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隅田金属日誌(墨田金属日誌)

隅田金属ぼるじひ社(コミケ:情報評論系/ミリタリ関係)の紹介用

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文谷数重

Author:文谷数重
 零細サークルの隅田金属です。メカミリっぽいけど、メカミリではない、でもまあミリタリー風味といったところでしょうか。
 ちなみに、コミケでは「情報評論系」です

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2022.04
01
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23:47
Category : 未分類
 「もんじゅ」のナトリウムは相当量が回収できない様子である。NHKの「『もんじゅ』使用済み核燃料 “2037年度までに搬出” 文科省 」では液体ナトリウムについて完全には回収できない。それも相当量が回収できない旨が示唆されている。
原子力機構によりますと、もんじゅの原子炉や配管には1600トン余りの液体ナトリウムが残っていて、国や原子力機構はできるかぎり回収する方針です。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220330/k10013559431000.html

「できるかぎり回収」とは「相当量が取り残される」の意味である。まずは1割以上、2~3割は取り残されるニュアンスである。*1

 その点からすれば、原発への造詣をにじませる大貫剛さんの見積もりは桁違いの誤りがあったことになる。

 なぜなら以前には原子力機構の説明をもとに「完全除去できる、取り残すのは1立米程度」との見立てを提示したためだ。


■ ナトリウムが取り切れないは「毎日新聞の大誤報」(大貫)

 これは以前に「ナトリウム抜取りは『技術的には可能』というけど高速増殖炉も核燃料サイクルも『技術的には可能』だったよね」の中で示したとおりである。

 くりかえすと大貫さんは2017年には「[「もんじゅ」の液体ナトリウム]数百トンは抜き取れない」(毎日新聞)は「毎日新聞の大誤報」(大貫)と述べていた。

 発端は毎日新聞の報道である。
高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)について、原子炉容器内を満たしている液体ナトリウムの抜き取りを想定していない設計になっていると、日本原子力研究開発機構が明らかにした。
[中略]
原子力機構によると、直接核燃料に触れる1次冷却系の設備は合金製の隔壁に覆われ、原子炉容器に近づけない。また、原子炉容器内は燃料の露出を防ぐため、ナトリウムが一定量以下にならないような構造になっている。このため1次冷却系のナトリウム約760トンのうち、原子炉容器内にある数百トンは抜き取れない構造だという。
https://mainichi.jp/articles/20171129/ddm/001/040/162000c
*2

 それに原子力機構が反論した。
これらについては、技術的に可能であるにも関わらず、あたかも原子炉容器からナトリウムを抜き出すことが極めて困難であり、かつ、あらかじめ設計上の配慮を怠ったかのような印象を読者に与えようとするものであり、更には事実関係を十分に取材せずに掲載されたものであることから、当機構としては甚だ遺憾であります。
https://www.jaea.go.jp/about_JAEA/article/2017/112902.pdf
*3

 その反論に依拠して大貫剛さんは毎日新聞への批判を展開した。
大貫剛‏ @ohnuki_tsuyoshi
何のことはない、もんじゅは廃炉を考慮していないので一次系ナトリウムの抜き取りが不可能という毎日新聞の報道は、全くの誤報だとJAEAは断言した。どういう経緯であのような記事になったのか、毎日新聞は説明するべきだ。
https://twitter.com/ohnuki_tsuyoshi/status/935919122965135360


大貫剛‏ @ohnuki_tsuyoshi
ナトリウムの抜き取りが可能な管は存在していて、その管を使っても炉内に残るナトリウムは1m3程度。一次系ナトリウムの線量は低く、人が近寄れないレベルではない。JAEAの説明が正しければ毎日新聞の大誤報ということになるが、新聞社にも説明責任はあるのではないか。
https://twitter.com/ohnuki_tsuyoshi/status/935920023415152640



■ 実際は100倍かそれ以上が残る

 しかし、液体ナトリウムの完全抜き取りは無理であった。

 21年末には少なくとも77トンが残る旨を当の原子力機構が認めた。ちなみに毎日新聞の取材の結果である。
1660トン超の冷却材ナトリウムのうち、計約77トンは既存設備で抜き取れないことが23日、機構への取材で分かった
https://mainichi.jp/articles/20211223/k00/00m/040/309000c
*4

 大貫さんの見立てである1立米程度、丁度1トンではない。少なくとも77倍の量が取り切れないことが明らかになったのである。

 しかも、いまではその量は77トンを大きく超えることが示唆されている。「もんじゅの原子炉や配管には1600トン余りの液体ナトリウムが残っていて、国や原子力機構はできるかぎり回収する方針」(NHK)とはそういうことだ。まずは1600トン中の77トンには収まるわけではないことを示している。未回収量の見積もりが77トン程度、まずは100トンに収まる程度の数字なら以前の取材に答えた経緯から「77トンを除き」と答えるためだ。

