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隅田金属日誌(墨田金属日誌)

隅田金属ぼるじひ社(コミケ:情報評論系/ミリタリ関係)の紹介用

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文谷数重

Author:文谷数重
 軍事ライターの文谷です
 コミケでは隅田金属ででています。評論情報です。

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2022.03
03
CM:6
TB:0
11:27
Category : 未分類
 まあ、あさま山荘事件と同じで戦争はエンタメだ。だから一日中毎日見ているのも理解できないわけではないのだが。

 それに齧りついている連中を見ているとね

・ 「モスクワから700kmのキエフも落とせないロシア軍が7000kmの『北海道に上陸してくる(JSM一味)』わけはないだろう」とか
・ 「『ミストラル級がロシアに引き渡されれば日本にとって脅威です(JSF)』とか言ってたなあ」とか
・ 「『情弱マカーキ』とか、当時でも『情弱』って死語使って悦にいってたセルフロシア大使館の高町シアさんも
   この状況となると『ウクライナの発表は大本営発表』しか言えないんだな」とか
・ 「高町発言をみていると『結局、ミストラルは期日通りどころかロシアに引き渡されなかったよね』とか
   『艦船本体と資金を占有しているほうがどう考えて強いのにねえ』とか己の以前の感想が想起されるなあ」とね

 なんつーかなあ、反面教師だよねと。あさま山荘事件と同じで見ていても具体的に得るものはあんましないし、細部ばっか見てるから全体を見誤るのだよねとは思うもんだ。
 

■ 徳に背くので国内に向けて説明できない

 それはさておき、中国がロシア擁護からはなれつつあるのには「やっぱそうなるよね」と。国連総会でのロシア批難に中国は棄権を投じた。外交部の王毅部長は従来の立場からの転換を図っている。

 これは損得計算と理解されている。中国はロシアを支えると損をするから転換したといった見立てだ。

 もちろん、その観点もあるだろう。

 ただ、それとは別に徳の問題もあるだろうと見ている。為政者としての徳目からロシアの不正は支持しえないといった行動原理が影響したものではないか。己はそう見ている。

 中国の政治選択を理解するには行動原理としての徳があるのではないかと疑っている。正確に言えばほぼ確信している。

 これは普遍的価値観としての自由や民主主義とはやや異なる。政者正也、「政は正なり」といった古典的価値観が継続したものだ。

 社会、文化的に「為政者=士大夫はそれに従わなければならない」と考えられている。だから中国は露骨なことはできない。

 だから今のロシア侵攻については無名の師なので流石に味方はできない。そうすると指導者-為政者の階層や、知識-読書階級、人民-老百姓から不徳であると批判されてしまう。冷戦期の米国のように敵味方の論理で怪しい独裁政権を推せない。それはやりにくい構図がある。

 それをするにはよほどの理屈がいる。「ロシアに使嗾されたベトナムが当時唯一の衛星国であったカンボジアを侵略した、だから侵略されたポルポトを支援する、ベトナムを懲罰する」みたいなアクロバティックな理屈を持ち出し、それを国内に認めさせる、あるいはベトナム懲罰には日米にも認めさせる必要があるわけだ。

 その点で中国には相当に信用できる要素はある。

 逆に、普遍的価値観としての自由や民主主義とはやや異なる起源となるが儒教的徳目としての人道主義も期待できる。たとえば外交や内政における總理としての周恩来の政治判断はまったくそれだ。*

 以前の日本はそれを承知していた。そのため阿吽の呼吸で行動できた。だから「中国は結局のとこと国際法は無視しないよ、だから東海防空識別圏を作っても撃墜なんかしない」よ判断できたわけだ。

 もちろん、今の日本は相当怪しいけどね。だから中国が軍事的な隙をついて尖閣に上陸してくるとか、台湾への武力回収を始めるとか本気で言い出すやつが増えているわけだ。


■ 何かを咎めだてする気はないけれども

 まあ軍事趣味者は細部に興味がいって全体方向、例えば構造とか来歴にはあまり興味は行かないよねとはかねがね思っている。

 その好例であるなといった発言を見かけた。

第52北大路機関@HARUNAKURAMA
国際法に詳しい方に聞きたいのですが
ESS国連緊急特別総会の決議は安保理決議の様に法的拘束力を持つものでしょうか
非難決議や国連防護軍派遣
国連憲章上の総会決議とは違い,ESSは総会手続き規則で安保理からの授権を受けての招集ですので,結果的に安保理決議を代行する権限があるとも解釈できます
https://twitter.com/HARUNAKURAMA/status/1499050398698520576


