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- » 2023 . 03
Category : ミリタリー
ロシアは北海道に攻め込んでこない。北海道に大戦力を集中しても意味はない。日本側にも利益はない。北海道に注ぎ込む防衛費、人員、装備は、ロシア正面よりも重要な中国とのゲームに注ぎ込むべきである。
ロシアは北海道に攻め込んでこない。まず、北海道に攻めこむ能力はない。また、北海道に攻めこむ必要性もない。そして、リスクが大きすぎる。
ロシアには、北海道に攻めこむ能力はない。極東ロシアに所在する陸軍力は7万5000人に過ぎない。ロシア太平洋艦隊が持つ大型水上艦は15隻であり、揚陸艦も4隻に過ぎない。航空戦力も、極東空軍は戦闘機等は250機程度にすぎない。※ 自衛隊を排除できる戦力ではない。
ロシアは北海道に攻めこむ必要性がない。ロシアが北海道を獲得したとして、どのような利益があるだろうか? 北海道を獲得しても、ロシアの戦略環境は好転しない。
冷戦末期であれば、宗谷海峡確保は戦略原潜保護に寄与する。いわゆるオホーツク聖域化である。しかし、今のロシアにとって、オホーツク海はそれほど重要ではない。潜水艦発射弾道弾の射程延伸があり、戦略原潜はバレンツ海方面に下がっている。
宗谷海峡を通じたオホーツク海諸都市やカムチャッカへの海上連絡路確保も、実益はない。貧弱な海軍力や輸送力は戦争で失われてしまう。宗谷海峡を保持できても、利用できないので意味はない。
そもそも、対日戦はリスクが大きすぎる。ロシアには、北方領土や樺太、千島列島を喪うリスクも負う。
北海道周辺は、日本側が強力である。極東、なかでも沿海州から東は、ロシア輸送力からみれば輸送の限界になっている。全力をつぎ込むこともできない。対して、日本は本土領域であり、輸送に難はない。北方領土、樺太、千島列島は、日本側が制海権・制空権を握る可能性が高い。
また、日本は北方領土を固有の領土と主張している。樺太南部、千島列島も、領土としての帰属は未確定としている。
日本側も、北海道に大戦力を集中する利益はない。オホーツク海に、樺太や北方領土に楔を打ち込んでも、日本に利益はない。
80年代には、ソ連軍を拘束することに利益があった。北海道に集中配置された戦力は、同時にアメリカの世界戦略への協力にもなった。北海道に配置された陸上戦力は、オホーツク海聖域化を阻止する効果を持っていた。当時、アメリカはオホーツク海聖域化を妨害する意図があり、対ソ戦略として、オホーツク海攻撃、攻略も視野に入れていた。アメリカへの軍事協力にもなっていた。アメリカへの軍事協力は、同時に貿易摩擦で緊張していた日米関係を緩和する材料ともなった。
しかし、今日となっては、北海道に大戦力を集中しても利益は得られない。まず、ロシアは北海道に攻め込んでこない。ロシア侵攻に備えるため、大戦力を集中しておく必要もない。また、対岸に配備されたロシア軍を拘束しする必要もない。ロシア艦船のオホーツク交通を制約する必要性もない。それによって日本は利益を得るわけではない。強いて言えば、北方領土返還への圧力になっているかもしれない。しかし、日本には武力で回収する意図もない。あまり必要のない圧力である。
北海道には、警備程度の戦力で充分である。北海道防衛のために、師団×3、旅団×1を置いておく必要はない。師団×1も置いておけばよい。戦争中も、ほとんどの時期、北海道は第七師団だけが配置されていたが、それで困ったこともない。広大な土地や演習場が利用できる点から、予備的な部隊を置くにしても、かつての師団×4や、師団×2、旅団×2は多すぎる。大きく減らしてよい戦力である。
北海道に注ぎ込んている防衛費、人員、装備は、無駄である。不要不急なロシア正面は削減し、余裕を中国とのゲームに注ぎ込むべき時期にある。中国とのゲームで役立つのは、海空戦力だけである。陸兵や戦車、野砲は中国とのゲームで役立つコマではない。※※ 北方には大きく削減する余地がある。節約した資源は、海空戦力での対中アドバンテージ維持に使うべきである。
※ 航空戦力だけは、ロシア本土からスイングできるだろう。しかし、基地での支援能力も輸送能力によって制限される。沿海州以東への増勢は容易ではない。
※※ 地対艦ミサイルや地対空ミサイル、対戦車ヘリ、輸送ヘリは島嶼防衛で役に立つかもしれないが、それでも副次的な役割にとどまる。
----------以下、2012年5月20日午後8時15分追記----------
ロシア海軍専門家のシアさんから
