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- » 2023 . 03
Category : ミリタリー
中国空母は、着艦作業しながらの発艦作業が難しいようだ。香港誌『鏡報』に陳戦星さんが「『瓦良格』二度海試料練翅」※ とする記事を書いている。ワリヤーグ改め瓦良格について、設計上にある問題を指摘する内容である。この記事でもっとも注目すべきは、ブラスト・リフレクタ設置位置について問題点を指摘する部分である。
陳戦星さんは、ブラスト・リフレクタ設置位置と着艦帯が競合する位置にある点を指摘している。ブラスト・リフレクタは艦載機発艦線に置かれる。発艦線は左右2本を設定している。そのうち、左舷側に設定された発艦線は着艦帯と交差している。発艦位置と目されるブラスト・リフレクタは、発艦線末端と中間に2ヶ所設置されている。末端部ブラスト・リフレクタは着艦帯では丁度真ん中である。発艦線中間部にあるブラスト・リフレクタも、着艦帯右端にかかる位置にある。つまり、着艦作業を実施中には、左側発艦線は利用できない。

カタパルトおよび運用関係関連のレイアウトについて「『瓦良格』二度海試料練翅」掲載写真を参考に作図した
右舷側発艦線は、着艦作業と同時に運用できるものの、能力は制限される。右舷側発艦線は100m程度しかない。発艦線としては、200mある左舷側がメインであり、右舷側はサブである。艦載機能力を一杯に引き出すためには左舷側が必要である。しかし、着艦作業を行なっているときには左舷側は使えない。着艦作業と同時に運用できる右舷側では、機体を選ぶが、軽荷状態でなければ運用できない。
瓦良格は、着艦作業と発艦作業は同時実施できない。この点、陳戦星さんは、左舷発艦線設計を「『瓦良格』現設計重要欠陥」と評している。だが、それは酷である。どのようにデザインしても、発艦長確保と着陸帯確保は並立しない。仮に、両発艦線中央部に、着艦部と干渉しないように発艦線を設定してもあまり意味はない。今度は航空作業準備エリアに干渉してしまう。着艦した航空機を着陸帯から引き出し、あるいは、エレベータで格納庫から持ち上げた機体を発進位置に持っていく動線に引っかかるのである。
結局は、旧ソ連が空母用カタパルトを実用できなかった点が原因である。スキー・ジャンプで補おうとしても、能力は限定される。固定翼機を運用するためには、発艦長は100m以上を確保する必要がある。それでも離着艦同時運用も満足にできないのである。
陳戦星さんは、飛行甲板面積が有効利用されていない点も指摘している。瓦良格はニミッツ級に対し甲板面積で9割を確保しているものの、航空機駐機数が6割しか確保していないと指摘している。しかしこれも、発艦部を長く取らなければならない結果であり、設計に責任を負わせることは妥当ではない。
旧ソ連系空母は、相当に機能が制限されるのである。旧ソ連はカタパルト、固定翼AEW、専用艦載機を実用できなかった。いまもカタパルトを持たない中露空母は、陳戦星さんが指摘したように、離着艦同時運用にしても、甲板利用効率にしても相当に劣っている。AEWを持たない点も、対空警戒や、防空戦闘での航空機運用に相当差し支えとなるだろう。陸上機を転用した艦載機も能力が制限される。迅速な離着艦はできず、AEWによる支援はあまり期待できず、艦載機にも問題がある。そもそも搭載機数も少ない。中露空母は実用品ではなく、威信財である。能力は実用試験用程度と見積もるべきである。
※ 陳戦星「『瓦良格』二度海試料練翅」『鏡報』412(2011.11,鏡報文化出版)pp.72-73.
陳戦星さんは、ブラスト・リフレクタ設置位置と着艦帯が競合する位置にある点を指摘している。ブラスト・リフレクタは艦載機発艦線に置かれる。発艦線は左右2本を設定している。そのうち、左舷側に設定された発艦線は着艦帯と交差している。発艦位置と目されるブラスト・リフレクタは、発艦線末端と中間に2ヶ所設置されている。末端部ブラスト・リフレクタは着艦帯では丁度真ん中である。発艦線中間部にあるブラスト・リフレクタも、着艦帯右端にかかる位置にある。つまり、着艦作業を実施中には、左側発艦線は利用できない。

カタパルトおよび運用関係関連のレイアウトについて「『瓦良格』二度海試料練翅」掲載写真を参考に作図した
右舷側発艦線は、着艦作業と同時に運用できるものの、能力は制限される。右舷側発艦線は100m程度しかない。発艦線としては、200mある左舷側がメインであり、右舷側はサブである。艦載機能力を一杯に引き出すためには左舷側が必要である。しかし、着艦作業を行なっているときには左舷側は使えない。着艦作業と同時に運用できる右舷側では、機体を選ぶが、軽荷状態でなければ運用できない。
瓦良格は、着艦作業と発艦作業は同時実施できない。この点、陳戦星さんは、左舷発艦線設計を「『瓦良格』現設計重要欠陥」と評している。だが、それは酷である。どのようにデザインしても、発艦長確保と着陸帯確保は並立しない。仮に、両発艦線中央部に、着艦部と干渉しないように発艦線を設定してもあまり意味はない。今度は航空作業準備エリアに干渉してしまう。着艦した航空機を着陸帯から引き出し、あるいは、エレベータで格納庫から持ち上げた機体を発進位置に持っていく動線に引っかかるのである。
結局は、旧ソ連が空母用カタパルトを実用できなかった点が原因である。スキー・ジャンプで補おうとしても、能力は限定される。固定翼機を運用するためには、発艦長は100m以上を確保する必要がある。それでも離着艦同時運用も満足にできないのである。
陳戦星さんは、飛行甲板面積が有効利用されていない点も指摘している。瓦良格はニミッツ級に対し甲板面積で9割を確保しているものの、航空機駐機数が6割しか確保していないと指摘している。しかしこれも、発艦部を長く取らなければならない結果であり、設計に責任を負わせることは妥当ではない。
旧ソ連系空母は、相当に機能が制限されるのである。旧ソ連はカタパルト、固定翼AEW、専用艦載機を実用できなかった。いまもカタパルトを持たない中露空母は、陳戦星さんが指摘したように、離着艦同時運用にしても、甲板利用効率にしても相当に劣っている。AEWを持たない点も、対空警戒や、防空戦闘での航空機運用に相当差し支えとなるだろう。陸上機を転用した艦載機も能力が制限される。迅速な離着艦はできず、AEWによる支援はあまり期待できず、艦載機にも問題がある。そもそも搭載機数も少ない。中露空母は実用品ではなく、威信財である。能力は実用試験用程度と見積もるべきである。
※ 陳戦星「『瓦良格』二度海試料練翅」『鏡報』412(2011.11,鏡報文化出版)pp.72-73.
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