- 2022 . 12 «
- 1
- 2
- 3
- 4
- 5
- 6
- 7
- 8
- 9
- 10
- 11
- 12
- 13
- 14
- 15
- 16
- 17
- 18
- 19
- 20
- 21
- 22
- 23
- 24
- 25
- 26
- 27
- 28
- 29
- 30
- 31
- » 2023 . 02
Category : 未分類
男にはつらい映画だとわかっていても見なければならないことがあります。
岩波ホールで『ニューヨーク公共図書館』を見てきました。ホント、3時間25分の恐怖でした。ノンフィクションとしての面白さがあり、寝たりすることもなくはしませんがやはり長いものです。
ですが、あることに気づいてからはそれが吹っ飛びました。
それは「いいこと映画ではない」ことです。「ほんわか」した「いいこと映画」ではなく、組織が生き残りを掛けて変化し、生き残っていく話であるということです。
その点で宣伝ほかと映画の本質は完全に異なっています。この映画についての最大の発見はそれでした。
■ ニューヨーク図書館は偉い! の事前紹介
事前の映画紹介は、ほんわかしたいい話です。宣伝等の紹介ではニューヨークの図書館が頑張ってる。偉い。就職援護やっている。偉い。新しいアメリカ人のためのコーナーとしてグリーンカードのとり方の本おいている。偉い。モバイルWIFIでインターネットの普及やら年寄りにパソコンやダンスを教えている。偉い。そんな内容です。
でも、実際の内容は「ニューヨーク図書館がどう生き残るか」です。映画は現場と幹部職員の会議シーンを行ったり来たりします。そして、そこでのたしかに現場のシーンはほんわかしたいい話です。対してもう一つの幹部職員の会議のシーンは「如何に市から金をぶっこ抜くか」といった話に終始しています。
幹部会議のシーンをみれば「市民のためのいいこと」も組織が生き残るための手段にみえます。市民を図書館の味方につける、マイノリティを図書館の支持者とする、将来の有権者の子供を図書館のファンにする。そうともとれるわけです。実際にそうなのでしょう。
もちろん、やっていることはいいことです。世間の人の役に立つことをしています。その点で悪いことしているといいたいわけでも、奴らは銭ゲバといいたいわけでもありません。
■ 政府自治体の図書館じゃないからね
なぜそうなるか?
ニューヨーク図書館は政府施設ではないためです。あくまでも公共図書館のわけです。親方星条旗ではない。ほっておいてもお金はもらえないというわけです。
変化し、努力しなければ生き残れない。それが新しいサービスを提供する動機となるわけです。市民を図書館の味方につけなかれば滅びる。あるいは衰微する。そのような危機感があるわけです。
ですから、直接に日本の図書館と比較できるわけではない。ニューヨーク公共図書館を出して「アメリカの図書館は」「対して日本の図書館は」の出羽守は通用しないということです。
■ 「議会図書館あるじゃん」
なお、他にも勘違いしやすい要素もあります。米国最大の、あるいは米国図書館の首席であるといった理解です。
その規模や建築の格式、稀覯書から日本人観客はそう勘違いしやすいでしょう。ジェファーソンの草稿といったあたりです。
でも、米国図書館の筆頭はあくまでも米議会図書館です。ニューヨーク公共図書館ではありません。ハーバード大学やカリフォルニア大学もあるわけです。該当するのは広尾の都立中央図書館あたりでしょう。
■ 黒人文化研究所ほか
黒人問題のウエイトが大きいことも特徴でしょう。現場のシーンで黒人問題は歴史的な奴隷制度を含めて4回でてきます。セネガルの奴隷で大儲けする王族と奴隷防衛機に反対する宗教指導者、黒人文化研究所の資料が奴隷解放運動で裁判資料として使われた、カール・マルクスによる奴隷制度評価とリンカーンへの書簡、そして教科書問題です。
一番最後の教科書問題は日本と同じです。かつて奴隷制度があったことを隠したい意図がそこにある。マグロウビルの教科書には「黒人はアフリカから労働のためにやってきた」とある。その記述は英国からの年季奉公人の扱いよりも軽い。そのような内容です。アメリカ版の扶桑社教科書みたいなものなのでしょう。
ちなみにその教科書はテキサスで売れているとのこと。日本でもアレ系の市長やアレ系の議会やアレ系の文部副大臣が力を発揮できる地域でアレ系の教科書が押し付けられるのと同じでしょう。
