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隅田金属日誌(墨田金属日誌)

隅田金属ぼるじひ社(コミケ:情報評論系/ミリタリ関係)の紹介用

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文谷数重

Author:文谷数重
 零細サークルの隅田金属です。メカミリっぽいけど、メカミリではない、でもまあミリタリー風味といったところでしょうか。
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2012.04
23
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Category : ミリタリー
 佐々木孝雄さんの「旧陸軍舟艇の思い出」※で発見。半潜水艇用?に計画された陸軍簡易魚雷で、実際には水上を滑走するロケットである。

 推進力はロケットであって、ジャイロによる針路保持機構は持たない。

 初期型は、魚雷と同じ形状にされた。旋動式ロケット弾と同様に、噴出口を傾けてジャイロ安定させた設計であったが、針路は安定せず、試験発射で浜側に戻ってくる始末であったという。

 改良型は、先端部と水中部は船型とされた。佐々木さんの提案により先端部は船首のように波切りを取り付け、水中部はV字型である。水中部のV字は、先端部が狭角になっており、中部以降は広がられている。滑走効果を狙った形状だろう。

 終戦直前に改良型が半潜水艇からの発射試験を行なっている。将官を前にした試験ではあったが、発射管口が斜めになって水上に飛び出しており、発射そのものに失敗したとのこと。簡易魚雷は推力に乏しく、上向き気味になると、自重を押し出すことができず、発射管から出ることができなかった。半潜水艇にある発射管には、圧搾空気や棒による押し出し機構が備えられていなかったことが伺える。

 魚雷は高価な兵器である。今でも、対艦ミサイルよりも長魚雷が高いことはあまり知られていない。当時も、ジャイロによる針路保持や水深維持機構をもった魚雷は格別に高価であり、生産も容易ではない。※※ この点を解決するための簡易魚雷であったが、最後まで完成しなかった様子である。

 「体当たりをするよりは」程度の簡易魚雷であれば、冷走魚雷がふさわしかったのではないか。冷走魚雷は、空気タンク(これも作るのが難しいが)に圧縮空気をいれて、その空気を吹き出し、タービンを廻してプロペラを駆動する初期魚雷である。誘導機構も省略する程度に短射程であれば、冷走が正解ではないか。それなりの高速力で、200mや300m程度は馳走する。㋹(◯レ)艇のように近接爆雷攻撃をするよりも数倍優れるだろう。



 まず、半潜水艇や潜水艇なら、円材水雷でも体当たりよりは、命令する方も受ける方もマシなんだけれどもね。円材水雷(Spar torpedo)は、長い棒に爆薬をつけた極初期の魚雷であり、自走しない。伏龍隊員が手にしたアレを長くして、船から繰り出してぶつける兵器。明治海軍も初期に採用しており(公文書には、適当な棒、円材は各艦で調達しろとあった)しかし、戦争末期には顧みられていない。海軍軍事参議官で古株の爺様あたりは提案しなかったのかねえ。

※ 佐々木孝雄「旧陸軍舟艇の思い出」『船舶』(1980.11,天然社)pp64.-68.
※※ 日本製魚雷気室(酸素タンク)は、削り出しで作られていた。溶接でスパイラル・チューブ(クレラップやトイレットペーパーの芯と同じ構造)で作られた米魚雷に比較しても高価であり、大量生産は容易ではない。
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