1 ロシアはまだデルタ×3をオホーツクに展開している
http://twitter.com/#!/rybachii/status/204155401510469633
2 ロシア太平洋艦隊の大型水上艦は10隻
http://twitter.com/#!/rybachii/status/204156863443513344
とするご指摘を頂戴しましたので、追記します。
有難いご指摘ですが、結論は変わりません。
1について説明しましょう。
かつて太平洋艦隊は、SSBNとしてデルタ×15、ヤンキー×9を運用していました。特にオホーツクで運用できるデルタは、ソ連SSBNの主力を構成していました。しかし、現在は主力ではありません。SSBNはバレンツ海方面の集中しています。核戦力保持の上では、すでにオホーツクは重要不可欠ではありません。
2については、ざっくりとCG×1、DDG×5(予備艦+3)、FF/FFG×9と見てます。
差異はFF/FFGをどう数えるかですね。おそらく、専門家のシアさんの数字がヨリ正しいとおもいます。
しかし、日米中海軍と較べれば、積極的行動ができる戦力ではない。日本の安全保障では、無視してよい数です。
また、大型水上艦×15、シアさんの仰る数字大型水上艦×10としても、彼らはオホーツク海を聖域化できる数ではない。ソ連太平洋艦隊が水上戦闘艦×80、潜水艦×100をもっていた時代とは違うのです。ロシアがオホーツクへのトランジットのため、北海道を攻めることはありえません。
いずれにせよ、ロシアは無視してよいのです。
ロシアは北海道に攻め込んでこない。まず、北海道に攻めこむ能力はない。また、北海道に攻めこむ必要性もない。そして、リスクが大きすぎる。
ロシアには、北海道に攻めこむ能力はない。極東ロシアに所在する陸軍力は7万5000人に過ぎない。ロシア太平洋艦隊が持つ大型水上艦は15隻であり、揚陸艦も4隻に過ぎない。航空戦力も、極東空軍は戦闘機等は250機程度にすぎない。※ 自衛隊を排除できる戦力ではない。
ロシアは北海道に攻めこむ必要性がない。ロシアが北海道を獲得したとして、どのような利益があるだろうか? 北海道を獲得しても、ロシアの戦略環境は好転しない。
冷戦末期であれば、宗谷海峡確保は戦略原潜保護に寄与する。いわゆるオホーツク聖域化である。しかし、今のロシアにとって、オホーツク海はそれほど重要ではない。潜水艦発射弾道弾の射程延伸があり、戦略原潜はバレンツ海方面に下がっている。
宗谷海峡を通じたオホーツク海諸都市やカムチャッカへの海上連絡路確保も、実益はない。貧弱な海軍力や輸送力は戦争で失われてしまう。宗谷海峡を保持できても、利用できないので意味はない。
そもそも、対日戦はリスクが大きすぎる。ロシアには、北方領土や樺太、千島列島を喪うリスクも負う。
北海道周辺は、日本側が強力である。極東、なかでも沿海州から東は、ロシア輸送力からみれば輸送の限界になっている。全力をつぎ込むこともできない。対して、日本は本土領域であり、輸送に難はない。北方領土、樺太、千島列島は、日本側が制海権・制空権を握る可能性が高い。
また、日本は北方領土を固有の領土と主張している。樺太南部、千島列島も、領土としての帰属は未確定としている。
日本側も、北海道に大戦力を集中する利益はない。オホーツク海に、樺太や北方領土に楔を打ち込んでも、日本に利益はない。
80年代には、ソ連軍を拘束することに利益があった。北海道に集中配置された戦力は、同時にアメリカの世界戦略への協力にもなった。北海道に配置された陸上戦力は、オホーツク海聖域化を阻止する効果を持っていた。当時、アメリカはオホーツク海聖域化を妨害する意図があり、対ソ戦略として、オホーツク海攻撃、攻略も視野に入れていた。アメリカへの軍事協力にもなっていた。アメリカへの軍事協力は、同時に貿易摩擦で緊張していた日米関係を緩和する材料ともなった。
しかし、今日となっては、北海道に大戦力を集中しても利益は得られない。まず、ロシアは北海道に攻め込んでこない。ロシア侵攻に備えるため、大戦力を集中しておく必要もない。また、対岸に配備されたロシア軍を拘束しする必要もない。ロシア艦船のオホーツク交通を制約する必要性もない。それによって日本は利益を得るわけではない。強いて言えば、北方領土返還への圧力になっているかもしれない。しかし、日本には武力で回収する意図もない。あまり必要のない圧力である。
