義陣営での事件、被抑圧民族解放の映像のフラッシュバックをライク・ア・ローリング・ストーンで流す。マルクス・エンゲルスの思想のそのとおりになったわけではないですが、彼らは世界を変えたわけです。



 おまけは俳優オリヴィエ・グルメですね。既述のピエール・ジョゼフ・プルードン役をしたのですが同期のW、今海幕施設課に勤務している機関幹部と顔芸がそっくりでそれが気にかかりました。

 参考までにいえば、岩波ホールにしては混んでいます。月曜日16時00分からの回ですが、15時30分にチケットを買ったときの入場番号が31でした。上映開始のときには100人程度も集まっています。平日昼間なのに「アリンコのような労働なんてクソだ」という古代ギリシアでのセミのタイプ自由市民が集ったようです。


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 上を書いて投稿したあとシャワー浴びながらふと思いついたのだけれども。

 日本でのマルクス否定は経済的不効率と統制型の社会システム批判を理由とされる。

 でも、マルクス主義はどっちかというと社会思想であって経済理論ではない、さらにそれを実現するための具体的システム設計を欠いている。現状批判としての「搾取するだけの資本家いらない」に過ぎない。

 そして、後の経済理論化や中央統制システムはロシア革命以降のレーニズムによる。

 つまり、マルクス自体は悪くないんじゃね?といえるのではないか。人間的にはあれっぽくてクズいと思うけど。

 さらにいえば、マルクス主義と対比される資本主義や自由主義にしても別に矛盾しないではないか。ケインズも景気回復による労働者を含む国民生活救済と言った点でマルクスの問題意識や主張に重なる部分はある。ハイエクの自由主義とも国家による強制や抑圧への非難といった面では同じだ。

 ある意味、社会思想史としては「マルクスからケインズへ」、「マルクスからハイエクへ」に発展した図式もできるのではないかと。

 そして一番クソなのが、経済が一番拡大するからといったヘンテコ理解での新自由主義礼賛ではないかと。あれは個人の行動に政府は手を突っ込むなといったハイエク的な「社会かくあるべし」として評価すべきであって、「最も経済規模が拡大する方法だから新自由主義は正しい」(レーガン)といった80年的理解はいびつであるしそもそも正しいとは限らない。しかもイデアリズムとしての社会かくあるべしが全く抜けている点で唾棄すべきだとね。

 もっとクソなのは、経済が一番拡大するからレッセフェールと言いながら、自分たちの仲間の利益のために年金の金を株相場に突っ込むとか、政府の力で宰相のオトモダチの学校に土地をあげるみたいな自己矛盾のアレね、「お爺ちゃんは少なくとも馬鹿と言われたことはないミクス」だと思うけどね
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Comment

非公開コメント

No title

釈迦に説法かもしれませんが、日本に特有の要素としては、ソ連邦成立を受け、「革命による天皇否定」や「朝鮮半島の植民地経営への悪影響」が現実的な可能性として危惧されたことが大きいのでしょう。
それゆえ、学術分野でのマルクス研究は見るべきものもあるにせよ、実際の社会運動と接続する場面では必要以上に警戒・弾圧されてきたとも言えます。
ことに反共宣伝は、「国体護持」および「米軍進駐」と直結していただけに、「成功しすぎた」面もあるのでしょう。

No title

> もっとクソなのは、経済が一番拡大するからレッセフェールと言いながら、自分たちの仲間の利益のために年金の金を株相場に突っ込むとか、政府の力で宰相のオトモダチの学校に土地をあげるみたいな、お爺ちゃんは少なくとも馬鹿と言われたことはないミクスだと思うけどね

そのお爺ちゃんが若い頃、満州国で国家統制型経済システムの実験をしていた「革新官僚」だったわけですが…( ̄▽ ̄)

岸信介と「満洲経営」
最近の研究動向・言説と課題
https://ci.nii.ac.jp/els/contentscinii_20170524215106.pdf?id=ART0009194288

No title

>>>搾取

>「九五式軽戦車」里帰りなるか 1億円目指し資金調達スタート

http://trafficnews.jp/post/80413

たしか、このNPOって中谷さんや石破さんや小野寺さんといった防衛相・長官経験者も参加されていましたっけ。最初に記事タイトルを見た際は寄付をしようかな、なんて考えましたが読み進めたら1口10万円なんだもの。体の良いボッタクリにしか思えないのですが。

