RSS
Admin
Archives

隅田金属日誌(墨田金属日誌)

隅田金属ぼるじひ社(コミケ:情報評論系/ミリタリ関係)の紹介用

プロフィール

文谷数重

Author:文谷数重
 零細サークルの隅田金属です。メカミリっぽいけど、メカミリではない、でもまあミリタリー風味といったところでしょうか。
 ちなみに、コミケでは「情報評論系」です

連絡先:q_montagne@pop02.odn.ne.jp

→ サークルMS「隅田金属」
→ 新刊・既刊等はこちら

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
Powered by fc2 blog  |  Designed by sebek
2012.02
18
CM:0
TB:0
13:00
Category : ミリタリー
 中国に対するスクランブル措置をもって、日本への脅威とするには無理がある。

 「航空自衛隊F35の導入と日本の防空態勢」※1http://www.data-max.co.jp/2012/01/11/f35_hk_1.htmlは、濱口和久さんによるブログ記事である。濱口さんの記事は、中露航空戦力が活発に活動している点を提示している。また、日本と中露でのステルス機導入についても言及している。日本が保持していた防空体制での優位が崩れるのではないか、とする問題点を取り上げようとする、意欲的な記事である。

 しかし、防空識別圏に入ったことだけで、中国による脅威とみなす点は、行き過ぎである。濱口さんは中国機動向について
 最近の中国機は情報収集能力や電子線能力を強化し、東シナ海では日本側の緊急発進の対象となる防空識別圏(ADIZ)を越えて、日中中間線付近まで侵入してくるケースが増えている。
 濱口和久「航空自衛隊F35の導入と日本の防空態勢」http://www.data-max.co.jp/2012/01/11/f35_hk_1.html

と述べている。意図してか、あるいは変換ミスか分からないが「侵入」と表現している。全般的に、中国機が日本防空識別圏に「侵入」し、日中中間線付近まで接近することを問題視する雰囲気である。

 しかし、防空識別圏は略公海上に設定されており、日本領域ではない。公海上で日本が勝手に設定した線に過ぎない。公海上であるため、どの国の航空機であっても、自由に行動できる。もちろん、中国が航空機を運用するのは自由である。

 また、中国航空機は、挑発等を行なっていない。2010年4月、中国艦隊が琉球弧を通過した時、中国艦載ヘリは護衛艦に異常接近、危険である挑発行為に及んだ。しかし、いまのところ、陸上機は危険な行為は行なっていない。日本側防空識別圏に入った中国機は挑発行為は行わず、日本領域に過度に接近するような行動※2はしていない。

 防空識別圏や、日中中間線云々は、むしろ日本側にとって都合が悪い内容である。海自のP-3Cは、日中中間線を超え、東シナ海中国ガス田を毎日偵察※3している。もちろん、国際法的には全く問題はない。しかし、防空識別圏云々、日中中間線云々をもって脅威とみなすなら、日本による偵察は、「侵入」する深さ、頻度とも上である、脅威としても上になってしまう。

 スクランブルは領空侵犯対処と言われる。しかし、スクランブルの回数は領空侵犯の回数ではない。※4 ほとんどが公海上で中露航空機動向を観察しておわりである。領空侵犯そのものは例外にすぎない。

 スクランブル増加は、深刻な問題ではない。航空自衛隊によるスクランブルは、ここ5年ほどで増加している。日本領空への挑発的な接近はなされていない。中国には、日本領空をあえて侵犯する意図は見られない。

 もちろん、スクランブル増加は、周辺国航空戦力が活発に行動している証拠である。特に日本は、中国との間でゲームを行なっている。沿岸域や外洋域で、日本側が持つ圧倒的なアドバンテージを見せつけるためにも、航空自衛隊の維持整備には力をそそぐ必要はある。




※1 濱口和久「航空自衛隊F35の導入と日本の防空態勢」http://www.data-max.co.jp/2012/01/11/f35_hk_1.html

※2 冷戦期であれば、沿岸部偵察のために、米ソは領空ギリギリを飛行していた。外務省発表によれば、最近でも、ロシア機はたまに領空侵犯をする。軍事的には大した脅威ではないが、日本の主権を犯す行為である。また米国も、今日でも、米軍機は中国領域ギリギリまで近接している。2001年には、米EP-3は中国防空機と接触事故を起こし、海南島に緊急着陸した件は、記憶に新しい。

※3 「解放軍記者:日本の哨戒機、春暁ガス田に毎日飛来」http://japanese.china.org.cn/politics/txt/2011-06/16/content_22800019.htm

※4 たとえば、元産経新聞外信部長の経歴もある前田徹さんも、スクランブルと領空侵犯を混同している。
前田徹「政権交代で夢見た“日中蜜月”と副作用」 http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20120128/frn1201281425001-n1.htm
スポンサーサイト

Comment

非公開コメント