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隅田金属日誌(墨田金属日誌)

隅田金属ぼるじひ社(コミケ:情報評論系/ミリタリ関係)の紹介用

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文谷数重

Author:文谷数重
 零細サークルの隅田金属です。メカミリっぽいけど、メカミリではない、でもまあミリタリー風味といったところでしょうか。
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2012.06
11
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Category : 有職故実
 戦争中、外地部隊向けに砂糖から日本酒を作る方法が提案されたことがある。砂糖が余っていた南方向けの話なのだろう。だが、アジアでは甘薯による製糖がある場所では、米作もある。米があれば日本酒は作れる。まず砂糖があるところ砂糖はあるけど米がない事態はあんまり考えられないのだが。

 昭和19年、朝日新聞に「砂糖から日本酒 南の兵隊さんへ朗報」※ が掲載された。東京農大で教授をされていた住江金之さんの発表を元にした記事であるが、その発表名も時節を反映している。「蔗糖を原料とする第一線用清酒の簡易醸造法の研究」である。

 要は、砂糖に少量の醪を混入して醸造するというもの。1石1斗(200リットル)つくるためには、100斤(60kg)の砂糖と3斤(1.8kg)の酒種、1石(180リットル弱)の水を必要とする。酒種は、麹に日本酒酵母を加えたもの。後方で作り、乾燥させて前線に届ける。

 製造には1週間程度を要する。1日目に水8斗に砂糖40斤、酒種3斤を投入。3日目に水1斗と砂糖20斤を追加。5日目に水1斗と砂糖20斤を追加する。最終的には度数16度以上の酒、1石1斗が完成するというもの。

 しかし、実際にこの方法で醸造されたかは疑問である。

 単にお酒を飲みたい場合であれば、現地酒を手に入れる方が手間がかからない。製糖地域では、廃糖や糖蜜から酒を醸造し、蒸留した酒を作っている。米作地帯があれば、麹あるいはクモノス黴による醸造もある。軍隊で大規模にやることでもない。

 日本を思い出す酒が欲しいのであれば、米100%で作ったほうがよい。砂糖が余っているところでは、米も余っている。わざわざ砂糖ベースで、あるは砂糖混和することもない。日本酒風を評した麹風味砂糖酒よりも、ドブロクの上澄みのほうが日本酒っぽいだろう。戦前日本でもドブロクはご法度だったが、当時の農村では普通に作っている。※※ 軍隊でも、誰がしか技能を持っているものはいる。※※※

 住江さんには申し訳ないが、この方法は実用されなかったのではないかと思う。



※ 「砂糖から日本酒 南の兵隊さんへ朗報」『朝日新聞』(朝日新聞社,1944.4.24)2面。

※※ 旧内務省OB誌『大霞』には、警察を管轄する内務省の役人が農村でドブロクを振舞われた話がある。普通に醸造していた様子である。

※※※ 戦国時代にも、足軽が勝手に酒を作っている。『雑兵物語』には、足軽には3日分以上の米を支給するなとある。大量に支給すると、足軽は勝手に酒にしてしまい、飢えてしまう。3日程度なら食えなくとも我慢できるだろう。というものである。
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まとめtyaiました【腐るほど砂糖はあるが、日本酒がない】

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