■ 音楽におけるシミュラクラ効果で狼と香辛料になってしまう
どうでもいい内容とすれば、木管楽器の演奏会ですかね。図書館の演奏会で演奏家4人が中世っぽい音楽をピーヒャラしているのですが、どっかで聞いた感じかと思ったら狼と香辛料のBGMそっくりという。それに気づくと以降は香辛料にしか聞こえないという。
なんといいますかね。シミュラクラですか。毒蝮が出囃子に「WHIPPED CREAM 」を使われた結果、元の音楽の価値は完全に上書きされる「毒蝮三太夫のミュージックプレゼント」にしか聞こえなくなるアレですね。
21日に見に行ったのですが午前午後が混んでいるとのことで夕方6時15分の回にしました。観客は30人位、1時間前にチケット買ったら5番でした。映画が終わるのは21時50分ね。あとは背広が多いのは図書館関係者が見に来ているとかTRCあたりがチケット大量購入したのではないかと見ています。
岩波ホールで『ニューヨーク公共図書館』を見てきました。ホント、3時間25分の恐怖でした。ノンフィクションとしての面白さがあり、寝たりすることもなくはしませんがやはり長いものです。
ですが、あることに気づいてからはそれが吹っ飛びました。
それは「いいこと映画ではない」ことです。「ほんわか」した「いいこと映画」ではなく、組織が生き残りを掛けて変化し、生き残っていく話であるということです。
その点で宣伝ほかと映画の本質は完全に異なっています。この映画についての最大の発見はそれでした。
■ ニューヨーク図書館は偉い! の事前紹介
事前の映画紹介は、ほんわかしたいい話です。宣伝等の紹介ではニューヨークの図書館が頑張ってる。偉い。就職援護やっている。偉い。新しいアメリカ人のためのコーナーとしてグリーンカードのとり方の本おいている。偉い。モバイルWIFIでインターネットの普及やら年寄りにパソコンやダンスを教えている。偉い。そんな内容です。
でも、実際の内容は「ニューヨーク図書館がどう生き残るか」です。映画は現場と幹部職員の会議シーンを行ったり来たりします。そして、そこでのたしかに現場のシーンはほんわかしたいい話です。対してもう一つの幹部職員の会議のシーンは「如何に市から金をぶっこ抜くか」といった話に終始しています。
幹部会議のシーンをみれば「市民のためのいいこと」も組織が生き残るための手段にみえます。市民を図書館の味方につける、マイノリティを図書館の支持者とする、将来の有権者の子供を図書館のファンにする。そうともとれるわけです。実際にそうなのでしょう。
もちろん、やっていることはいいことです。世間の人の役に立つことをしています。その点で悪いことしているといいたいわけでも、奴らは銭ゲバといいたいわけでもありません。
■ 政府自治体の図書館じゃないからね
なぜそうなるか?
ニューヨーク図書館は政府施設ではないためです。あくまでも公共図書館のわけです。親方星条旗ではない。ほっておいてもお金はもらえないというわけです。
変化し、努力しなければ生き残れない。それが新しいサービスを提供する動機となるわけです。市民を図書館の味方につけなかれば滅びる。あるいは衰微する。そのような危機感があるわけです。
ですから、直接に日本の図書館と比較できるわけではない。ニューヨーク公共図書館を出して「アメリカの図書館は」「対して日本の図書館は」の出羽守は通用しないということです。
■ 「議会図書館あるじゃん」
なお、他にも勘違いしやすい要素もあります。米国最大の、あるいは米国図書館の首席であるといった理解です。
その規模や建築の格式、稀覯書から日本人観客はそう勘違いしやすいでしょう。ジェファーソンの草稿といったあたりです。
でも、米国図書館の筆頭はあくまでも米議会図書館です。ニューヨーク公共図書館ではありません。ハーバード大学やカリフォルニア大学もあるわけです。該当するのは広尾の都立中央図書館あたりでしょう。
■ 黒人文化研究所ほか
黒人問題のウエイトが大きいことも特徴でしょう。現場のシーンで黒人問題は歴史的な奴隷制度を含めて4回でてきます。セネガルの奴隷で大儲けする王族と奴隷防衛機に反対する宗教指導者、黒人文化研究所の資料が奴隷解放運動で裁判資料として使われた、カール・マルクスによる奴隷制度評価とリンカーンへの書簡、そして教科書問題です。