 大貫さんはざっと100倍かそれ以上に見誤ったということだ。見立てで桁違い、中でも二桁違いの誤りをしたということだ。


■ 説明責任に似た責任感を示してもらってもいいかもね

 大貫さんは毎日新聞の見立てに対して原子力機構の主張をもとに「大誤報」の語を使い「説明責任」の遂行を求めた。
JAEAの説明が正しければ毎日新聞の大誤報ということになるが、新聞社にも説明責任はあるのではないか。
https://twitter.com/ohnuki_tsuyoshi/status/935920023415152640

「ナトリウムは抜き取れない。1立米どころか数百トンが残る」といった報道に対して誤りである前提で責任を追求した。

 しかし、実際のことろは真逆であった。毎日新聞が正しく原子力機構の反論は誤りだったのだ。

 毎日新聞の報道が正しく原子力機構の説明は大間違いであったということになる。それからすれば大貫さんも責任を感じてもよいのではないか。説明責任に似たものを感じてもよいものではないかとは思うものだ。



 まあ専門家というものは桁違いの間違いはしないものだと思うけどね。わからないことについて瑣末な間違いは大した問題ではない。2倍3倍の間違いも仕方がない部分はある。でも桁違いではねえ。



*1  「『もんじゅ』使用済み核燃料 “2037年度までに搬出” 文科省」『NHK NEWS WEB』2022年3月30日 17時31分
   https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220330/k10013559431000.html
*2 「もんじゅ 設計、廃炉想定せず ナトリウム搬出困難」『毎日新聞』 2017/11/29
   https://mainichi.jp/articles/20171129/ddm/001/040/162000c
*3 「平成 29 年 11 月 29 日付毎日新聞における『もんじゅ』に関する報道について」(日本原子力研究開発機構)2017年11月29日
   https://www.jaea.go.jp/about_JAEA/article/2017/112902.pdf
*4 「もんじゅ、ナトリウム77トン抜き取れず 技術開発、今後の課題に」『毎日新聞』2021年12月23日
   https://mainichi.jp/articles/20211223/k00/00m/040/309000c
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Comment

非公開コメント

No title

「ナトリウムの抜き取りが可能な管は存在していて」が肝でしょうね
何かそういう裏技じみたものを大貫氏が知っていると思う人はその言を信用するのだろうと

大本営発表を盲信している方なのかと。

この大貫さんという方はナイーブな方なのですね。私もかなりナイーブな人の部類だと思っていますが、日本原子力研究開発機構の言うことを盲信するほどナイーブではありません。
眉毛にたっぷりツバ付けないと平気で嘘言うし大事なことは隠すし今回のことも含めて何度やらかしがあったでしょうか。ナトリウム漏れも起こらないと行ったそばから漏れるでは。
技術的に幼いのでしょう。高速増殖炉全体の設計を事細かにチェックする能力も無いし管理能力もなかった。まあそれも含めて研究するための原型炉なのでしょうけど、想定がどれもこれもお花畑で。

「それからすれば大貫さんも責任を感じてもよいのではないか。説明責任に似たものを感じてもよいものではないかとは思うものだ。」
ツイッターの書き込み自体を忘れていると思います。覚えていたら知らんぷりしているのでしょう。誰かが指摘すれば出てくるかどうか。

使用済み燃料を抜き取ってナトリウムを洗浄する作業すら時間がかかって大変なのに熱交換器の細かい配管から金属ナトリウムを取り出す作業はどれだけ大変な事か。しかも77トンとか大概ですよね。抜き取る時のことを真面目に考えてなかったのでしょう。
ナトリウムは100℃弱で溶けるとは言え配管中それ以上の温度を保持してへばりついた奴はどうやって落とすのだろうか。人が入って作業できるわけでも無さそうだし。
それと一次系ナトリウムがどれくらい放射化しているのか分からないので線量の低い根拠も知りたいですね。

解説動画

たまたま新着動画にもんじゅの事が出ていました。
ゆるい解説なので科学に疎い人でも見るだけで大雑把に理解できます。
燃料もナトリウムも外国頼みなのがもう。
これでよく自前で高速増殖炉を作ろうとしましたね。六ケ所村は日本のガラス固化技術がお粗末で動かない間に安全基準が上がるしナトリウムは論外でしょう。

高速増殖炉【もんじゅ】燃料とナトリウムの行き先が発表されました。
https://www.youtube.com/watch?v=EU7m5422-to