北海道には、警備程度の戦力で充分である。北海道防衛のために、師団×3、旅団×1を置いておく必要はない。師団×1も置いておけばよい。戦争中も、ほとんどの時期、北海道は第七師団だけが配置されていたが、それで困ったこともない。広大な土地や演習場が利用できる点から、予備的な部隊を置くにしても、かつての師団×4や、師団×2、旅団×2は多すぎる。大きく減らしてよい戦力である。
北海道に注ぎ込んている防衛費、人員、装備は、無駄である。不要不急なロシア正面は削減し、余裕を中国とのゲームに注ぎ込むべき時期にある。中国とのゲームで役立つのは、海空戦力だけである。陸兵や戦車、野砲は中国とのゲームで役立つコマではない。※※ 北方には大きく削減する余地がある。節約した資源は、海空戦力での対中アドバンテージ維持に使うべきである。
※ 航空戦力だけは、ロシア本土からスイングできるだろう。しかし、基地での支援能力も輸送能力によって制限される。沿海州以東への増勢は容易ではない。
※※ 地対艦ミサイルや地対空ミサイル、対戦車ヘリ、輸送ヘリは島嶼防衛で役に立つかもしれないが、それでも副次的な役割にとどまる。
----------以下、2012年5月20日午後8時15分追記----------
ロシア海軍専門家のシアさんから
1 ロシアはまだデルタ×3をオホーツクに展開している
http://twitter.com/#!/rybachii/status/204155401510469633
2 ロシア太平洋艦隊の大型水上艦は10隻
http://twitter.com/#!/rybachii/status/204156863443513344
とするご指摘を頂戴しましたので、追記します。
有難いご指摘ですが、結論は変わりません。
1について説明しましょう。
かつて太平洋艦隊は、SSBNとしてデルタ×15、ヤンキー×9を運用していました。特にオホーツクで運用できるデルタは、ソ連SSBNの主力を構成していました。しかし、現在は主力ではありません。SSBNはバレンツ海方面の集中しています。核戦力保持の上では、すでにオホーツクは重要不可欠ではありません。
2については、ざっくりとCG×1、DDG×5(予備艦+3)、FF/FFG×9と見てます。
差異はFF/FFGをどう数えるかですね。おそらく、専門家のシアさんの数字がヨリ正しいとおもいます。
しかし、日米中海軍と較べれば、積極的行動ができる戦力ではない。日本の安全保障では、無視してよい数です。
また、大型水上艦×15、シアさんの仰る数字大型水上艦×10としても、彼らはオホーツク海を聖域化できる数ではない。ソ連太平洋艦隊が水上戦闘艦×80、潜水艦×100をもっていた時代とは違うのです。ロシアがオホーツクへのトランジットのため、北海道を攻めることはありえません。
いずれにせよ、ロシアは無視してよいのです。
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No title
22:13
だむ
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Re: No title
11:16
文谷数重
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> しかし、2個師団を北海道から抜くと地域経済に与えるダメージは甚大なものになりますな。その分は九州か沖縄にメリットがあるんだろうけど。
19:40
傍観者
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Re: タイトルなし
20:31
文谷数重
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No title
21:26
t
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No title
11:04
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No title
16:50
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オホーツクのサンクチュアリ価値をまったくわかってない。
北海道の戦略的位置づけ 地理的位置づけをわかってない。
事実上最大規模の内陸戦闘部隊が必要
その他地域は水上、航空戦が重要だけど、北海道は内陸。
極東における近隣最大の基地はオホーツクなんだよ。また海兵依存は強い。
逆にその他地域はシナ含め極東南方はそれほど巨大な基地ない