「経済学」と「革命思想」

お邪魔します。
 マルクス経済学の目的は「モノの値段はどうやって決まるか」の解明で、「モノの値段は投入した労働によって決まる」労働価値説を採りましたが、それが19世紀の時点で「卵が先か鶏が先かの循環論だ(物価が安ければ賃金は少なくても良いが、高ければ沢山貰わないと生活できない)の批判を受け、それに反論する事ができませんでした。尚19世紀の頃は「循環論と言われたらアウト」でしたが、現代では「相関関係をきちんと解明すればセーフ」だそうです。ですからマルクスの場合は「経済学」と「革命思想」を分けて考えた方が良いのではないかと思われます。ちなみに近代経済学ではモノの値段は、「生きていくのに必須の水が安く、必須ではないダイヤモンドが高い」事から、限界効用価値(効用価値の微分)で決まるとされていますし、さらに言えば多くの要素が複雑に絡み合う経済のメカニズムは十分には解明されてはいないでしょう。
 旧ソ連の崩壊は「経済を完全に意のままにする事は不可能」という事ですが、社会主義・共産主義を嘲笑しながら経済を自分達の意のままにしようと思っている連中は、結局「同じ穴の狢」ではないかと。

No title

経済のレッセフェール(自由放任主義)と
貿易の自由貿易主義は似て非なるものですよ。

Re: No title

働かせ放題なんかレッセフェールですよね

> 経済のレッセフェール(自由放任主義)と
> 貿易の自由貿易主義は似て非なるものですよ。

「国富論」を書いたアダム・スミスの主張を再検証してみましょう

「アダム・スミスの教え」を生かしていない日本の税制
https://zuuonline.com/archives/183268

アダム・スミスの「神の見えざる手」を多分、あなたも誤解している
「自由放任でOK」なんて言っていません
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/52308

アダム・スミスは「担税力のある金持ちからしっかり税を取りましょう!いくら取りやすいからって貧乏人から取ってはダメ!」「生活必需品でなく贅沢品に課税しましょう」「国民の幸福増進を軽視する政治家=体系重視の人間はダメ!」「社会の安定のため公共事業は必要」などなど、「自己責任」「規制緩和」ばかり主張する現代日本の新自由主義者たちとは真逆の主張をしています。

アダム・スミスが安倍総理と安倍友を見たら「体系重視の人間と腐敗した徴税請負人の集まり!全員悪人!」って、厳しく非難するかも知れませんね。

レッセフェールだけでなく自由貿易主義もクソかもしれない

自由貿易は私たちを幸せにするのか?
https://bookmeter.com/books/11253177

面白い本でしたよ。未読の方はぜひ!

Re: レッセフェールだけでなく自由貿易主義もクソかもしれない

そもそも労働そのものがクソ
「働くなんて古代ギリシアじゃダサいこと」
TBSラジオクラウド、アフター・シックス・ジャンクション 2018.05.07分
「特集コーナー:『こんなに違うよ!現代日本と古代ギリシャ ~働くなんて、古代ギリシャではダサイこと~』特集」


> 自由貿易は私たちを幸せにするのか?
> https://bookmeter.com/books/11253177
>
> 面白い本でしたよ。未読の方はぜひ!

No title

> そもそも労働そのものがクソ
>「働くなんて古代ギリシアじゃダサいこと」

これは一本取られましたw

そう言えば10年前、麻生首相(当時)が「世界中、労働は罰だと思っている国のほうが多い。旧約聖書では神がアダムに与えた罰は労働。旧約聖書、キリスト教、イスラム教、足したら世界の何割だ。七割くらいの宗教の哲学は、労働は罰だ。日本では神々が働いていたから労働は善だ」ぅて発言して、案の定キリスト教関係者の反発を買ったことがありましたなw

https://blog.goo.ne.jp/sinceke/e/716ab7f8f65eb2a8d5a7ec668b17c7e0

旧約聖書は労働そのものを否定しているわけではありませんが、どこぞのブラック企業みたいに労働を至高の行為と位置付けて、社員に長期間ただ働きをさせることを是とはしていないw