 疑問解決の方向性として「国際法に詳しい人に聞きたい」といった部分で、やはり趣味者としてメカニズム細部に興味が向いているなあと。軍事外交安保の全体に通底しているのだけれども「国際法の細部をみればそれがわかる」といった発想があるよねと。

 ただ、それよりも「総会は何ができるのか」といった観点で見るべきではないか。

 そこからすれば「たぶん、総会だから何でもできる、男を女にもできる」に行き当たるものではないかとね。組織は自治機能を持ちその最高機関であるわけだから。

 実際に総会決議で常任理事国は入れ替えられている。71年のアルバニア決議はそれだからねえ。

 そこでなんというか、国際法の細部を見て解決するというのは、よくある武器の性能を見て戦争の帰趨を判断しようといったミクロ的、模型趣味や写真趣味の方に多いアプローチだと思った。

 もちろん、北大路さんに対して敵対感覚も悪意もないし、何かを咎めだてする気はありません。お気を悪くされる内容とは思うけど、ご本人ではなくそのアプローチに対しての批評ということで。


* もちろん西欧の普遍的価値観とは異なる。「具体的に誰かはわからないけど、この盗賊5人の中で誰か一人が女性を惨殺したのは間違いないんだから、『とりあえずは一味の頭が殺したことでそいつ死刑』でも構わないよね、社会の平穏安定から『特定できないから全員無罪』とか『証拠裁判主義』、『財形法的主義』とか理屈を持ち出すのは為政者失格だよね」みたいなところはある。
  ちなみに、これは中国の裁判ではなく江戸時代に荻生徂徠が言ったことね。

** 咎めだてする気分があるのは軍事趣味界隈の国際法屋だよねえと。国際法なんて民法みたいなもので、如何に利用するかの部分が大きいのに、国家の外交安保をコントロールする不磨の大典であるように扱っているとか、米英が自分の都合にあわせてコネクリだして前例ともならず当然ながら膾炙にも至っていない外国への軍事介入ほかのアクロバティックなロジック*** を「国際法の常識です」みたいに扱っているのはね。

*** 米英の実務者がそれを言うならわかるんだよね。本来なら軍事介入できない外国に軍事介入する必要性がある、またはそれをすすめるのが仕事だから。でも、日本人が米国当局と自己同一化して無批判に「それが正解」と言い出すあたりはねえ。外交安保に加えて国際法の一部も「米国がやっていることだから正解です」みたいな、チリ軍政下での「カソリック大-シカゴ学派-新自由主義ムラ」の安全ホショーセクタ-版なんだろうなとは思うものだよ。
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非公開コメント