一番最後の教科書問題は日本と同じです。かつて奴隷制度があったことを隠したい意図がそこにある。マグロウビルの教科書には「黒人はアフリカから労働のためにやってきた」とある。その記述は英国からの年季奉公人の扱いよりも軽い。そのような内容です。アメリカ版の扶桑社教科書みたいなものなのでしょう。
ちなみにその教科書はテキサスで売れているとのこと。日本でもアレ系の市長やアレ系の議会やアレ系の文部副大臣が力を発揮できる地域でアレ系の教科書が押し付けられるのと同じでしょう。
■ 音楽におけるシミュラクラ効果で狼と香辛料になってしまう
どうでもいい内容とすれば、木管楽器の演奏会ですかね。図書館の演奏会で演奏家4人が中世っぽい音楽をピーヒャラしているのですが、どっかで聞いた感じかと思ったら狼と香辛料のBGMそっくりという。それに気づくと以降は香辛料にしか聞こえないという。
なんといいますかね。シミュラクラですか。毒蝮が出囃子に「WHIPPED CREAM 」を使われた結果、元の音楽の価値は完全に上書きされる「毒蝮三太夫のミュージックプレゼント」にしか聞こえなくなるアレですね。
21日に見に行ったのですが午前午後が混んでいるとのことで夕方6時15分の回にしました。観客は30人位、1時間前にチケット買ったら5番でした。映画が終わるのは21時50分ね。あとは背広が多いのは図書館関係者が見に来ているとかTRCあたりがチケット大量購入したのではないかと見ています。
スポンサーサイト
Trackback
Comment
毒蝮三太夫のミュージックプレゼント好きなんですよ
00:49
やれやれ
URL
編集
カメラを止めるな!の様に後から公開館が増えたら考えます。
で、今回は「毒蝮三太夫のミュージックプレゼント」が好きなんですよ。10年ほど前、通勤途中にあるドラッグストアで公開生放送やるよとポスター出ていたので会社を半休して見に行きました。10分前に来て早すぎたかな?と思ったら既に汚えババア相手に楽しくやってましたよ、年老いたアラシ隊員が。
それと意外なほどギャラリーが少なかった...20人位。面白かったなあ、人生最高の思い出かも知れない。同番組の本番組、大沢悠里のゆうゆうワイドの出囃子の「はるかな願い」がゆうゆうワイドにしか聞こえないのと一緒ですね。今は土曜日だけの放送ですが、当時平日しか聞けなかった番組を聞くのが楽しみでしたね。今はラジコで後からでもタイムフリーで聞けますけど。
19:05
ねこ
URL
編集
神保町は国立情報学研究所があって一橋講堂で図書館絡みのフォーラムをやるので、在京、おのぼりさん問わず図書館員はよくうろついてますよ。
Re: タイトルなし
19:47
文谷数重
URL
編集
5年くらい前にこれも3時間超えの修道院映画やったときには御宗旨の方で100人以上の行列ができて以来の「関係者が多い映画」かなと
NPO経営じゃないですけど、やっぱ広尾に近い感じですね。東京には国会図書館があるからアピールしがたい。だから広尾は起業とかビジネスで特色をだそうとしているわけで。
> 「公共」って名前が誤解を招きやすいんですけど、NPOが運営してるんです、と説明しておくと行動の動機づけが違うことが多少分かりよいかもしれませんね。おっさん幹部が「こういうネタは行政にウケがいいんだ」みたいなこと言うとこなんかはニヤニヤできました。
>
> 神保町は国立情報学研究所があって一橋講堂で図書館絡みのフォーラムをやるので、在京、おのぼりさん問わず図書館員はよくうろついてますよ。
20:16
ねこ
URL
編集
神奈川県立川崎なんかも本館や横浜市立を横目に見ながらって感じがありますね。
Re: タイトルなし
20:49
文谷数重
URL
編集
あと、別の先生から言われた「BLの利用者資格とっとけ」も。出版マンガ同人だとボーイズラブだけど図書館なら…
> 神奈川県立川崎なんかも本館や横浜市立を横目に見ながらって感じがありますね。
自分が利用した例なら宮城県立と仙台市立も中身が明白にズレてました。普請は多賀城の東北歴史博物館含めてガラスとアルミ多用でそっくりですけど
> あの人種は出自が限られてるからじゃないですか。あすこらで石抛げてみてください。筑波の図書館学科(昔の図情大)出か慶應の図書館学科出にあたります。石投げ返してくる方が慶應です。
>
> 神奈川県立川崎なんかも本館や横浜市立を横目に見ながらって感じがありますね。
23:02
ねこ
URL
編集
県立と市立は立地からして棲み分けますよね。宮城もそうかもしれませんが大体県立は辺鄙なとこ。で仙台は旧帝のもあるのが強い。