だいたい、上のブログでも指摘してますが、「日本人は勤勉」というのも、明治維新後に作られた「新しい伝統」なんですよね。「土俵は女人禁制」「神前結婚式」と同じ。

「働くなんて古代ギリシアじゃダサいこと」でググったらこんな意見がありました

> しかし古代ギリシャの「働くなんてダサい」という考えは、奴隷による労働が根底にあるから成り立ったのであって、その労働観をあまり賛美すると「じゃああなたは奴隷制を肯定しているの?」ってなる。

https://www.trendsmap.com/twitter/tweet/993418676232536064

AI、無人機が準備運動を始めましたw

Re: 「働くなんて古代ギリシアじゃダサいこと」でググったらこんな意見がありました

それも番組(録音)の中でも触れているのです

まあ、ヘシオドスの『労働と日々』が「農業はエライ、スゴイ」本ですけど
あの労働って古代奴隷制で奴隷を使うことだから今のニュアンスとは違うとかも聞きますね
30年くらい前に呉智英がそう言ってたと思います、ヘシオドスは読んだこと無いですけど


> > しかし古代ギリシャの「働くなんてダサい」という考えは、奴隷による労働が根底にあるから成り立ったのであって、その労働観をあまり賛美すると「じゃああなたは奴隷制を肯定しているの?」ってなる。
>
> https://www.trendsmap.com/twitter/tweet/993418676232536064
>
> AI、無人機が準備運動を始めましたw

No title

> それも番組(録音)の中でも触れているのです

それでは、最初から聞き直してみますわ!

> あの労働って古代奴隷制で奴隷を使うことだから今のニュアンスとは違うとかも聞きますね

19世紀以降、奴隷制度が世界から急速に姿を消していったのは、人権思想の普及もさることながら、工業化の進展により「労働者に賃金を払って商品を買ってもらった方が儲かる」という政府や金持ちの思惑もあったわけです。

日本が長らくデフレに喘いでいるのは、とにかく人件費を抑えたい、コストを削減したいと言うブラック経営者やその意を受けたアホな政治家・官僚が跋扈しているからだと思います。まんま奴隷主の発想じゃないか…しかも、低賃金で使い潰すだけだから、古代ローマのパトロヌスよりダメじゃん…orz

No title

古代ギリシャと現代文化比較論~古代ギリシャでは働くなんてダサいこと~特集 by藤村シシン
https://www.youtube.com/watch?v=oXlOJwk7DZw

改めて聴きましたがやっぱり面白いw

あー、古代ギリシャ流の服装をしている藤村さんたちの姿が見えないのが残念w

きっかけは「聖闘士星矢」 ギリシャ神話に人生捧げる藤村シシンさん
https://withnews.jp/article/f0160424001qq000000000000000W02o10101qq000013160A

一介の聖闘士星矢オタからギリシャ神話研究家に成り上がった藤村さんはオタクの鏡!w

で、藤村さんの旧ブログでの自己紹介を読んで再び爆笑w
http://www12.plala.or.jp/ttmoon/others/about/prof.bak

労働について

再びお邪魔します。
 人類の長い歴史の中で労働は「食っていくために"塩方無く"するもの」「昨日と同じ生活を明日も続けていくためのもの」でした。「発展途上国に援助をして農業の生産性を二倍にしたら、半分しか働かなくなった。」という事例もあるそうです(古代ギリシャのようにその分学問や芸術をするということも無く)。近代になってプロテスタンティズム的禁欲や「労働即仏行」といった「労働それ自体を目的化する」思想が生まれ、それによって資本主義が生まれました。となれば社会主義や共産主義はその延長線上のもので、「能力に応じて働き必要な報酬を受け取る」共産主義は「労働を純然たる自己実現及び社会参加の手段とする体制」とも考えられますが、「道徳といった皆に良い事では動かない、結局己の損得でしか動かない、少なくとも他者にそれを期待できない人の性」が克服できない以上は資本主義の先には進めないのではないかと思われます。イスラエルのキブツのように「一定以上密な関係の範囲内」といった限定的な条件下で成功する場合はあるでしょうが。

No title

ユーロコミュニズムなんかその証左だと思うんですよ。

そう考えると55年体制での日本の左派が右派に対峙する時の仕方にも(結果論ですが)問題があったのではなかろうか、とも。

No title

私見ですが、ネット右翼に経済語らせても、ついこの間までTPP亡国論とかぶち上げていた三橋貴明みたいに、だいたい大きい政府による保護貿易主義で規制緩和反対みたいな経済左派的な論調が多いですね。
(中には体罰肯定・愛国教育論者だけど「貧困家庭にも教育の機会を与える為に公教育に予算を重点配分するべし」なんて人も見た事あるし。)