No title

「力による現状変更は国際法違反」とイラク戦争の兼ね合いはやっぱり思いだしますね。

No title

国際法の法的拘束力が気になるのなら
まず当のロシアがミンスク合意を反故にしてる点との平仄を
どう取っているのかも謎。

No title

> 2022.03.03 16:06 さん

私も同感です。イラク戦争とは以下の点で異なりますが、軍事力による現状変更という点では大同小異かと思えます。

・イラクによる国連安保理決議違反
・イラクはバース党独裁

とはいえロシアの弱体化は日本にとっても利点が多いので、便乗しての経済制裁は大いにやるべきでしょうが。

薄情な私ですらUNHCRに募金しましたよ

中国の国民意識の中に、指導者に求める資質や立ち振る舞いがあるというのは同意です。指導者個人が強く意識しているかはともかく、3期目を伺う微妙な時期に政敵や国民から責められるというリスクは取れない/取らないかと。
そういう意味ではウクライナ大統領が中国に和平の仲介を頼むのは、道徳面でも国際的地位向上の面でも利があるという妙手に見えます。シリア難民を上回るという今世紀最大の人道危機を治められれば国内外のインパクトは大きい。
あと神聖三文字はもういいとして、高町露化さんは…些細なことで他人を低能だの自らもアジア人なのにサル呼ばわりだの、20世紀の2ch感覚で令和を生きる幼稚な五十男はまぁ見苦しい。
ウクライナ大本営発表を見破ったぞと連ツイRTする一方、ロシアの宣戦布告や幻の戦勝記事の狂った内容はダンマリ、知性をひけらかす割に露軍の不振の考察や今後の展望は語らず…批難や予想外すのに耐えられない心の弱さをなんとかせいと。

Re: 薄情な私ですらUNHCRに募金しましたよ

もう30年近く前の学部生時代に出た本ですけど『太平記『よみ』の可能性』そのままなんですよねえ。
江戸期に軍談として『太平記』を読み聞かせるうちに『太平記』の中の人物や思想と一体化してホントに叛乱を起こしてしまう。

コレ、高町さんはそのものではないですかね。ロシア情報というかロシア記事を翻訳してそのまま公開している。そのうちに内心がロシア人、正確に言えば高町さんがイメージするロシア人そのものとなってしまい、自分が考えるロシア人としての振る舞いを取ってしまうわけで。

今までは本人はそれで構わなかった。別段、それを責める雰囲気はなかったから。

それがロシアの侵略で葛藤が生じた。高町式ロシア人として振る舞いたい。でもそのような振る舞いは世間の反発を買う。ロシア擁護はしたい。でもできない。

今のウクライナの矛盾指摘のみの活動はその釣り合いですよ。ウクライナの矛盾を追求することで反発を買わないロシア擁護の欲求を満たしているわけなんでしょうね。

あとは、ソ連賛美を売りものにしていた連中も似たようなもんでしょう。

明らかに商売でやっていた。メカミリの一部にそれで訴求していた。でも侵攻以前に「私達の困難な時代をネタにして商売とは面の皮が厚いよね」と言われたとかがあり、そして今回ですからねえ。

そりゃ、日本で空襲体験やら原爆体験、引揚体験を面白おかしいネタにした商売するようなものです。まあ眉を潜められるのは当然かなと。

プーチンの思惑とは(多分)逆の方向に進んでいますね

「ただ、それよりも「総会は何ができるのか」といった観点で見るべきではないか。」
地球統一政府とかでもあると国際法云々も意味ある議論かも知れませんが、国連とやらはそんな組織では無いですからね。違法行為をした国そのものを取り締まったり罰する国際警察(ICPOでは無く)や軍隊があるわけでも無く、
議論しても無駄とは言い過ぎかもしれませんが虚しいですよね。そういった地球統一政府のようなものができるのはいつの日か。

それはともかくプーチンはウクライナ侵攻で何がやりたかったのか?再併合は無いしウクライナのNATO加盟防止なら侵攻しなくても方法はあった。お灸をすえたいだけなら単にロシアに不利になるだけだし金も血も流してまで得るものがあるのか?冷静に考えれば考えるほど行動の意味が分かりませんね。
で、副作用としてばらばらだったウクライナ人が団結する方向に向かったりフィンランドがNATOに加盟したいとかジョージアがEUに加盟したいとか結果を見ると逆に敵を増やして包囲網を自ら作り出しているような。
まさか小説や漫画、アニメでよく見られるような自分が悪者になって他の国の結束を強くしようとしたり悪をもって仲間内の悪を葬ろうとしているとか?勿論自分の命と引換えに。

プーチンはもっと狡猾で計算高い人物だと思っていましたが今回の侵攻とその状況を見ると何となく大軍で押し寄せたら勝手にギブアップしてくれるとでも思っていたような節すら感じる適当さ。短期決戦でどうにかなると思ったのか兵站がつきている話も出ています。
いずれ目的が分かると思いますが、パーキンソン病説も案外本当かも?と思ったりします。
普通に考えたらロシアにもプーチンにも得るものが無いどころか損しかしない侵攻なので。今の所思惑?の真逆の結果になっているのがなんとも皮肉。